昆布に秘められた可能性。「海藻魂」を胸に、若手起業家が目指す未来【株式会社e-Combu】
2026年7月13日 公開
2024年、小樽商科大学在学中に株式会社e-Combuを起業した大砂百恵さん。北海道内の浜に打ち上がり活用されていない昆布に新たな価値を見いだし、飼料や化粧品原料などで利用する事業を進めている。若くして起業したからこそ、多くの失敗や学びも経験してきた大砂さん。大海原で生きる昆布のように、夢に向かってしなやかに成長し続けている。

代表取締役/大砂 百恵さん
2003年稚内生まれ、札幌育ち。幼いころから宇宙飛行士を目指し、民間人として宇宙へ行くことを夢見ている。小樽商科大学の2年生だった2024年に株式会社e-Combuを創業。広尾町を拠点に、研究者や地域住民と連携しながら昆布の新たな価値創出に挑戦。多くの人との縁を大切にしながら、「海藻魂」を胸に事業を育てている。
2003年稚内生まれ、札幌育ち。幼いころから宇宙飛行士を目指し、民間人として宇宙へ行くことを夢見ている。小樽商科大学の2年生だった2024年に株式会社e-Combuを創業。広尾町を拠点に、研究者や地域住民と連携しながら昆布の新たな価値創出に挑戦。多くの人との縁を大切にしながら、「海藻魂」を胸に事業を育てている。
宇宙へのあこがれから始まった
起業という挑戦。
広尾町を拠点とする「e-Combu」の代表・大砂百恵さんは、稚内で生まれ札幌で育った。起業の原点は、小学生の自由研究で小惑星探査機「はやぶさ」を調べたことで描いた、宇宙飛行士になるという夢だ。
高校1年生の時、文部科学省と独立行政法人日本学生支援機構の留学促進キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」に応募し、メンバーに選出された。「行き先は、スペースシャトル・エンデバー号があるロサンゼルスでした。夢を持った仲間たちと3週間ほど過ごして、とても刺激を受けたんです」
以来、宇宙飛行士になりたい一心で勉強してきた大砂さんだが、高校3年生の受験シーズンとJAXA宇宙飛行士候補者の募集タイミングが重なり応募を断念。更に、第一志望校に入れなかったことで夢へのモチベーションが低下してしまった。そんな時に目に入ったのが、実業家の前澤友作さんが日本民間人として初めて宇宙へ行ったニュースだ。
「5〜10年先の宇宙飛行士試験を待つより、自分で会社を作って宇宙へ行くほうが早いかもしれないと思ったんです。それが起業に興味を持ったきっかけでした」
そこで経営やマーケティングを学ぶため小樽商科大学へ進学。大学1年のころから若者向けの起業支援プログラムに参加し、多くの経営者や仲間と出会いながら起業の準備を進めた。
「宇宙から地球を見た時に、心から奇麗だと思いたい。そのためには、未利用資源などの社会課題に向き合う事業をしたいと考えました。何を扱うか考えた時に、昆布漁師だった曽祖父と、浜に打ち上げられたまま活用されていない昆布を思い出しました」
高校1年生の時、文部科学省と独立行政法人日本学生支援機構の留学促進キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」に応募し、メンバーに選出された。「行き先は、スペースシャトル・エンデバー号があるロサンゼルスでした。夢を持った仲間たちと3週間ほど過ごして、とても刺激を受けたんです」
以来、宇宙飛行士になりたい一心で勉強してきた大砂さんだが、高校3年生の受験シーズンとJAXA宇宙飛行士候補者の募集タイミングが重なり応募を断念。更に、第一志望校に入れなかったことで夢へのモチベーションが低下してしまった。そんな時に目に入ったのが、実業家の前澤友作さんが日本民間人として初めて宇宙へ行ったニュースだ。
「5〜10年先の宇宙飛行士試験を待つより、自分で会社を作って宇宙へ行くほうが早いかもしれないと思ったんです。それが起業に興味を持ったきっかけでした」
そこで経営やマーケティングを学ぶため小樽商科大学へ進学。大学1年のころから若者向けの起業支援プログラムに参加し、多くの経営者や仲間と出会いながら起業の準備を進めた。
「宇宙から地球を見た時に、心から奇麗だと思いたい。そのためには、未利用資源などの社会課題に向き合う事業をしたいと考えました。何を扱うか考えた時に、昆布漁師だった曽祖父と、浜に打ち上げられたまま活用されていない昆布を思い出しました」
マイナスからのスタートで
信頼とつながりの大切さを知る。
昆布の活用方法を模索する中で、鎌倉で海藻を豚の飼料として利用している事例を知り、現地へ赴いて農場を見学。更に昆布が牛のメタンガス排出を抑制するといった新たな可能性にも着目し、大学研究者や外部パートナーと連携しながら研究を進めていった。
「北海道なら、昆布と畜産で新しい事業ができるのではないかと手応えを感じました。そこで授業や研究の合間を見て、道内各地の浜を巡り昆布が多く打ち上がっている地域を訪ねたんです。広尾町を訪れた際、浜に広がった昆布の光景に心を打たれて、拠点にしたいと思いました」
研究活動と事業化の準備を進め、2024年に株式会社e-Combuを設立した。
「町からの温かい支援もあり、このまま世界を変えていけると思っていました。でも、漁業権や地域とのかかわり方が分かっていなくて…漁師さんとの相談や交渉より先に事業構想を発信してしまった結果、『我々の昆布を勝手に使おうとしているのか』と苦言をいただいたのです」
地域の人々から信頼を得ねばならない。そう痛感した大砂さんは、大学を休学して移住することを決心。地元漁師の隣の家へ引っ越した。
