「髪を切る」を超えた挑戦へ。業界の未来をデザインする理美容ディーラー。【株式会社菊地】
2026年7月27日 公開
1967年創業の理美容ディーラー「株式会社菊地」。ヘアカラー剤やシャンプーなどの商材卸売に加え、理美容師の教育や採用支援、サロン経営のサポートまで幅広く手掛けている。2023年、35歳で代表取締役社長に就任した菊地大輝さんは、「美容を通じて北海道を元気に」というミッションを掲げ、業界の発展と北海道の地域活性化に取り組む。今回はこの道へ至るまでの葛藤や事業継承、そして北海道の未来に懸ける思いを伺った。

代表取締役社長/菊地 大輝さん
札幌市出身。創業者である祖父、父に続く株式会社菊地の三代目。大学卒業後は理美容メーカーで経験を積み、2014年に家業へ入社した。卸売のみならず、教育事業や採用支援など新たな取り組みを推進し、2023年に代表取締役社長へ就任。理美容業界の発展を通じて北海道を元気にすることを目指している。
札幌市出身。創業者である祖父、父に続く株式会社菊地の三代目。大学卒業後は理美容メーカーで経験を積み、2014年に家業へ入社した。卸売のみならず、教育事業や採用支援など新たな取り組みを推進し、2023年に代表取締役社長へ就任。理美容業界の発展を通じて北海道を元気にすることを目指している。
偶然のきっかけで
家業の魅力を再発見。
道内の約半数の理美容室を顧客に持ち、運営を支えている株式会社菊地。菊地大輝さんは、創業者である祖父を持つ三代目として札幌市で生まれ育ち、幼いころから会社の社員たちに可愛がられてきた。
「祖父の家と会社が同じ建物だったので、社員の皆さんが本当に身近な存在でした。ただ、子どものころは卸売業に魅力を感じていなかったんです。流通の中間にある、存在の見えない仕事という印象が強くて、将来的に縮小されるのではと思っていたくらいです。それもあって、家業を継ぐことは全く考えていませんでした」
大学では経済学を学び、公務員や銀行員など安定した職業を志望していた。しかし、就職活動中に父がかつて勤めていた理美容メーカーの求人を偶然見付けたことが転機となる。
「会社説明会では、メーカーと理美容室をつなぐディーラーの役割や流通全体の話も聞けて、理美容業界の面白さを知り、入社を決めたんです。その後は大阪で約4年半勤務し、理美容室向け設備機器の営業を担当しました。現場で経験を積みながら、理美容業界の更なる奥深さを身を持って感じる日々でした」
だが、変わらず実家に戻る予定はなかったという。
「大阪での仕事が楽しくて…でも、札幌へ帰る度に父から『一緒に働かないか』と声を掛けられていたんです。今思うとちょうど幹部社員が退職したり、M&Aもあったりと動きが大きく、父の中でも会社の将来を考えたのだと思います。何度も話し合う中で、2014年に戻ることを決意しました」
「祖父の家と会社が同じ建物だったので、社員の皆さんが本当に身近な存在でした。ただ、子どものころは卸売業に魅力を感じていなかったんです。流通の中間にある、存在の見えない仕事という印象が強くて、将来的に縮小されるのではと思っていたくらいです。それもあって、家業を継ぐことは全く考えていませんでした」
大学では経済学を学び、公務員や銀行員など安定した職業を志望していた。しかし、就職活動中に父がかつて勤めていた理美容メーカーの求人を偶然見付けたことが転機となる。
「会社説明会では、メーカーと理美容室をつなぐディーラーの役割や流通全体の話も聞けて、理美容業界の面白さを知り、入社を決めたんです。その後は大阪で約4年半勤務し、理美容室向け設備機器の営業を担当しました。現場で経験を積みながら、理美容業界の更なる奥深さを身を持って感じる日々でした」
だが、変わらず実家に戻る予定はなかったという。
「大阪での仕事が楽しくて…でも、札幌へ帰る度に父から『一緒に働かないか』と声を掛けられていたんです。今思うとちょうど幹部社員が退職したり、M&Aもあったりと動きが大きく、父の中でも会社の将来を考えたのだと思います。何度も話し合う中で、2014年に戻ることを決意しました」
旧態依然の体制を変えるため
教育スタジオを設立。
入社して見えてきたのは、自社の課題だった。郊外の老舗サロンや大型チェーンとの取引は多かったものの、トレンドを発信する都市部のサロンとの接点が少なく、旧来の営業スタイルから抜け出せていなかったのだ。
「新しい取引先を開拓しなければこの先厳しくなると感じ、会社を少しずつ変えていくために自分なら何ができるかを考えました。そこで着目したのが教育事業です。北海道は本州と比べると、トレンドに時差が出てしまいます。この差を埋めるために、北海道の理美容師はもちろん、私たちディーラーも最新の技術や情報に触れられる場づくりに取り組むことにしました」
経営者である父の後押しもあり、2015年に札幌駅前にスタジオを新設。本州の講師を招いてセミナーを開いたり、取引先なら無料で使える撮影スタジオとして貸し出したりすることで、新たなつながりが生まれていった。更に、2022年までに旭川や函館などにも同様のスタジオを開設。今では年間約2000人が利用する拠点へと成長した。
「新事業も順調に進む中、父が元気なうちに事業承継を進め、経営者として並走してもらいながら、その考え方や判断を学びたいという思いが強くなりました。そこで『社長を代わってほしい』と頼んでみたら、一時期は反対されながらも、最終的に『お前がやりたいことをやれ』と認めてくれました。責任は重かった一方、ようやく自分の考える会社づくりに挑戦できると思った瞬間です」
こうして2023年、菊地さんは35歳で代表取締役社長に就任した。
