水産仲卸の老舗として信頼される一鱗共同水産株式会社の本間隆社長に聞いた「転機・人・未来」
2020年9月17日 公開
魚の消費量も食べ方も変わる今、水産仲卸の役割が問われる時代です。
札幌市出身。創業家に生まれ、小樽商科大学卒業後、医薬品の卸売企業に就職。約3年後に一鱗共同水産株式会社に入社。2013年に2代目の代表取締役社長に就任。写真右は3代目を継ぐことになる息子さんの雅広さん。
本間さんの「転機」は?結婚を機に家業に戻った後、この業界の「正直な商売」に心酔しました。
私自身、大学卒業後は医薬品の卸売企業に就職しました。いつか会社を継ごうと考えていたような…いないような(笑)。ただ、当時の風潮もあり、結婚を機に家業に戻りました。私が水産仲卸業界で働くことになった理由はさほど深くはありません。けれど、市場で働く人々は口調が厳しくても裏表がなく、結局はこの業界の「正直な商売」に心酔したんです。
本間さんが求める「人」とは?自らの稼ぎで会社を伸ばそうとするハングリーな人材。
一方で、営業職の場合は「昭和」が残っているのも正直なところです。「他と同じ値段だけどお前だから買う」というように顧客から好かれる人柄が売上を高めていきます。今どきの若い世代は「ガツガツ稼ぐ」ことに否定的な方も多いと思いますが、仕入れたものを人より多く売って給与に反映させるというのは面白みも大きいものです。何より、この業界は漁獲量によって浮き沈みが激しいことも特徴。安定を求めるのではなく、自らの稼ぎが会社を伸ばすというハングリーな意気込みを持った人が活躍するのではないかと思っています。
本間さんにとっての「未来」は?水産仲卸の枠組みを超えた「ひと手間」が未来を開くはずです。
ただ、嘆いてばかりでは何も始まりません。例えば、スーパーでニーズが高いサイズの魚だけをまとめたり、レンジで温めるだけでおいしい商品を開発したり、これまでの水産仲卸企業の枠組みを超えたビジネスが求められると思います。当社でも、多少は値が張ってもおいしい加工品づくりに本腰を入れ始めたところ。こうした「ひと手間」が大事になるのではないかと見込んでいます。
私の息子は高校教師として働き、会社を継ぐとは思っていませんでしたが、5年ほど前に家業に戻ってきました。彼も飲食企業とコラボレーションして居酒屋をオープンするなど、新しい試みに踏み出しています。会社の未来はそんな若い世代が切り開いてくれると信じています。
-
「かつての市場では情報を持つ仲卸企業が優位。私もアラスカやロシアに出向き、港の漁獲量を視察しました」と本間さん。
-
リゾットや夜パフェ専門店を展開する株式会社GAKUとコラボレーションした「一鱗酒場」。厳選した鮮魚をイタリアンや居酒屋メニューにアレンジ。
-
同社は質も量も値段も日々変動する中で、いい魚を瞬時に選別し、いい値段で買うプロ集団。目利きには絶対の自信を持っています。
一鱗共同水産株式会社
北海道の経営者に聞く3つの質問「転機・人・未来」
最新記事5件
自分にできないことは仲間に頼る。互いに補い合う組織が「会社」だと考えます。
タンニンなめし革も手作業の製法も、「変えないこと」が価値を高めています。
北海道には北海道に合った、ビジネスのあり方があると思います。
魚の消費量も食べ方も変わる今、水産仲卸の役割が問われる時代です。
社員が幸せに働いてこそ、利用者様や子どもたちを笑顔にできます。