「その家にはボイラーが無くて、お湯が出ないんです(笑)。でも、近所の方たちが交替でお風呂を貸してくれたり食事まで用意してくれました。そのお礼に漁のお手伝いに参加したり、地域の方々と生活を共にすることで、少しずつ信頼していただけるようになりました。今では娘や孫のように接してくださる方もいます」
「北海道なら、昆布と畜産で新しい事業ができるのではないかと手応えを感じました。そこで授業や研究の合間を見て、道内各地の浜を巡り昆布が多く打ち上がっている地域を訪ねたんです。広尾町を訪れた際、浜に広がった昆布の光景に心を打たれて、拠点にしたいと思いました」
研究活動と事業化の準備を進め、2024年に株式会社e-Combuを設立した。
「町からの温かい支援もあり、このまま世界を変えていけると思っていました。でも、漁業権や地域とのかかわり方が分かっていなくて…漁師さんとの相談や交渉より先に事業構想を発信してしまった結果、『我々の昆布を勝手に使おうとしているのか』と苦言をいただいたのです」
地域の人々から信頼を得ねばならない。そう痛感した大砂さんは、大学を休学して移住することを決心。地元漁師の隣の家へ引っ越した。
「その家にはボイラーが無くて、お湯が出ないんです(笑)。でも、近所の方たちが交替でお風呂を貸してくれたり食事まで用意してくれました。そのお礼に漁のお手伝いに参加したり、地域の方々と生活を共にすることで、少しずつ信頼していただけるようになりました。今では娘や孫のように接してくださる方もいます」
地域循環する仕組み作りで
支えてくれた人々に恩返しを。
漁師たちから正式に未利用の昆布を仕入れられるようになり、2025年から砂川市に本社を置く化粧品ブランド「SHIRO」への原料提供をスタートした。研究成果を事業化するよりも先に原料提供を始めた背景には、現実的な決断があった。
「会社を維持するためには、理想を追求するだけでなく安定した資金も必要だと分かりました。そんな時にSHIROさんが昆布に含まれる成分に注目してくださり、定期的なお取引ができるようになったんです」
現在は鶏に昆布を与えた際の変化を研究しており、将来的には卵と昆布、白米を組み合わせたTKG(卵かけご飯)セットなどの自社ブランド商品も構想中。「昆布の専門家ではないからこそ、その意外性を見つけられる」と、新たな視点で次の一手を見据えている。
生産や研究を支えているチームは現在5人。平均年齢は20代前半。自分たちより年上の漁師や企業と働く機会も多いからこそ、大切にしている精神が「海藻魂」だ。
「社会は思っている以上に複雑に成り立っています。私たち若手起業家のとがりや執念は強みですが、昆布のようにしなやかに周囲からの助言は柔軟に受け入れる、でも自分たちの軸は決して失わない。そうした心を大事にしようとメンバーに伝えています」
漁師や研究者、企業など、多くの人とのつながりが事業を支えている。だからこそ今度は、自分たちが地域へ価値を返していきたいと考えている。
「まずはお世話になった方々へ、昆布のお礼に卵を渡すようなところから始めたい。こうした地域の中で支え合う循環が広尾町、そして他の地域にも広がっていく。そんな『海の底から始まる物語』を描きたいです」
「会社を維持するためには、理想を追求するだけでなく安定した資金も必要だと分かりました。そんな時にSHIROさんが昆布に含まれる成分に注目してくださり、定期的なお取引ができるようになったんです」
現在は鶏に昆布を与えた際の変化を研究しており、将来的には卵と昆布、白米を組み合わせたTKG(卵かけご飯)セットなどの自社ブランド商品も構想中。「昆布の専門家ではないからこそ、その意外性を見つけられる」と、新たな視点で次の一手を見据えている。
生産や研究を支えているチームは現在5人。平均年齢は20代前半。自分たちより年上の漁師や企業と働く機会も多いからこそ、大切にしている精神が「海藻魂」だ。
「社会は思っている以上に複雑に成り立っています。私たち若手起業家のとがりや執念は強みですが、昆布のようにしなやかに周囲からの助言は柔軟に受け入れる、でも自分たちの軸は決して失わない。そうした心を大事にしようとメンバーに伝えています」
漁師や研究者、企業など、多くの人とのつながりが事業を支えている。だからこそ今度は、自分たちが地域へ価値を返していきたいと考えている。
「まずはお世話になった方々へ、昆布のお礼に卵を渡すようなところから始めたい。こうした地域の中で支え合う循環が広尾町、そして他の地域にも広がっていく。そんな『海の底から始まる物語』を描きたいです」
株式会社e-Combu
2024年設立。浜に打ち上がり、活用されていない昆布の有効活用や飼料開発事業を進めている。2025年からは化粧品ブランド「SHIRO」への原料提供も開始した。現在は昆布を餌にした鶏の卵のブランド化に向けて研究・開発中。未利用資源に新たな価値を生み出し、地域資源が循環する仕組み作りを目指している。
UHBにて毎週火曜日深夜0時15分〜放送中!
BOSS TALK
本インタビューはUHB(北海道文化放送)のトーク番組「BOSS TALK」とのコラボ企画により収録されました。
北海道を愛し、北海道の活性化を目指す“BOSS”が北海道の未来と経営について楽しく、真剣に語り合う“TALK”番組。独立するまでの道のり、経営者としての思い、転機となった出会いや目指す未来などを語ります。
本インタビューはUHB(北海道文化放送)のトーク番組「BOSS TALK」とのコラボ企画により収録されました。
北海道を愛し、北海道の活性化を目指す“BOSS”が北海道の未来と経営について楽しく、真剣に語り合う“TALK”番組。独立するまでの道のり、経営者としての思い、転機となった出会いや目指す未来などを語ります。
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