壁画アートで北海道に活気を。地域活性化を目指して、新たな観光名所を創る。【JAPAN AX PROJECT株式会社】
2025年6月30日 公開
公共空間や施設、オフィスや住宅などにミューラルアート(壁画)を描くサービスを提供するJAPAN AX PROJECT株式会社。描かれる工程も楽しむことができる壁画は多くの注目を集め、2024年9月には札幌駅周辺再開発工事の仮囲いに描かれたアートも大きな話題となった。代表取締役社長を務める山田真史さんに、起業に至った経緯やこれまでの取り組み、今後の展望について伺った。
チャレンジ精神で切り開いてきたキャリア。
札幌市出身。幼少期はバスケットボール選手を夢見ていた山田さんだったが、成長と共にその希望進路は変化していったという。
「子どもが好きだったので保育士を目指していたこともありました。その後は音響関係の仕事にあこがれて専門学校にも通いましたが、最終的にはウエディングプランナーとして就職しました。ですが職場環境が合わずに辞めてしまい…。若いころはとにかく自分の好きなことに体当たりで挑戦し続けていましたね」
その後も結婚式にかかわる仕事がしたいという思いが強かった山田さんは、ゼクシィを運営する株式会社リクルートの門をたたいた。しかし結果として入社はかなわなかった。
「面接会場に居合わせた求職者たちは、学歴もさることながら、自身の強みや今後の目標を言葉にして伝える能力に長けている人ばかりでした。不採用だったことを機にまずはトークスキルを磨こうと考え、その後カーディーラーで営業職に就きました」
そこから3年間の営業経験を経て、2009年、株式会社リクルートカーセンサーに派遣社員として入社。その後わずか2カ月で契約社員、2年後には正社員、更に2年がたつころにはリクルート東京本社への転籍とステップアップしていった。気付けば山田さんは、全国約400人の営業に対する運用設計やフロー管理業務に関する指導をするなど、プレイングマネージャーとして手腕を発揮していった。
「子どもが好きだったので保育士を目指していたこともありました。その後は音響関係の仕事にあこがれて専門学校にも通いましたが、最終的にはウエディングプランナーとして就職しました。ですが職場環境が合わずに辞めてしまい…。若いころはとにかく自分の好きなことに体当たりで挑戦し続けていましたね」
その後も結婚式にかかわる仕事がしたいという思いが強かった山田さんは、ゼクシィを運営する株式会社リクルートの門をたたいた。しかし結果として入社はかなわなかった。
「面接会場に居合わせた求職者たちは、学歴もさることながら、自身の強みや今後の目標を言葉にして伝える能力に長けている人ばかりでした。不採用だったことを機にまずはトークスキルを磨こうと考え、その後カーディーラーで営業職に就きました」
そこから3年間の営業経験を経て、2009年、株式会社リクルートカーセンサーに派遣社員として入社。その後わずか2カ月で契約社員、2年後には正社員、更に2年がたつころにはリクルート東京本社への転籍とステップアップしていった。気付けば山田さんは、全国約400人の営業に対する運用設計やフロー管理業務に関する指導をするなど、プレイングマネージャーとして手腕を発揮していった。
コロナ禍でひらめいた壁画事業で、独立の道へ。
プライベートでは結婚し父親になった山田さんは、2018年、家族の意向もあって地元・札幌に事業所があった株式会社グルーコードにUターン転職。2021年にはその関連会社として新設された、住宅リフォームとリノベーションのマッチングサービスを担うmonocla株式会社にも在籍し、新規事業開発業務を担い、その後社長として就任した。新型コロナウイルスが猛威を振るう中、山田さんは立ち上げられたばかりの同社で新規事業の構想を練っていた。
「ある時リノベーション事業者と話していて、思い付きで『家の壁に絵を描くサービスでも始めますか』と言ってみたんです。コロナ禍で住宅需要が上がっていたことや、自宅にアートを飾る人が増えているというニュースを読んだ記憶から考え付いたのですが、その時点ではまだ漠然と需要がありそうだという話をする程度でした」
しかし事業化の話はトントン拍子に進み、まずは第一号として山田さんご自身がアーティストを自宅に招き、壁画を描いてもらうことに。
「普段かかわる機会もないアーティストを家に招くということ自体が新鮮でしたし、絵が出来上がるまでの工程を間近で見られるというのも貴重な経験でした。4〜5日間かけて描いてもらう中で、お互いの人となりも分かってきて、プライベートな話もするようになったんです。我が家の場合は子どもたちも制作に参加させてもらったので、愛着のわく作品になりました。最終日にはもうアーティストと依頼主という関係ではなく、お互い家族のようになっていたと思います」
2022年、山田さんはこのサービスを本格的に事業化するため、JAPAN AX PROJECT株式会社を立ち上げることを決意した。
「社名の“AX”というのは『artistic transformation』の略で、“芸術やアナログなモノが暮らしを豊かにする”を意味する造語です。DXによって生み出された余暇に、アートなどのアナログで非効率的な活動を取り入れることによって、心が豊かになるという考えが基になっています」
「ある時リノベーション事業者と話していて、思い付きで『家の壁に絵を描くサービスでも始めますか』と言ってみたんです。コロナ禍で住宅需要が上がっていたことや、自宅にアートを飾る人が増えているというニュースを読んだ記憶から考え付いたのですが、その時点ではまだ漠然と需要がありそうだという話をする程度でした」
しかし事業化の話はトントン拍子に進み、まずは第一号として山田さんご自身がアーティストを自宅に招き、壁画を描いてもらうことに。
