「海の未来を守りたい」。海中での雇用拡大を目指す潜水士。【株式会社大歩(だいぶ)】
2024年5月13日 公開
深海の世界に魅了され進んだ潜水士への道。
「特に潜水士さんにはよく遊んでもらっていました。ウニの殻むきや、潜水服を洗うなどの手伝いをして、お小遣いをもらった思い出もあります。海にまつわる映画や本に触れるにつれ、光の届かない深海の世界に魅了され、徐々に海に関する仕事に就きたい、潜水士になりたいという具体的な夢を思い描くようになっていきました」
子どものころに芽生えた思いは大きくなっても変わらず、高校は国内で唯一潜水士養成課程のある岩手県種市高校へ入学。3年間下宿生活をしながら水中土木科で学び、国家資格である潜水士の資格を取得した。
「卒業後は地元・根室に戻ることも考えていましたが、潜水士としてより多様な業務経験を積もうと北海道の潜水会社へ就職する道を選びました」
入社した会社では海洋土木工事や海難救助はもちろん、潜水士の講習会や、大学に向けた潜水士資格テキストのためのデータ提供も行っていた。まだ20代だった中村さんは潜水業務の傍ら、大学教授のかばん持ちとして潜水士資格講座の会場へ足を運ぶことも度々あったという。
「受講生から潜水の経験談を求められる機会もあり、僕自身もより多くの人に海のことを教えたいと思うようになりました。更に講師として仕事をするために業務の傍ら講師資格を取得したことで、官庁や学校での仕事の場が全国へと広がっていきました」
30数年分の潜水手帳が、今も変わらぬバイブル。
このままでは救助活動はもちろん、ほかの業務も含めすべての仕事を受けられなくなると知った中村さんは、同僚2人に声を掛けてすぐに起業した。しかし、社名が新しくなったというだけでなかなか信用してもらえず、1年目は金銭面でも本当に苦労の連続だったと振り返る。
「つらい期間を乗り越えることができたのは、信頼さえ得られるようになれば絶対にうまくいくという自信があったからです。実は18歳のころから潜水記録を手帳に残していて、潜水時の天候や海の状況、地域特性、作業内容、必要な工具などを詳細に記録してきました。その記載を元に、最適な提案を行うことで、お客様からの着実な信頼を得ていったんです」
仕事をこなすたびに信頼の輪は大きくなり、従業員も1人、2人と増員できるようになっていった。自らの成長を記録した潜水手帳は、若手社員の教育にも大いに役立ってきたと中村さんは話す。
「経験が浅かったとしても、海中では冷静に業務を遂行しなければなりません。不安感からパニックを起こしてしまわぬよう、あらかじめ潜水手帳をもとにさまざまな状況下での業務内容を教えるようにしています。実体験に基づいて話をすると、より伝わりやすくなるというのは講師経験から学んだことです」
海の未来のために、水中ドローンで新たな雇用を。
「水中ドローンが当たり前の時代になれば泳ぎが苦手な人や、潜水ができない人、ハンディキャップのある人でも仕事に就くことができるようになると思うんです。人とのコミュニケーションが苦手な人が、遠隔でドローン操作をしてお金を稼ぐという新たな雇用形態も考えられますよね。また海に関する仕事に関心を持つ人を一人でも増やしたいという思いで、屋内プールでは子ども向けのイベントも開催しています」
そんな中村さんが、社長として大切にしているのは信頼関係だ。創業当時に社会的信用の重要性を痛感したからこそ、今も人との信頼関係を最も大切にしているのだという。
「会社として信用されるというのは、従業員一人ひとりが信用されるということ。潜水士としてはもちろん、私生活でも目の前の相手に信じてもらえる人間になってほしいと思っています。現場のトップでありながら、生活環境や金銭管理の仕方など、人生全般を教えられる父親のような存在でありたいですね。社員達とファミリーとして、一丸となって海の未来を守りたい。それが僕の思いです」
株式会社大歩
本インタビューはUHB(北海道文化放送)のトーク番組「BOSS TALK」とのコラボ企画により収録されました。
北海道を愛し、北海道の活性化を目指す“BOSS”が北海道の未来と経営について楽しく、真剣に語り合う“TALK”番組。独立するまでの道のり、経営者としての思い、転機となった出会いや目指す未来などを語ります。
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