未来を描く一本のペン。絵師が手掛けるまちづくり。【株式会社commons fun】
2024年7月8日 公開
異色の経歴から渋谷駅周辺の再開発に。
「芸術専門学群があり、同時にラグビー強豪校である筑波大学へ進学しました。寝ずに芸術課題をこなし、そのままラグビー部の朝練に参加するなんていう日も多々ありましたね。長い歴史を持つラグビー部でも、芸術専門学群に所属していたのは僕だけかもしれないです(笑)」
前例のない文武両道生活を終えた林さんは、大学院修了後、大手建築事務所に就職。研修の一環で一時的に東京に出向し、現在「100年に1度の大規模再開発」と呼ばれている渋谷駅周辺の都市デザインに携わった経験もあるという。
「まちのコンセプトを考えるところから始まり、どこにどんな建物を建てるかということをプロジェクトチームのメンバーみんなで話し合って、それを基にアイデアを絵に描き起こしていくという仕事をしていました。打ち合わせの場で絵を描くという、現在のライブドローイングスタイルは、この時の経験が大きく影響しています」
取り組みたいのは、顔の見えるまちづくり。
「プロジェクトの規模が大きいと、形になるまで数十年かかったりするんです。そうなると完成したまちで暮らす人の顔が具体的に思い浮かばなくなってしまいます。ビジネスとしてだけではなく、ライフワークとしてまちにかかわりたいと思うようになり、働きながら大学院生として身近なまちづくりについて研究してみることにしたんです」
大手企業の会社員と大学院生の両立。苦労話が飛び出すのかと思いきや、林さんは穏やかな笑顔で当時を振り返る。
「大学院では江別市のまちづくりをテーマに研究し、地元の若者や年配の方々と直接話をしながら、古民家を使ったイベント運営やゲストハウスの立ち上げに取り組んでいました。次第に顔の見えるまちづくりってやっぱり面白いなと感じるようになり、ちょうど企画していたゲストハウスがオープンするタイミングで独立を決意したんです」
それからは東京と北海道の2拠点で活動を始め、前職のつながりから渋谷区の公園等整備アドバイザー兼エリアマネジメントコーディネーターとして、更に江別市の地域プロジェクトマネージャーとして活動することになる。肩書きは「まちづくりコーディネーター」を名乗ることにした。
「ラグビーと絵と同じように、またしても二足のわらじを履くことになりましたが、そこで共通の課題を見つけることができました。役所としてイメージするまちの将来像と、住民が求める理想像には大きな隔たりがあるということです。絵師である僕だからこそ、それぞれの考え方を絵でわかりやすく整理しながらまちづくりにかかわっていける、そう強く思えたのもこの時でした」
地域とのコミュニケーションでまちを築き上げていきたい。
「ヒアリングする中で『不登校で学校には行けないけれど、スケートボードが自分の居場所なんだ』と話してくれた子がいたんです。それをきっかけに大通公園に一夜限りのスケボーパークを設営することが決まりました。世間一般的にあまり良いイメージではないスケートボードを、大人が居場所として受け入れてくれた。一人の子どもと、大勢の大人たちの間に信頼感が生まれた瞬間でした」
これをきっかけに林さんは一般社団法人「SAPPORO PLACE MAKING LABO」を立ち上げ、現在は子どもたちに限らず地域の人たちの生の声から空間コーディネートをする事業にも取り組んでいる。
「学校や企業、役所と連携しながら、みんながそのときの気持ちを表現できる場や、学びの場をつくっていくことができればと考えています。アイデアを、単なる思い付きで終わらせず事業として形にすることで、『耳を傾けてくれる人がいる』『共感して一緒にやってくれる人がいる』とみんなが思えるようなまちをつくっていきたいんです。声を出しやすい、この場にいて楽しい、と人々がつながっていった先に結果として良いまちができているんだと、今はそんな風に思っています」
株式会社commons fun
本インタビューはUHB(北海道文化放送)のトーク番組「BOSS TALK」とのコラボ企画により収録されました。
北海道を愛し、北海道の活性化を目指す“BOSS”が北海道の未来と経営について楽しく、真剣に語り合う“TALK”番組。独立するまでの道のり、経営者としての思い、転機となった出会いや目指す未来などを語ります。
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