注目企業のトップに聞くin北海道 メガネを通して世界中を元気に。進化する「メガネのプリンス」【株式会社ムラタ】

2024年5月13日 公開

メガネ・サングラス・補聴器などの販売店「メガネのプリンス」を国内外に展開する株式会社ムラタ。札幌市厚別区の店舗を皮切りに、全道、全国へと拠点を広げ、東南アジアを中心に海外店舗数も拡大している。また実店舗にとどまらず、仮想店舗の出店や、VR・AI技術を用いた来店不要の接客・販売を目指した取り組みも展開。社長の内間木さんに業界の今と今後の展望についてお話を伺った。
代表取締役社長/内間木義勝さん
上ノ国町生まれ江別市育ち。子どものころは野球やラグビーなどに打ち込むスポーツ少年だった。高校卒業後大手製紙会社に入社し、コピー用紙などの製造業に携わる。世の中がペーパーレス化していく中で転職を考えるようになり、1998年、32歳で14年間勤務した製紙会社を退職。株式会社ムラタに入社し、店長・エリアマネージャーを経て2013年社長に就任。

30代での異業種転職から2代目社長への転身。

上ノ国町生まれ江別市育ちの内間木さん。小学校・中学校時代は野球、高校時代はラグビーに打ち込むスポーツ少年だったという。
「スポーツが好きで、子どものころからとにかく負けず嫌いな性格でした。高校を卒業した後は大手製紙会社に入社し、コピー用紙などを製造していたのですが、30歳を過ぎたころ、世の中がペーパーレス化していく中で転職を考えるようになりました」

そんな内間木さんを株式会社ムラタへと誘ったのが、義父で創業者である村田晃啓さんだった。全く畑違いの業界への転職のため、入社直後は新卒社員のような心持ちで仕事を覚えていったという。
「目の仕組みやメガネの作製技術などを一から勉強し、店舗で接客経験を重ねました。小売業の中でもメガネの販売は特殊な仕事だと言われています。というのも、『半医半商』といって、商売でありながら医学的な知識や判断が求められる点で他の小売業とは少し事情が異なるんです。お客さまの目の健康状態を把握し、それに合わせた商品を提供するには豊富な専門知識が必要となります」

持ち前の負けず嫌いの精神で、努力と経験を積んだ内間木さんは入社3年で店長になり、その後エリアマネージャーへと昇進。入社15年目、47歳になったころ、その日は突然やってきた。
「先代に呼ばれて、1週間後に社長になるよう告げられました。驚きましたが、着実に現場経験を積んできた自信や、従業員との信頼関係、そして先代が築いてきた結束力の強い組織に対する安心感もあって、迷うことなく話を受けることにしました」

120%の成果を目指し、職場作りや社会貢献にも尽力。

先代社長の村田さんと親族関係だったことから、人事発令後、周囲から厳しい助言も受けたという。中でも印象的だったのが、古くから働く財務役員からの言葉だ。
「『あなたは立場上恵まれているのだから、120%の努力と成果を見せるつもりで仕事に取り組まなければ周りに認めてもらうことはできない。人より頑張らないといけないよ』と言われました。40代の自分にとっては厳しい助言ではありましたが、今でもその言葉のお陰で、社長という立場におごることなく誠心誠意、仕事に向き合えていると思っています」

社長に就任した内間木さんがまず始めに取り掛かったのが、デジタル化やペーパーレス化だ。
「顧客情報をデジタル化し、来店時にスタッフがすぐに過去の購入履歴や視力などの情報を確認できるようにしました。確認に掛かる時間が短縮されたことで、お客さまにはより効率的にメガネを選んでいただけるようになり、現場スタッフの業務軽減にもつながったと思います」

お客さまにとっても店舗スタッフにとっても、より快適な店舗経営を目指す内間木さん。大切にしているのは自らの足で各店舗を周り、スタッフ一人ひとりとコミュニケーションをとることだ。
「店長だけではなく、現場のスタッフ全員と会話をすることで現場の問題点が見えてくることも多いんです。若手社員が生き生きと働いている様子を見ていると、僕の方もより良い職場環境を作っていこうという気持ちが一層強くなりますね」

