株式会社伊藤塗工部

2022年3月1日公開

札幌を拠点に大型建築物や橋梁の塗装やマンション等の大規模修繕工事、一般住宅のリフォームの他、自社工場における金属焼付塗装を手掛けるなど、建設業における総合仕上工事業者を目指す技術者集団「伊藤塗工部」。その四代目代表の伊藤龍平代表へのインタビューです。

常識にとらわれず視野を広げて悔いのない就活を。

代表取締役／伊藤龍平さん（42歳）
北海道札幌市出身。青山学院大学理工学部を卒業後、システムエンジニアとして首都圏の企業に勤務。先代社長の体調不良をきっかけに、2006年伊藤塗工部に転職。2年間の勤務経験を経て2008年より同社代表に就任。一世紀を超える伝統を重んじる一方、IT技術や社員一人ひとりが持つ先駆的な営業センスを取り入れ時代にフィットした経営に取り組む。

面接の本音新卒さんの面接で必ずする質問が、2つあります。

私が面接で必ずするのは「何か続けてきたことはありますか」と「友人の集まりの中であなたはどんな役割？」という質問です。前者はその人物の継続力や見識を推しはかります。スポーツ、趣味、ボランティア…どんなことでもいい、内容は問いません。何かを続けてやってきた＝継続性に長けているという性格は、我慢強く、根気があると判断します。塗装技術の習得から始まる弊社の業務においては､必ずプラス要素に働くでしょう。逆に継続してきたことがないと答えた人でも、広く多彩な経験を有してきたと捉えることが多いです。
友人の中での役割で分かるのは大勢の中でのその人の立ち位置。輪の中心になる人はリーダーシップを有しているでしょうし、幹事役はリーダーを直接支える人、あまり前に出ない人は協調性があるのだろうと予想します。いずれにせよマイナス面ではなくプラス面を引き出そうというのが自分の面接方法。シンプルな質問だからこそ人物像に直結するケースも多いんですよ。

就活のアドバイス知名度を就職先選びの中心に据えないように。

一般消費者相手ではなく、企業同士でビジネスに取り組む企業は、世間に名前を知られる機会は多くありません。弊社のような建設業界の一部を担う専門的な企業であればなおさらです。しかし一般の方々にその名が知られていなくても、社会的信頼度が高かったり、不況に強かったり、社風がすばらしかったり…そんな企業は山ほどあります。確かに知名度は企業の数多い特徴の1つではありますが、名前を知らない企業にも興味を持ってみると、本来の意味でのいい企業や自分に適した仕事や職場に出会えるチャンスが増えると思います。
弊社も「塗工部」という名称が付いていますが、塗装だけでなく大規模な建物修繕工事にも取り組んでいます。仕事も現場業務のほかマネジメントや営業など多彩ですし、社風の改善や制度の改革などの取り組みも現代的です。でも名前や知名度だけでそんなこと分からないですよね。昨年弊社に入社した4大卒の女性社員も就活を通じて初めて弊社の存在を知り「こんなに仕事がおもしろそうな会社があるなんて」と目を輝かせて話しています。
繰り返して言いますが知名度は企業の特徴の1つ。それを就職先選びの中心に据えるのは、視野や職域を狭めてしまうことになりかねません。

こんな社会人に技術や知識に長けている人より「かわいがられる人」。

昨年入社した新卒の一人が私に「どんな社員になってほしいですか」と尋ねてきました。私は「先輩たちにかわいがられる人」と即答しました。新入社員は意外な顔をしていましたが、これが私の本心。なぜなら、周りの人からかわいがられる社員は期待以上に成長する、ということを私自身が目の当たりにしてきたからです。
かわいがられる人は往々にして素直です。明るい人、正直な人、笑顔が似合う人も多い。知識や技術が高いとは限りませんが、その不足分を凌駕するくらいに、人間味や人間力があるんです。その魅力に惹かれるように先輩たちが指導しチャンスを与えさらに上のステージへと引っ張りあげていくのでしょう。
だからといって、無理にかわいがられようとする必要はありません。真っ白な新人のまま、ピュアな好奇心のままに、考え行動すればいい。そのまっすぐな視線やひたむきな行動を先輩たちはちゃんと見ていますから。