北海道の経営者に聞く3つの質問「転機・人・未来」 「North Continent」や「ぎょうざ北大陸」を展開する北大陸の川畑智裕代表に聞いた「転機・人・未来」

2020年7月20日 公開

「素性の確かな」北海道産のお肉にこだわり、札幌市内にハンバーグ専門店「North Continent」や餃子店「ぎょうざ北大陸」、さらに食肉処理&製品加工を行う「食肉製品製造所 かりき工房」を展開する有限会社北大陸。代表取締役の川畑智裕さんに「転機」「人」「未来」について質問を投げかけました。

「地域の老舗」を目指しながら、時代とともに変わり続けることも信条です。

代表取締役/川畑智裕さん(44歳)
北海道札幌市出身。専門学校卒業後、札幌市内のホテルに就職。その後はハイクラスな和食店や鉄板焼きスタイルのステーキ店で修行。2004年にハンバーグ専門店「North Continent」をオープン。

川畑さんにとっての「転機」は?工房の余力を生かす時が来た、まさに「今」が転機です。

僕の信条は、地域の老舗として長く愛されるお店づくりです。創業から5年後には2店舗目のハンバーグ専門店をオープンさせましたが、その後はむやみに店舗を増やすのではなく、食肉処理と製品加工が行える「食肉製品製造所 かりき工房」を手がける道を選びました。
普通はわずか2店舗のために自社工場を構えませんが、徹底した衛生管理のもと、お客様により安全で品質の安定したハンバーグを味わってほしいと考えたからです。すべて自己資金で賄ったため、稼働率を気にしなくて良いことも背中を押しました。工房の機械は当社の規模に有り余るほど高性能ですし、実際に余力もあったのが正直なところです。ただし、「ウィズコロナ」の今、当社のおいしさをご家庭の食卓に届ける「中食」に工房の余力を活用する転機が来たと考えています。

川畑さんの「人」とは?スタッフです…が、欲をいえばもっと自ら仕事を作り出してほしい(笑)。

飲食店にはどうしても忙しさの波があります。僕自身、深夜までハンバーグを捏ねる日もあれば、20時には手持ち無沙汰になってしまう日も経験しました。このジレンマを解消してくれたのも工房の存在です。店舗キッチンの機能を一部移したことで、来客が見込めない時は工房でハンバーグの仕込みにあたり、忙しい日は店内業務に集中できます。スタッフの働き方が効率的になったため、労働生産性もグンと高まりました。当社では調理とサービスの垣根がないため、お客様対応により力を入れられるようになったこともメリットです。
業務の負担が減った分、スタッフに期待するのは自ら仕事を作り、飲食店の新しい価値を生み出す積極性。新メニューや新業態といった大きなアイデアではなくとも、SNSを使った店舗情報の発信や料理写真のキレイな撮り方など小さな提案でも良いんです。「こうしたら楽しいんじゃないか」「あれを取り入れたらお客様に喜ばれる」…僕がいつも味わっているようなワクワクをスタッフにももっと感じてほしいと思っています。

川畑さんが描く「未来」は?お客様を待つのではなく、おいしさを外へ発信するスタイル。

新型コロナウイルスによって店内飲食は影響を受けましたが、テイクアウトやデリバリー、スーパーに納品しているハンバーグの売上は好調。これからの飲食店はただお客様を待つだけでなく、自社のおいしさを外へ発信することが求められると改めて考えさせられました。
今はECサイトでハンバーグや餃子を直販するための準備を整え、工房では専門店のおいしさをご家庭で簡単に再現できる商品開発も急ピッチで進めています。実際にドーナツ型で火が通りやすく、見た目も華やかなハンバーグは完成間近です。今後は他企業とのコラボ商品も視野に入れる他、テイクアウト・デリバリーに軸足を移しつつ、アフターコロナに備える予定。他にも生産者さんからお肉を預かり、工房で製品化するお手伝いもしたいと考えています。「地域の老舗」を目指すことに軸足を起きながら、時代に合わせて変化するのも僕のモットーなんです。

有限会社北大陸

「お肉の個性で北海道を旅する」というユニークなモットーを掲げるハンバーグ専門店「North Continent」など質の高いおいしさを届ける飲食事業を展開。自社工場では食肉処理や製品加工といった事業も実施。
北海道札幌市中央区北5条西29丁目2-1 エステート宮の森1F
TEL.011-613-8809
http://www.north-continent.co.jp/

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