「普段かかわる機会もないアーティストを家に招くということ自体が新鮮でしたし、絵が出来上がるまでの工程を間近で見られるというのも貴重な経験でした。4〜5日間かけて描いてもらう中で、お互いの人となりも分かってきて、プライベートな話もするようになったんです。我が家の場合は子どもたちも制作に参加させてもらったので、愛着のわく作品になりました。最終日にはもうアーティストと依頼主という関係ではなく、お互い家族のようになっていたと思います」
2022年、山田さんはこのサービスを本格的に事業化するため、JAPAN AX PROJECT株式会社を立ち上げることを決意した。
「社名の“AX”というのは『artistic transformation』の略で、“芸術やアナログなモノが暮らしを豊かにする”を意味する造語です。DXによって生み出された余暇に、アートなどのアナログで非効率的な活動を取り入れることによって、心が豊かになるという考えが基になっています」
地域にも、オフィスにも。壁画で作る新たな人流。
山田さんは住宅のみならず、企業や公共の場にも壁画を提案していった。中でも新篠津村の米倉庫に描いた巨大プロジェクトが印象的だったという。
「約100平方メートルの大きな壁画を、2週間ほどかけて制作しました。その間に村では夏祭りが開催されていたこともあって、ビールを片手に壁画が描かれる様子を見に来る人がいたり、隣の街からラッパーが来て盛り上げてくれたりと、さまざまなことが起こりました。大きな壁画は人を集める力がある、地域活性の一助にもなるんだなと体感した瞬間でした」
また、企業のオフィス内に壁画を描いてほしいという依頼も増えているという。経営理念や未来に向けたビジョンをアートとして描くことで、従業員同士の結束力が高まるのだとか。住宅に付加価値をもたらすサービスとして始めた事業は、ターゲットを次々と拡大していった。
「2024年に札幌駅横工事現場の仮囲いに、日本最大級となる約100メートルのミューラルアートを制作したことも大きな話題になりました。『工事現場なのに歩くのが楽しみになった』『今日からここを通勤ルートにする』といった声が多く届き、街に活気を提供できた喜びでいっぱいになりました。メディアでは観光名所としても取り上げていただき、改めて事業の将来性を感じる機会でした」
今後もさまざまなシーンで壁画事業を展開し、北海道をはじめ、多くの地域で新たな人の流れを生み出していきたいと語る山田さん。ご自身も転職を重ねた経験から、悩んでいる人々に向けて、こう話してくれた。
「僕自身、転職を重ねて経験したことが、今の仕事や生き方につながっていると感じています。進む道に悩んでいる人も多いかもしれませんが、いきなり答えを探すのではなく、まずは目の前のことに向き合うことで自らの道が創られていく、というのも一つの方法ではないでしょうか」
「約100平方メートルの大きな壁画を、2週間ほどかけて制作しました。その間に村では夏祭りが開催されていたこともあって、ビールを片手に壁画が描かれる様子を見に来る人がいたり、隣の街からラッパーが来て盛り上げてくれたりと、さまざまなことが起こりました。大きな壁画は人を集める力がある、地域活性の一助にもなるんだなと体感した瞬間でした」
また、企業のオフィス内に壁画を描いてほしいという依頼も増えているという。経営理念や未来に向けたビジョンをアートとして描くことで、従業員同士の結束力が高まるのだとか。住宅に付加価値をもたらすサービスとして始めた事業は、ターゲットを次々と拡大していった。
「2024年に札幌駅横工事現場の仮囲いに、日本最大級となる約100メートルのミューラルアートを制作したことも大きな話題になりました。『工事現場なのに歩くのが楽しみになった』『今日からここを通勤ルートにする』といった声が多く届き、街に活気を提供できた喜びでいっぱいになりました。メディアでは観光名所としても取り上げていただき、改めて事業の将来性を感じる機会でした」
今後もさまざまなシーンで壁画事業を展開し、北海道をはじめ、多くの地域で新たな人の流れを生み出していきたいと語る山田さん。ご自身も転職を重ねた経験から、悩んでいる人々に向けて、こう話してくれた。
「僕自身、転職を重ねて経験したことが、今の仕事や生き方につながっていると感じています。進む道に悩んでいる人も多いかもしれませんが、いきなり答えを探すのではなく、まずは目の前のことに向き合うことで自らの道が創られていく、というのも一つの方法ではないでしょうか」
JAPAN AX PROJECT株式会社
2022年札幌市に設立。オフィスや住宅、公共施設、工事現場などに壁画を描き、アートを通じて人々の交流の場を創造している。企画立案からアーティスト選定、制作ディレクションまでをワンストップで提供。より多くの人にアートに触れてほしいという思いから、ワークショップなども開催している。
北海道札幌市北区あいの里3条6丁目16-8
https://www.axpjt.com/
https://www.axpjt.com/

BOSS TALK
本インタビューはUHB(北海道文化放送)のトーク番組「BOSS TALK」とのコラボ企画により収録されました。
北海道を愛し、北海道の活性化を目指す“BOSS”が北海道の未来と経営について楽しく、真剣に語り合う“TALK”番組。独立するまでの道のり、経営者としての思い、転機となった出会いや目指す未来などを語ります。
本インタビューはUHB(北海道文化放送)のトーク番組「BOSS TALK」とのコラボ企画により収録されました。
北海道を愛し、北海道の活性化を目指す“BOSS”が北海道の未来と経営について楽しく、真剣に語り合う“TALK”番組。独立するまでの道のり、経営者としての思い、転機となった出会いや目指す未来などを語ります。
UHBにて毎週火曜日深夜0時15分〜放送中!
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