お客さまやスタッフへの対応だけではなく、メガネを通じた社会貢献活動にも力を入れていると内間木さんはいう。
「下取りセールで使わなくなったメガネを集め、老眼鏡用レンズに付け替えて高齢者施設に寄贈する活動を行っています。その他にも地域の老人クラブを訪問して、メガネクリーニングやフレームの調整・お直し・分解掃除など、メガネのアフターケアもしてきました。『メガネをかけた人の似顔絵コンテスト』は、地域交流の一環としてこれまで40年以上続けてきたイベントです」

最新テクノロジーの力で、メガネ選びを楽しく便利に。

コロナ禍を経て来店せずにメガネに関する相談ができるオンライン相談など、先進的な取り組みにも挑戦してきた「メガネのプリンス」。だが、内間木さんによるとまだまだ進化の過程だという。
「最近ではAIによる『パーソナルイメージ診断』も好評です。『パーソナルイメージ診断』は店舗でもご自宅でも利用できる便利なツールで、年齢・性別・顔型・肌の色・髪の色から、お勧めのメガネフレームを知ることができます。今後はメタバース空間に仮想店舗を出店したり、VRゴーグルで視力検査ができるような仕組みを作ったりするなど、テクノロジーを利用することで、実店舗以外でもお客さまにメガネを選んでいただけるようにしたいと考えています」

一方、実店舗でも足を運んだお客さまを楽しませる試みを忘れない。既に、カメラの前に立つだけで自分に似合うメガネが分かるというAIサイネージも一部店舗で導入。自身の転職の原点でもある「次の時代を行くビジネス」に挑戦し続けている。
「2030年までには現在、20ある海外店舗を2倍から2.5倍に増やす予定です。メガネを通して地域を、社員を、そして世界中に元気を与えるために、これからも新しい挑戦を続けていきたいと思います」

株式会社ムラタ(メガネのプリンス)

1963年創業。札幌市厚別区にわずか3坪の店舗を構え、メガネ・サングラス・補聴器などを販売する「メガネのプリンス」をオープン。2024年現在、道内を中心に国内57店舗、ベトナム・マレーシア・インドネシア・カンボジアなど海外20店舗を構える。2022年に誕生した国内唯一の眼鏡作製総合エキスパート資格「眼鏡作製技能士」保持者在籍の店舗も多数。
北海道札幌市厚別区厚別南2丁目11-31
TEL.011-893-1111
https://www.mega-pri.co.jp/
BOSS TALK
本インタビューはUHB(北海道文化放送)のトーク番組「BOSS TALK」とのコラボ企画により収録されました。
北海道を愛し、北海道の活性化を目指す“BOSS”が北海道の未来と経営について楽しく、真剣に語り合う“TALK”番組。独立するまでの道のり、経営者としての思い、転機となった出会いや目指す未来などを語ります。
UHBにて毎週火曜日深夜0時25分〜放送中!

注目企業のトップに聞くin北海道

最新記事5件

すべての人の笑顔のために。保育と福祉で地域づくりを。【株式会社クローバー】 2024年7月22日 公開

小規模保育園を開園した代表の田中さんに、起業に至った経緯や子どもたちへの思い、今後の展望などを伺った。

酒造りでまちづくり。「地域創生蔵」を全国へ。【上川大雪酒造株式会社】 2024年7月15日 公開

サラリーマンだった塚原さんが起業したきっかけや、酒蔵建設に至った経緯、今後の展望などを伺った。

未来を描く一本のペン。絵師が手掛けるまちづくり。【株式会社commons fun】 2024年7月8日 公開

大手建築事務所で都市開発に携わりながらも大学院に進学を決意したきっかけや、独立して会社を立ち上げた経緯、今後の展望などを伺った。

“We Are Stars.”バレーボールチームと共に、北海道を元気に。【株式会社北海道イエロースターズ】 2024年7月1日 公開

バレーボールチームの代表取締役に就任した経緯、チームメンバーへの熱い思いなどを伺った。

エンジニアの一人ひとりの幸せな人生のために余白のある働き方を。【株式会社Point】 2024年6月24日 公開

「人生ハッピーな方がいい」と話す同社代表取締役の安田崇志さんに、その詳しい理由や今後の展望を伺った。