Uターン起業でホテルを再建。宿泊・観光・飲食業で、十勝エリアの魅力を引き出す。【十勝シティデザイン株式会社】
2025年8月4日 公開
「地域の魅力を発信したい」大学在学中に開いた飲食店。
「語学を通じて世界を知りたくて、高校3年生でアメリカのテキサス州・ダラス近郊の町に留学しました。アメリカの大学進学を見据えて留学したのですが、現地の人に日本について聞かれても意外と答えられないことも多く、違和感を抱いたんです。それで自国の魅力を学び伝えられるようになりたくて、日本国内の大学に進学することを決めました」
坂口さんは千葉県の大学の外国語学部に入学。学業に勤しむ傍ら、東京都内・北千住にあるジャズバーでアルバイトを始めた。
「お店には時々外国のお客さまが訪れることもあったので、英語で地域の魅力を伝える楽しさを見いだしました。将来はそれに近い仕事に就きたいと、メディアにかかわる企業を志望していたんですが、就職活動を始めた2000年はちょうど『スーパー氷河期』と呼ばれる時代でなかなか就職には結び付かず…」
そんな矢先、一人のお客さまから「北千住に空いている物件があるから、店を出さないか」と声を掛けられた坂口さん。実際に内覧に行ってみると「自分の店を構えたい」という思いが膨らみ、迷いは吹き飛んだ。苦労して手に入れた大手企業の2次面接の機会を捨て、両親にも猛反対されたというが、それでも坂口さんは仲間と共にダイニングバーやカフェなどをオープン。やりがいをそのまま仕事にする道を選んだ。
ハンバーガーショップで生まれた十勝の町おこし企業。
袖看板に「虹台所」と書かれた坂口さんの店は、レトロな雰囲気とふかふかのバンズ、肉汁あふれるパティが人気を呼び、たちまちにぎわいを見せた。店主が幕別町出身だということも口コミで広まって、店には自然と十勝出身者が集まるようになっていた。
「『離れていても、何か十勝のためにできることをしたい』という話はよくしていました。私とそこに集うメンバーとで実際に十勝の短編映画を制作するほど、みんな地元愛にあふれていましたね。そんな中、帯広市の老舗『ホテルみのや』廃業のニュースが飛び込んできたんです」
そんな中、常連客の1人であり、都内で弁護士をしていた帯広出身の柏尾哲哉さんから「みのやの跡地で新たな宿をやるのはどうか」と話題を持ちかけられた坂口さん。外国人観光客への接客機会も多かった坂口さんは元々宿泊業にも興味があったため、次第にその話題の中心人物になっていった。悩んだ末に経営していた飲食店を知人に託し、地元のためにとUターン起業を決意。柏尾哲哉さんと共に、「ホテルの再建とかつての日中のにぎわいがなくなってしまった故郷の町おこしをしよう」と2014年、十勝シティデザイン株式会社を創業した。
老舗ホテルを再建し、十勝エリアの魅力を発信。
「建物はフルリノベーションをして、1階はカフェスペースに。旅行者が何度も戻って来たいと思えるような宿泊施設でありながら、地元の人も気軽に立ち寄れる憩いの場を目指して再建を進めました。カフェがあることで、日中街を歩く機会が増えたという地元の人の声は少なくありません。まるでコンシェルジュのように旅行者との交流を楽しんでいる人も多く見られます」
開業当時から提供されている「旅のはじまりのビール」は、坂口さんが柏尾さんと共に地元の大麦にこだわって開発したものだという。2019年からはばん馬が引く馬車で夜の帯広の街をめぐる『馬車BAR』ツアーも開催している。場所作りだけではなく、地元の魅力を最大限に生かした商品やサービスを生み出すことで、旅行者と地元住民との交流は更に盛り上がりを見せている。
「十勝はまだまだ働き口もあって、暮らしやすい地域だと思います。とはいえ若者離れは著しい。そんな今だからこそ、誰もがワクワクできるような事業展開を目指していきたいと考えています。でもそれは必ずしも新しい商品やサービスを創造することではありません。『NUPKA』はアイヌ語で『原野』という意味です。手を加えない、ありのままの十勝の良さに光を当てることで、人が集まる地域作りをしていきたい。地元の人たちにも誇りとプライドを持って暮らしてほしいと思っています」
十勝シティデザイン株式会社
本インタビューはUHB(北海道文化放送)のトーク番組「BOSS TALK」とのコラボ企画により収録されました。
北海道を愛し、北海道の活性化を目指す“BOSS”が北海道の未来と経営について楽しく、真剣に語り合う“TALK”番組。独立するまでの道のり、経営者としての思い、転機となった出会いや目指す未来などを語ります。
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