「新しい取引先を開拓しなければこの先厳しくなると感じ、会社を少しずつ変えていくために自分なら何ができるかを考えました。そこで着目したのが教育事業です。北海道は本州と比べると、トレンドに時差が出てしまいます。この差を埋めるために、北海道の理美容師はもちろん、私たちディーラーも最新の技術や情報に触れられる場づくりに取り組むことにしました」
経営者である父の後押しもあり、2015年に札幌駅前にスタジオを新設。本州の講師を招いてセミナーを開いたり、取引先なら無料で使える撮影スタジオとして貸し出したりすることで、新たなつながりが生まれていった。更に、2022年までに旭川や函館などにも同様のスタジオを開設。今では年間約2000人が利用する拠点へと成長した。
「新事業も順調に進む中、父が元気なうちに事業承継を進め、経営者として並走してもらいながら、その考え方や判断を学びたいという思いが強くなりました。そこで『社長を代わってほしい』と頼んでみたら、一時期は反対されながらも、最終的に『お前がやりたいことをやれ』と認めてくれました。責任は重かった一方、ようやく自分の考える会社づくりに挑戦できると思った瞬間です」
こうして2023年、菊地さんは35歳で代表取締役社長に就任した。
理美容業界から北海道を元気に。
菊地さんが就任後に掲げたのが「美容を通じて北海道を元気に」というミッションだ。
「北海道の理美容学生は卒業後に半数近くが道外へ出ていってしまいます。この課題を解決するには、学生たちの就職先を整えることが必須でした。そこで立ち上げたのが、北海道資本のサロンだけを集めた就職イベント『THE BEAUTY』です。ヘアショーや企業説明会も同時に行うことで、学生とサロンがつながり、北海道のサロンで働く魅力を伝えることができるようになりました。現在では、約800人の学生と35社の企業が参加しています」
菊地さんは、ディーラーの役割を単なる卸売業とは考えていない。就職者が増え、サロンが成長し、スタッフの待遇が向上する。その循環を支えることが、自社の成長にもつながると考えているのだ。
「以前までの我々の仕事とは商品を届けることでした。しかし今は、経営コンサルタントや広告代行といったサロン経営のサポートも行っています。私たちも時代に合わせた支援をすることで、会社の存在価値を高め、業界に無くてはならない会社を目指しています」
現在は業界の魅力や価値を多くの人へ届ける取り組みとして、スポーツ業界とのコラボに注力している。オリジナルブランド「mih(ミー)」では、北海道日本ハムファイターズとの連携も実現し、ハンドクリーム製品を展開した。
「理美容室は人と人をつなぐ場所であり、理美容師は地域の人たちの変化や悩みに気付ける存在です。将来、人口減少や高齢化によって、地域から理美容室がなくなる可能性もあります。だからこそ、この業界が北海道に新しい価値を生み出せると思っています。その実現に向けて、これからも挑戦を続けていきたいです」
「北海道の理美容学生は卒業後に半数近くが道外へ出ていってしまいます。この課題を解決するには、学生たちの就職先を整えることが必須でした。そこで立ち上げたのが、北海道資本のサロンだけを集めた就職イベント『THE BEAUTY』です。ヘアショーや企業説明会も同時に行うことで、学生とサロンがつながり、北海道のサロンで働く魅力を伝えることができるようになりました。現在では、約800人の学生と35社の企業が参加しています」
菊地さんは、ディーラーの役割を単なる卸売業とは考えていない。就職者が増え、サロンが成長し、スタッフの待遇が向上する。その循環を支えることが、自社の成長にもつながると考えているのだ。
「以前までの我々の仕事とは商品を届けることでした。しかし今は、経営コンサルタントや広告代行といったサロン経営のサポートも行っています。私たちも時代に合わせた支援をすることで、会社の存在価値を高め、業界に無くてはならない会社を目指しています」
現在は業界の魅力や価値を多くの人へ届ける取り組みとして、スポーツ業界とのコラボに注力している。オリジナルブランド「mih(ミー)」では、北海道日本ハムファイターズとの連携も実現し、ハンドクリーム製品を展開した。
「理美容室は人と人をつなぐ場所であり、理美容師は地域の人たちの変化や悩みに気付ける存在です。将来、人口減少や高齢化によって、地域から理美容室がなくなる可能性もあります。だからこそ、この業界が北海道に新しい価値を生み出せると思っています。その実現に向けて、これからも挑戦を続けていきたいです」
株式会社菊地
1967年創業。ヘアカラー剤やシャンプーなど理美容室向け商材を扱う理美容ディーラーとして、道内の理美容室の約半数と取引を行う。近年は理美容師向け教育スタジオの運営や採用支援、経営サポートなど事業領域を広げ、理美容業界の発展に取り組んでいる。
UHBにて毎週火曜日深夜0時15分〜放送中!
BOSS TALK
本インタビューはUHB(北海道文化放送)のトーク番組「BOSS TALK」とのコラボ企画により収録されました。
北海道を愛し、北海道の活性化を目指す“BOSS”が北海道の未来と経営について楽しく、真剣に語り合う“TALK”番組。独立するまでの道のり、経営者としての思い、転機となった出会いや目指す未来などを語ります。
本インタビューはUHB(北海道文化放送)のトーク番組「BOSS TALK」とのコラボ企画により収録されました。
北海道を愛し、北海道の活性化を目指す“BOSS”が北海道の未来と経営について楽しく、真剣に語り合う“TALK”番組。独立するまでの道のり、経営者としての思い、転機となった出会いや目指す未来などを語ります。
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