注目企業のトップに聞くin北海道 税理士の在り方を変え、企業支援で北海道経済の向上を。【税理士法人マッチポイント】

2026年6月8日 公開

申告業務の枠を超え、企業の経営支援に踏み込むスタイルを強みとする、税理士法人マッチポイント代表税理士の植島悠介さん。駆け出しの時代にリーマンショックの荒波を経験したからこそ、「経営者に寄り添う」という信念がある。「圧倒的当事者意識」という言葉に込められた、北海道に懸ける思いや、組織作りへの考えを伺った。
代表税理士/植島 悠介さん
新篠津村出身。米農家に生まれ、家業の継承を志しつつも、専門学校での簿記資格取得をきっかけに税理士の道へ。リーマンショックの不況下、多くの企業再建の現場に立ち会い、経営者の苦悩を間近で経験する。2021年に「税理士法人フューチャークリエイト」の代表税理士に就任。2023年に同業社「税理士法人マッチポイント」と経営統合し、同社の代表税理士となる。

農家を継がずに村を出て
自ら切り開いた道。

新篠津村の米農家に生まれた植島さんは、幼いころから農作業を手伝いながら育った。長男として家業を継ぐ未来を疑うことはなく、その延長線上に自分の人生があると考えていた。しかし、江別市への高校進学によって環境がガラリと変わる。札幌に近い生活圏に身を置いたことで、それまで知らなかった娯楽や価値観などに触れるようになったのだ。「都会はとても楽しくて、ここで仕事をしたいなと思う気持ちが徐々に大きくなっていきました」
村を出て都会で暮らしたい。その思いだけを頼りに札幌の資格専門学校へ入学。最初の1年間は毎日楽しく遊んで暮らし、資格は一つも取得できなかったという。「ふと我に返った時、学費を工面してくれている家族への申し訳なさが募りました」
このままではいけない、そう感じた末に、改めて学び直す決断をした植島さん。再入学後の生活は一変した。朝7時から夜10時まで机に向かう日々。土日も関係なく勉強を続ける中で、知識が積み上がる実感と共に、自分の進む道が少しずつ見えてきた。企業の財務や資金の流れを学ぶ中で関心を持つようになったのが、経営者と直接向き合える税理士という職業だった。

予想外の相談に直面し、
税理士の役割を問い直す。

3年半をかけて卒業後、入社した税理士法人で待っていたのは、想像していた業務とは異なる厳しい現実だった。2008年、時代はリーマンショックの影響下にあり、多くの企業が厳しい経営状況に置かれていた。
「そのころは、税務申告よりも資金調達や経営立て直しの相談が中心でした。一番衝撃だったのは、私が初めて担当したお客様に『どうやったら自己破産できますか?』と相談されたことでした。税理士の権限では法的な手続きはできず、私には何もお役に立つことができませんでした」
その時に痛感したのは、税理士の存在理由だった。税金の計算をするだけでは、会社は助けられない。会社側がやりたいことを資金面から支援する役割にこそ、真の価値があるのだと確信した。
それから植島さんは、経営者の考えや目標を丁寧に聞くことを最優先にするようになった。会社をどうしたいのか、どこを目指しているのか。例えば、売り上げを1.5倍にするために、100円の値上げや人材採用を提案するなど、自分だったらどうするかと考え、経営の方向性そのものに踏み込むようになっていった。そうした経験を重ねる中で、より多くの企業を支えたいという思いも強くなっていく。
しかし当時の業界は、5〜10人の小規模な事務所が多く、道内にある約160の事務所に対し、企業は13万社近く存在していた。一人の税理士が対応できる範囲には限界があり、より多くの企業を支えるには組織の拡大が欠かせなかった。所属していた会社でも、従業員100人、売上10億円を掲げていたものの、従来の体制では限界が見え始めていた。そこで2021年に組織の在り方を根本から見直し、社名変更と共に植島さんが代表税理士として就任。体制を再構築した。
「2023年には、同じ志を持つ仲間の税理士法人と経営統合をしました。私たちの組織を大きくすることで、成長したいと願う北海道のお客様をより多くサポートできる環境を整えました」
同業者との競争ではなく、連携することによって支援の裾野を広げる選択は、従来の枠組みにとらわれない取り組みだった。

道内各地の現場へ
連携で届ける支援。

現在、税理士法人マッチポイントにいる95人のスタッフのうち、税理士は4名。植島さんは企業の経営支援には必ずしも資格は必要ではないという。税理士一人が顧客とのやり取りや提案、書類作成などかかわる業務のすべてを担当すると支援の対象は限られる。案件ごとに書類作成などを担うバックオフィス業務をスタッフで分業化することで、経営者と向き合える時間を確保。支援先の企業数を増やし、踏み込んだ支援につなげている。
業績好調の秘訣は、この仕組みだけではない。「圧倒的当事者意識」を掲げ、スタッフ一人ひとりが主体的に動く組織作りに注力。月に一度の全体会議を通して、社内の案件や状況を共有し、自ら考え、顧客の課題解決に向き合う環境を整えている。
「お客様先や社内で生まれる目の前の課題に対して、『何とかしたい』と取り組む。その積み重ねが、『ここに頼めば何とかなる』と思っていただける会社につながるのです」
その原点にあるのは、リーマンショックの最中に直面した光景だ。あの時、もっとできることがあったのではないか。あきらめなければ違う未来があったのではないか。支えきれなかった企業への思いが、今のあきらめない姿勢を形作っている。
これから植島さんが目指すのは、北海道が最も活気のある地域と評価される未来。「まずは数年以内に道内最大規模の税理士法人へと成長し、かかわる企業の数を増やしていきます。私たちが支援できる企業が増えれば、その一社一社の成長が地域全体の活力につながっていくはずです」。植島さんの歩みは、北海道の企業を支える基盤として確かな広がりを見せ始めている。

税理士法人マッチポイント

2019年創業。北海道を拠点に、中小企業の財務支援や経営支援を手掛ける税理士法人。税務申告にとどまらず、資金調達や事業計画の策定など経営に踏み込んだサポートを強みとする。複数法人との連携や統合により組織規模を拡大し、より多くの企業支援を目指す。スタッフの主体性を重視した組織作りにも力を入れている。
札幌市中央区北1条西7丁目3番2号北一条大和田ビル2F
TEL.011-215-0615

https://matchpoints.jp/
UHBにて毎週火曜日深夜0時15分〜放送中!
BOSS TALK
本インタビューはUHB(北海道文化放送)のトーク番組「BOSS TALK」とのコラボ企画により収録されました。
北海道を愛し、北海道の活性化を目指す“BOSS”が北海道の未来と経営について楽しく、真剣に語り合う“TALK”番組。独立するまでの道のり、経営者としての思い、転機となった出会いや目指す未来などを語ります。

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