厚沢部町発・保育園留学事業。子ども主体の暮らし体験を、地域活性化の契機に。【株式会社キッチハイク】
2025年7月28日 公開
より良い世の中を目指して。人と人とを食で結ぶ事業を。
「広告制作に携わるうちに、言葉によるメッセージ発信にとどまらず、世の中を良くするための仕組み作りに注力したいと思うようになりました」
山本さんは2012年、約5年間勤めた会社を退職し、食を通じて人や地域をつなげる事業を起こそうと株式会社キッチハイクを設立した。その後「共に食卓を囲めば人と人とは仲良くなることができる」という仮説を立てて世界を周遊。1年半ほどかけておよそ120のまちを訪れ、見ず知らずの家のドアをノックしては住民にご飯を食べさせてもらうという実験を繰り返した。結果、仮説は定説であるという結論に至り、2013年、料理する人と食べる人をつなぐ食のグローバルマッチングサイト「KitchHike(キッチハイク)」を立ち上げた。しかし初めは思うような結果にはつながらなかったという。
「約20カ国に登録者はいたのですが、マッチング件数は月にたったの数件という状況で、それがおよそ3年間続きました。それでもサイト運営を続けていたら、ある時期から日本人同士がマッチングするようになったんです。サイトを日本語版に切り替えたところ一気に利用件数が増え、経営も安定していきました」
きっかけはメークインPR事業。厚沢部町「はぜる」との出会い。
「対面での食事は難しいと考え、全国各地の食材を取り寄せて、生産者さんとオンラインで交流しながら料理を楽しむ『ふるさと食体験』事業を展開していきました。そんな中、北海道厚沢部町からじゃがいものPR事業に協力してほしいとの依頼があって、町について情報を収集するうちに見つけたのが認定こども園『はぜる』でした」
インターネットで同園の写真を見た山本さんは、どこまでも広がる空や緑豊かな庭園、大自然の中で満面の笑みを見せる子どもたちの姿に感激。都心の小さな保育園に通わせていた当時1歳半の娘を「短期間だけでも通わせたい」と、すぐさまワーケーションを利用して3週間、家族で厚沢部町に滞在することを決めた。
「たった3週間でしたが、娘は毎日体をめいっぱい動かして遊び、新しい言葉もたくさん覚えて帰ってきました。園の先生方の、子どもたちの自主性を尊重し、やりたいことをかなえようと一生懸命向き合う姿勢にも感動し、この体験を多くの人に広めたいと思うようになりました」
保育園留学事業を足掛かりに、地域活性化に取り組む。
「2022年からの3年間で約500もの子育て世帯がこの制度を利用しました。園がにぎわうだけではなく、町全体にとっての関係人口の創出、地域経済の活性化、移住者が増えるなど、受け入れ側にもメリットの多い事業だと考えています」
次第に「何か協力できることはないか」「町の特産物を来た人にもっと知ってほしい」など町民からもさまざまな声が上がるようになった。山本さんはまち作り全体に携わる姿勢で、これらに対応するための事業も新設。
「地域の食を贈るギフトサービス『NIPPON LOCAL FOOD GIFT』、地域・自治体のパートナーとして、子どもと地域の未来を創造する組織『こどもと地域の未来総研』を立ち上げました。保育園留学事業に加えこの3事業を主軸に、厚沢部町に限らず全国のまち作りを支援していきたいと考えています」
既に北海道内で7、北海道外で50の自治体が実施している保育園事業だが、各地域で人口減少が進む中、中長期的な見通しを持って今後も新たな事業の種を見つけていきたいと山本さんは言う。そしてそのためのアイデアを思い付いたら、まずは自らが実践してみることが重要だと続けた。
「当事者として良さを感じられるものであれば、それはきっと社会的にも必要とされる事業になると思います。まずは自分自身が『人生を謳歌すること』が大切です。保育園をハブとして、地域リモート制の普及や雇用促進にも力を入れて取り組み、それぞれの地域で誰もが人生を謳歌できるような事業の実現を目指していきたいと考えています」
株式会社キッチハイク
本インタビューはUHB(北海道文化放送)のトーク番組「BOSS TALK」とのコラボ企画により収録されました。
北海道を愛し、北海道の活性化を目指す“BOSS”が北海道の未来と経営について楽しく、真剣に語り合う“TALK”番組。独立するまでの道のり、経営者としての思い、転機となった出会いや目指す未来などを語ります。
UHBにて毎週火曜日深夜0時15分〜放送中!
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