北海道の経営者に聞く3つの質問「転機・人・未来」 創業100年を超える山﨑火薬銃砲店の山﨑靖允社長に聞いた「転機・人・未来」

2021年1月14日 公開

株式会社山﨑火薬銃砲店は、社名の通り火薬や花火を扱うとともに、建設業界では「商社」として名高い企業。実は、土木環境資材や建築資材の卸売販売、その施工管理が主力ビジネスです。まもなく創業100年を迎える老舗企業の4代目、山﨑靖允さんに「転機」「人」「未来」についてインタビューしました。

北海道には北海道に合った、ビジネスのあり方があると思います。

株式会社山﨑火薬銃砲店 代表取締役社長 山﨑靖允さん(38歳)
北海道札幌市出身。創業家の長男に生まれ、大学卒業後、外の世界を見るために外食企業に就職。その後、家族が経営する飲食店を経て、株式会社山﨑火薬銃砲店へ。常務取締役、副社長を経て代表取締役社長に就任。

山﨑さんにとっての「転機」は?地域に合ったビジネスの流儀があると気付かされた帰郷。

大学卒業後、親の会社にそのまま入社するのではなく、まずは上京して外食企業に就職しました。いずれ家業を継ぐにあたり、当時はハードといわれていたサービスや飲食の世界で経験値を高めようと考えたためです。
私が就職した2000年代の初頭、東京ではメーカーが顧客や消費者と直接やり取りする「直販」が流行し始めていました。ドライなビジネスが好まれる首都圏には、コストの削減や取引のスピードがフィットしたのだと思います。
一方、帰郷して当社で働くようになってからは、「間を省く」スタイルは必ずしも通用しなかったのです。というのも、北海道は開拓の土地柄。明治期、厳しい環境の中で大地を切り開くためには、人と人との協力が不可欠だったはずです。その精神が連綿と受け継がれ、ビジネスにも根付いているのでしょう。お客様との長い付き合いを見据えた「つながり」を大切にするのが北海道のスタイルだと気付かされる場面も数多くありましたね。

山﨑さんが求める「人」とは?「仕事だから当然」と思わず、感謝できる人。

私が大切にしているのは、「ありがとう」をきちんと伝えること。新入社員を例に挙げると、入社後にすぐ売上を立てるのは至難の業です。けれど、お客様に顔を覚えてもらい、好印象を抱いていただくのは心がけ次第で可能だと思います。そのカギになるのは感謝の気持ち。いつも仕事をいただいているのはありがたいことだと思えばこそ、「ありがとうございます」の声も大きくなります。
感謝の気持ちを伝えるのは社内でも重要。極端にいえば、あいさつや返事がなくても業務は成り立ちますが、それではやはり味気ないものです。私が頼んだ書類を事務のスタッフが渡してくれるのは仕事ではありますが、当然のことではありません。「自分のサポートをしてくれてありがたい」と相手の立場を考えると、「ありがとう」が自然に口をつくはずです。この心がけを浸透させることは、お互いに気持ち良く働き、物事を円滑に進められる会社づくりにつながると考えています。

山﨑さんが「未来」に向けて意識していることは?世の中の小さな変化にも敏感であることです。

今年は新型コロナウイルスが広がった影響により、これまでの常識が覆った1年。例えば、テレワークの急速な普及で、人が移動せずとも仕事を進められることが多くの業界で実証されました。
こうした大きな変化は意識しなくても否応無しに気付くことができます。ところが、思い返してみると、携帯電話がいつの間にかスマホにシフトしたり、テレビがどんどん薄型になったりしていることは自然な流れとして受け止めてしまっていませんか?ここ最近では次世代の通信システム「5G」がじわじわと広がっていますが、このテクノロジーが世の中のスタンダードになるころにはすでに次の話題が水面下で動き出しているでしょう。
モノや技術の小さな変化にもアンテナを張っておくことで、将来に何が流行するのだろうかという想像力が働きます。時代の潮目に敏感でいることは、未来の推測に役立つのではないでしょうか。

株式会社山﨑火薬銃砲店

大正12年に始まり、創業100年を間近にひかえる老舗企業。社名の通り、火薬や花火を中心に扱っていましたが、昭和43年にさらなる事業の広がりを見据えて建築資材の販売をスタート。お客様先のゼネコンや工務店を常に優先して考える姿勢を貫き、建設現場の管理まで手がけることでコツコツと信頼を積み重ねています。
北海道札幌市中央区南1条西12丁目 新永ビル3F
TEL.011-231-5761
http://ykj-yamazaki.jp/

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