注目企業のトップに聞くin北海道 年間2000個を食べる「コロッケ王子」が取り組む、食と健康の新たな挑戦。【サンマルコ食品株式会社】

2026年5月25日 公開

冷凍コロッケでおなじみのサンマルコ食品。その三代目である藤井幸大さんはタイやアメリカで青春時代を過ごし、大学を転々としていたという異色の経歴の持ち主だ。現在はコロッケを通じた食文化の発信や、メディカルフードの開発など新たな挑戦にも積極的に取り組んでいる。就任の経緯や現在の取り組み、これからの展望について伺った。
代表取締役社長/藤井 幸大さん
1981年札幌生まれ。高校卒業後、タイへのボランティアツアーや東京の大学への入退学を経て、米カリフォルニア州のアカデミー・オブ・アート大学で広告を専攻。2010年、家業であるサンマルコ食品株式会社に入社。マーケティング本部を立ち上げるなど社内改革を牽引し、2024年に代表取締役社長に就任した。一般社団法人日本コロッケ協会を設立し、コロッケの価値向上と日本の食文化の発信にも積極的に取り組んでいる。

好奇心旺盛な幼少期を経て
10年にわたり海外へ。

真っ白なスーツにまぶしい笑顔。年齢を感じさせない若々しさが印象的だが、かつては体重が100キロを越えていた時期もあるというから驚きだ。
創業家の長男として生まれた藤井さんは、幼いころから旺盛な好奇心を発揮。先代社長である父は非常に厳しく、何かをやろうとする度に「なぜそれが必要なのか」を説明しなければならなかったという。高校生の時、その興味は海外へ向いたことや、家族から離れたかったという独立心からタイやアフリカでのボランティアツアーに参加することを決意。電気もガスも水道も無い環境で生活をしながら、「日本がいかに恵まれているか」「人の純粋な喜びとは何か」を肌で感じた。その体験は、生き方そのものに影響を与えるほど大きなものだったという。
帰国後に入学した国内の大学では、海外でのリアルな体験の後だったこともあり、大きな目標を見失った日々を過ごしてしまう。3年間でわずか1単位しか取得できないという事態に陥る。
「母親から『あなたの成績表が家に届きました。これから124年かけて卒業するつもりですか?』と怒られてしまいまして、ちょっとまずいなと(笑)。とはいえ好奇心があちこちに行ってしまうので、いくつかの大学を経て、最終的にはなぜかアメリカの美術系大学を卒業しました」

日本語もままならなかった
帰国後の困難。

アメリカでは自ら事業を模索していた藤井さんだったが、リーマンショックの影響により、新たな挑戦は難しい状況になっていた。悩んでいたその時、厳しく育てられてきた父から予想外の言葉が届いた。
「『家業には興味がないかもしれないが、お前が経営していく立場になったら、好きなことを少しずつ増やしていけばいいんじゃないか』と言われたんです。厳しかった親父からあれほど柔らかい言葉が出てくるとは思っていなくて、スッと気持ちが落ちて、家業を継ぐと決断しました」
約10年ぶりに日本に戻った藤井さんを待ち受けていたのは、漢字もカタカナもままならない日本語、まったく身に着いていないビジネスマナーや、アメリカとの商習慣の差といった困難だった。父の判断で食品流通の商社へ修業に出た藤井さんは、業界の全体像をゼロから学び直し、3年を経て大学での経験を生かしたマーケティング本部を立ち上げる。
「サンマルコ食品とはどんなメーカーか、アイデンティティーを定めた上で、自分たちがどうあるべきか、どんな価値を提供していくかを考えていきました。僕としては、すぐに事業承継を…といきたいところでしたが、当時は物価高騰や工場の建て替えといった大きなトピックがあったことから、充分な準備を経た2024年に代表就任となりました。今思えば、父の優しさだったように思います」
また「安売りの象徴」ともなっているコロッケの地位向上を目指すため、2012年には自らが会長となり一般社団法人日本コロッケ協会を設立。コロッケを通じた地域おこしや、食を通じた幸せを提供するべく日本全国で活動をしている。

コロッケの価値を高め、
日本の食文化を守り続けていく。

素材、製法、そして食べた人にどう感じてほしいか」。年間2000個以上のコロッケを食べながら研究を重ねてきた藤井さんにとって、コロッケは単なる商品ではなく、食文化を体現するものだ。同社では素材のうまみ・香り・コク、更に咀嚼による風味の移ろいまで設計する独自のメソッド「四次元官能設計」に基づいたコロッケ作りに取り組んでいる。
「一般的には油分や塩分が『おいしさ』を感じる基準になりがちですが、うちは香りの変化やキレ、後味まで研究し、素材、製法、それから『どう感じてほしいか』という心理まで徹底的に研究して作っています。最後の一口まで楽しんでほしいんです」
最近では臨床試験を経て生活習慣病患者に向けた健康管理食「Dr. Dish」も独自に開発。
「揚げ物といえば不健康、若い人が食べるものといった常識も変えていくのが目標です。僕自身、体重が100キロを越えた時期もありましたし、そこから食生活の見直しで50キロの減量に成功した経験もありますので、健康でありながらおいしい食を目指しています」
昨今では直営店舗「コロモア」や外食事業など幅広い事業に取り組む藤井さん。最終的に目指すのは「社員が夢を持ち続けられる会社」だ。
「弊社は父の代から、一人ひとりの社員の声を聞いてきた会社です。ただどうしても、主張をしない人が損してしまうような面もありました。僕が目指すのは、誰もが公平に評価され、納得して働ける会社です。社員に幸せになってほしいし、一人ひとりの夢を形にしてあげられる事業をこれからも作っていきたいと考えています。食べることで健康になれる、幸せになれる。そういうものを作り続けることが、自分たちの役割だと思っています」

サンマルコ食品株式会社

コロッケをはじめとした冷凍食品の製造・販売を手掛ける食品メーカー。「味・大きさ・衣の食感・後味」まで徹底的に研究したコロッケを主力製品に、冷凍麺事業や直営店舗事業も展開。日本コロッケ協会の設立や医療機関と連携した開発など、食文化の発信と食の課題解決にも積極的に取り組む。
札幌市厚別区厚別東4条1丁目1番48号
TEL.011-897-1711

https://sanmaruko.co.jp/
UHBにて毎週火曜日深夜0時15分〜放送中!
BOSS TALK
本インタビューはUHB(北海道文化放送)のトーク番組「BOSS TALK」とのコラボ企画により収録されました。
北海道を愛し、北海道の活性化を目指す“BOSS”が北海道の未来と経営について楽しく、真剣に語り合う“TALK”番組。独立するまでの道のり、経営者としての思い、転機となった出会いや目指す未来などを語ります。

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