北海道の経営者に聞く3つの質問「転機・人・未来」 輸入車用パーツの販売やヨーロッパ車の整備で知られる株式会社北翔の清水誓幸社長に聞いた「転機・人・未来」

2021年12月20日 公開

輸入車用パーツの販売やヨーロッパ車の整備で全国的な知名度を誇る株式会社北翔。特に輸入車用パーツについては国内有数の品揃えを誇り、全国のヨーロッパ車ファンを支える存在です。また同社はSDGsの達成に向けた精力的な取り組みでも知られ、働き方改革や子育て支援などチャレンジの広がりも多彩。下川町に自社の山林を購入し、森林共循環によるカーボンマイナスを目指しています。

自分にできないことは仲間に頼る。互いに補い合う組織が「会社」だと考えます。

代表取締役 清水誓幸(ちかゆき)さん(61歳)
高校中退後、コンクリート関係の工場やレッカー車の運転手などを経て、1982年に創業。趣味はマラソン、キャンプ。

北翔にとって「転機」とは?創業初期の出会いが当社の強みの基礎を作りました。

当社では十数年前から自社でシステムエンジニアを採用し、ITの内製化を行っています。自動車整備会社でそのような取り組み行うを例は少ないと思いますが、社員から出された課題や要望を素早く業務システムに取り込むには、内製化が一番だと判断しました。社員のイノベーションや業務の進化、生産性の向上にもつながっており、当社ならではの強みと言っても過言ではありません。
私にITやネットワークの重要性及び未来性を教えてくれたのが、28歳の時に出会ったある人物です。その方は九州に拠点を置くシステム会社の社長で、まだ若かった私はその社長からビジネスについての考え方を学び、その導きで北海道内では他社に先駆けてネットワーク回線も敷設しました。「良いと思ったことは徹底して追求する」という姿勢もその方に学んだこと。当社が取り組むSDGsにもつながっています。

北翔にとって「人」とは?「生き方」を見直し、社員の仕事とプライベートの充実を追求しています。

東日本大震災を機に、社員の仕事とプライベートのあり方を見直しました。働く時間を短くして家族や友人と過ごす時間を増す。そのために皆で話し合いを重ね、それまで負担だった電話対応をメール、FAXに一本化しました。電話対応を止めたことで各方面からはクレームもあり、震災の影響で売り上げは激減しました。しかし、当社の強みである商品力を磨くことでお客様に選ばれ、売り上げも回復。さらに業務効率が格段に高まっていき、残業削減と休日増加、昇給の継続を実現できました。
当社はプライベートの充実も後押しするために、特に子育て世代の社員の経済面をバックアップしています。子どもが生まれた社員にはお祝い金を、学校に入学した際には小学校10万円、高校20万円など支援金を支給し、子育ての不安を少しでも解消できればと考えています。

北翔にとって「未来」とは?植物工場を建設し、皆が活躍できる場を広げます。

誰もが安心して長く働ける職場を作りたいと考えています。定年は65歳ですが、もっと働き続けたいという人には活躍の場を用意したい。そのため当社では、2023年着工を目標に植物工場の建設を計画しています。なぜ植物工場かと言うと、屋内での水耕栽培農業は屋外に比べて体力的な負担が小さく、収穫量も安定しているから。例えば一旦退社した社員がまた働きたいというケースや「働きたいけど週4日」「1日4時間で良い」など都合に応じて働いてもらったり、社員以外でも障がいのある方や様々な理由で働きづらい環境にある方に働いてもらったりすることを考えています。
植物工場で必要な電力はバイオマスや水素による発電ができないかと検討中。社内の敷地に温泉を掘る考えもあり、熱エネルギーを植物栽培に生かします。
もちろん、私たちがいろいろなチャレンジをしたところで、影響が及ぶ範囲は限定的。だからこそこうした取り組みを皆さんに参考にしてもらい、磨き上げてもらうことで社会を動かす力になればと考えています。

株式会社北翔

輸入車用パーツのオンライン販売を中心に、欧州車専門整備事業、リサイクル事業、リビルト部品の製造、販売などを手がける。
北海道江別市江別太305-15
TEL.011-380-2156
https://s-hokusyo.com/

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