得意や好きを生かし、苦手なことはしなくていい社会を作りたい【GANON FLORIST】
2023年7月17日 公開
東日本大震災を機に、自然に関心を持つ
「当時の僕にとっての音楽は、メッセージを発信することができるツール。立派な大人になりたいと思う一方、自分がどんな大人になれるのか分からず、迷いとアンチテーゼの中で生きていたような感じです」
花の世界に入るきっかけになったのは、22歳の時に発生した東日本大震災。災害の原因や原発の問題について、大人たちが互いに責任を押し付け責め合うばかりで、自然や環境について真剣に考える姿勢がないと感じた。この時を機に、自然に携わる仕事をしたいと考えるようになったという。
自分にできることを考え抜いた結果、清野さんが選んだ道はフローリスト。札幌の専門学校に通い技術を身に付けた。卒業後、周囲にいる社会的成功者を見渡し、その誰もが海外生活の経験を持っていたことから、自分も海外へ行くべきだと考えた。
「海外へ行ってみたら何か分かるかもしれないというくらいの漠然とした気持ちでカナダに向かいました」
カナダで文化の違いを実感し、未知の世界へ飛び込む
「そこで『僕は天才的なフローリストです』って履歴書に書いたんです。経験も実績もまるでないのに(笑)」
ユニークな自己アピールが功を奏し、結果は見事採用。それどころかいきなり新店舗を任されることに…。
「さすがにこれはまずいと思いましたが、『イエス』以外の答えは有り得ない。そう言わなければやっていけない世界だと感じ、すべてにイエスと答えるようにしました」
店舗運営の仕事は楽しく、自分でもできると安心したという清野さん。やがてファッションプロデューサーの女性と知り合ったことで、花とファッション、双方の仕事に携わるようになった。
「2つの世界で仕事をするうちに『髪に花を飾ってほしい』『ショーの中で空間デザインとして花を使いたい』などの依頼も多く受けるようになりました。さまざまな場面で花を飾り見てもらうことで、多くの人が花や植物に興味を持ってくれることを実感したんです」
花を贈る文化を世界中に広め、夢と平和を与えたい
「日常的にパートナーや家族に花を贈る習慣のあるカナダと、せいぜい年1、2回しか人に花を贈らない日本。開店前に習慣や文化の違いに気付かなかった自分の見立ての甘さをどれほど後悔したことか…」
それでも花を売ることよりも、花の名前を覚え、花や自然に興味を持ってほしいというのが清野さんの一番の願いだった。来店客の頭にたくさんの花を載せて飾り、写真に残すことでより印象深いものにしようと考えて始めたのが「HANANINGEN」だ。
最初は客に花の実費のみを支払ってもらう形でパフォーマンスを行った。その代わりに使った花の名前を必ず覚えること、SNSのプロフィール写真を1カ月間HANANINGENにすることを条件に活動を続けると、あっという間に話題になり、一時は予約が1600人待ちの状態にまで成長した。
現在、清野さんはロサンゼルスに住み、ハリウッドスターや映画監督など著名な人びとに花を飾りながら世界中に花の魅力を発信している。道内外、海外に姉妹店舗を持ち、HANANINGENが“発芽撮影”できるフォトスタジオも日本国内に約30カ所を展開中だ。
日本人、外国人合わせて約40人のスタッフのボスである清野さんが大切にしているのは、一人ひとりの可能性と才能を見つけ得意なことや好きなことを伸ばす、というもの。「したくないことや苦手なことはやらなくていいと言える社会を作りたい」と話す。
「今後はデザインやクリエイティブの職業の選択肢が少ない北海道で、若者が集える居場所を作りコミュニティを育てることを計画しています。札幌発のアーティストとして世界で活躍する姿を若者たちに見せ、夢を与えたいですね。紛争中や貧困地域に花屋はほとんどなく、花を贈る文化も育ちません。花を贈れる社会には笑顔もあふれているもの。世界が平和になるよう、これからも花を広め続けていきたいと思っています」
GANON FLORIST(ガノンフローリスト)
TEL.011-633-5522
https://ganon-florist.com
Instagram:@hikaruseino.ganon
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