株式会社はなまる

2022年3月1日公開

株式会社はなまるが運営する「根室花まる」は、道内指折りの人気を博す回転寿司店。今や首都圏へと進出する他、新しい業態にもチャレンジしながら北海道のおいしさを多くの人に届けています。敏腕経営者としても知られる代表取締役の清水鉄志さんに、独自の切り口から新卒採用の考え方や若い世代へのメッセージをいただきました。

ブレない「芯」を見せてください。

株式会社はなまる代表取締役清水鉄志さん（68歳）
根室市出身、根室高校卒業。東京で落語家修行、劇団活動などを経験した後根室に戻りスナックを開店。42歳のころに回転寿司「花まる」を開業、平成12年に札幌に、平成25年には東京に出店。近年は新業態にもチャレンジ。

新卒採用の考え方働く意義や価値を感じられるかどうかが大切。

当社が新卒採用に力を入れ始めたのは15年ほど前。かつて、私たちのような規模の飲食企業は人材市場としても新卒の学生さんを採用するのが難しく、中途採用に偏りがちだったのが正直なところです。ただ、当時の飲食業界にはまだまだ「包丁一本で日本全国を渡り歩く」ような考え方の職人が多く、なかなか定着に結びつきませんでした。こうした理由から、新卒の学生に経験を積んでもらい、会社の理念に共感した上で長く働いてほしいと考えたのです。
とはいえ、最初は新卒をどのように採用して良いかすら分からないような手探りの状態。当社としても試行錯誤を積み重ねていった結果、飲食業界未経験の学生さんでも成長できる研修カリキュラムを整え、今は座学と実技を2本立てで学べる「花咲学校」などを用意しました。この仕事は技術を重視すると思われがちですが、大切なのは社会人としての考え方や人間としての有り様。働く意義や価値を感じられるようになると仕事への向き合い方がガラリと変わると思いますので、新卒の社員には最初にこうしたマインドを伝えるようにしています。

面接でよく尋ねること「芯」を見極めるための質問。

私が担当しているのは最終面接です。一次面接、二次面接を経てきた学生さんと相対するため、当社の求める人材像のベースはクリアしていると考えています。その上でよく質問するのは「働くことそのものに対し、どのような見方をしているか」ということです。
学生さんにとっては難問ですし、答えようがないかもしれません。もっと言えば、正解も人それぞれでしょう。私自身も正答を求めているわけではなく、働くことに対する考え方に学生さんなりの「芯」があるかどうかを見つけたく、この質問を投げかけているのです。
飲食業界では物事を深く掘り下げて考えられるタイプのほうが活躍する傾向にあると思っています。不器用でも真面目に仕事と向き合うほうが長い目で見た時に成長するものです。このような理由からも先の質問の答えから学生さんのぶれない「芯」を感じることができれば、当社で成長していくことに期待が持てると考えています。

若い世代へのメッセージ社会はメディアやスマホの中の情報とは異なります。

皆さんは、小さなころから数多くの情報に囲まれて生きています。とりわけメディアやスマホから流れてくるニュースは、ネガティブなほどインパクトが大きいものです。こうした情報にさらされていることで、「社会はそもそもずるいものだ」「社会はご都合主義」などの思いにとらわれ、利己的な考え方に走ってしまうケースも少なくないと思います。
けれど、社会が騙し合いやずるさにあふれていては当然ながら世界が成り立ちませんし、私たちはいがみ合ってビジネスをしているわけでもありません（笑）。裏を返せば、自分の仕事に対して評価が高まることでうれしくなったり、人から必要とされることに幸せを感じたり、働くことは楽しみに満ちています。もちろん、辛さや違和感と向き合わなければならないこともありますが、その壁を乗り越えることで仕事は面白くなるものです。こうした感覚を得るには、やはり学生のうちにアルバイトを経験するのが近道だと思います。