目指したのは、日本一町民に必要とされる道の駅【株式会社at LOCAL】
2023年7月24日 公開
生家は十勝の焼肉店。子ども時代の夢は飲食店の経営!
短大卒業後は、将来飲食店を営むためにも、まずは食の根幹である農業について学ぼうと地元であるJA中札内に就職した。
JAでは事務仕事だけでなく、特産品である枝豆の選別作業、特産品のPR・販売などさまざまな業務を経験した。その中で若手農家のグループが取り組むマルシェの活動を手伝うようになり、やがてグループの代表で「夢想農園」を営む隆一さんと結婚。士幌町に移住し、農園を手伝うことになった。
「嫁ぎ先は、白カブをメインにレストラン向けの少量多品目野菜、肉牛生産などを行う複合農家。一次産業の楽しさは感じましたが、これまでに身に付けた接客や事務・経理、販売などのスキルをどこにも生かせないことは残念に感じていました」
男性中心の農業の世界で、どうすれば農家の女性が自分のキャリアを生かせるのかを真剣に考えたという堀田さん。その結果2014年に立ち上げたのが、十勝若手女性農業者のネットワーク「農と暮らしの委員会」。女性農業者や農家の妻をはじめ、新たに農業を学びたい女性などが集まって交流会や勉強会、視察やイベントへの出店など幅広い活動を行った。農業を通じて十勝の女性が輝き、農業をより魅力的なものにする取り組みは大きな話題となり、さまざまなメディアで取り上げられた。
自分たちの道の駅は、自分たちの手でつくる。
「このままでは町外の大手企業に運営を任せるしかなくなる。そうなったら町とはゆかりのない品がズラリと並ぶ道の駅になってしまうかもしれないと、危機感を抱きました」
ならば、自分が手を挙げようーー。そう考えた堀田さんは、夫・隆一さんと相談。運営業者の公募に申し込むため、株式会社at LOCALを設立した。
2016年に運営業者に選定され、道の駅リニューアルオープンまでの準備期間は1年。すべてが未知、未経験の世界だったが「怖いとか不安だとかより、ただ私たちがやらなければという当事者意識でいっぱいでした」と堀田さんは振り返る。
道の駅運営にあたり、コンサルティング会社からは、観光客にどう支持されるかが大切だと言われたが、堀田さんの考えは違った。
「士幌は観光地ではありません。町の人々にとって憩いの場であってほしいという町民の声もありました。目指すべきは、地元の人が集まるにぎやかな道の駅に観光客が訪れ、町の素晴らしさに共感してくれるという姿。そのために『日本一町民に必要とされる道の駅』をコンセプトに掲げ、食堂の名前を公募で決めたり、地域ゆかりの人物の名をカフェの名称に取り入れるなどしながら、この道の駅は自分たちのものであるという意識を町民の間に浸透させていきました」
子どもたちの思いを取り入れた町づくりを。
「小中高生からアイデアを募って公園を設計したり、道の駅改善のワークショップを行うなどしています。大切にしているのは、子どもたちのアイデアを忠実に反映すること。彼らが大人になった時『自分たちが行政を動かし、故郷の町づくりに取り組んだんだ』と思えたら、こんな素晴らしいことはないですよね」
また、道の駅を訪れた人がそのまま帰るのではなく、町の商店街も訪ねてくれるようにと、情報誌も制作した。
道の駅は、観光産業としてコロナでは大きな打撃を受けた。だがそれさえも堀田さんは前向きにとらえる。
「お客様が来なくなったことで時間ができ、定期的にミーティングや社内研修、勉強会などができるようになりました。私自身もこの期間に会社組織の見直しを積極的に進められたと実感しています」
スタッフの管理・教育に関しては「最初から完璧な人などはいない」という前提に立ち進めるのが大切だと堀田さん。時にはトラブルに遭遇することもあるが、助け合うことが当たり前だと思える環境づくりをしていきたいと話す。
「人の本音は、何気ない会話のその奥にあるもの。悩みや不満を抱えていそうなスタッフには積極的に話し掛け、問題を解決したり、今後実現したいことを聞き取るよう意識しています」
こうしたコミュニケーションも今後の道の駅づくりに活用したいと堀田さん。コーヒー好きのスタッフが施設内に焙煎所を作ったり、料理長が考案した商品を売るなどの半独立も応援し、多様な生き方ができる自己実現の場にしていきたいと夢を語った。
株式会社at LOCAL
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