北海道の経営者に聞く3つの質問「転機・人・未来」 100年を超える老舗企業、丸玉木材株式会社6代目経営者の大越敏弘さんに聞いた「転機・人・未来」

2020年2月20日 公開

北海道産カラマツとトドマツを使った合板を中心に、化粧板や内装建材なども生産する丸玉木材株式会社。明治35年に野付牛(現・北見)で創業し、大正14年に豊富な森林資源を有する津別町に本拠地を移した100年を超える老舗です。6代目経営者の大越敏弘さんに「転機」「人」「未来」の質問をぶつけました。

製品、業務、社員満足、「すべての仕事は改善の対象」。木を育て活用することで温暖化防止に貢献し、美林を残したいと思っています。

取締役社長/大越敏弘さん(72歳/写真中央)
北海道津別町出身。慶應義塾大学商学部卒業後、丸玉木材株式会社に入社。2008年に取締役社長に就任。写真は取材に同席してくれた工場次長の工藤さん(右)と管理部部長の前岡さん(左)とのスリーショット。和やかな掛け合いからも、風通しの良さが伝わります。

大越さんの「転機」とは?部署、工場、そして全社へと「改善」の視野が広がりました。

父が亡くなった時、祖父の残した会社を支える一員になりたいと思い、入社しました。最初に配属された経理ではコンピューターを導入し、事務作業の合理化に着手。その後は木材や総務、情報、営業を経験し、「すべての仕事は改善の対象」と考えて部署単位での改善を手がけてきました。
1つ目の転機は40歳で津別から舞鶴工場への転勤。舞鶴工場では工場長を務め、部署単位の小さな世界から工場全体の広い世界へ改善の活動範囲が広がりました。20年間、舞鶴工場で本業である製造に関するすべての改善を行いました。
2つ目の転機は60歳で社長に就任したことです。これまで部署単位の改善、次に工場単位の改善と徐々に範囲を広げ、今ではその視野が全社へと移りました。改善に終わりはないと考えています。

大越さんにとっての「人」とは?社員満足度の向上も「改善」の1つです。

会社の成長が社員満足につながり、それは創意工夫のできる社員が支えていきます。人は「もっと人生を良くしたい」と考えているはずです。すべての仕事はやりがいの対象であり、仕事は一つずつ覚えて次のステップに進むものだと思います。
当社では、TPM活動(全員参加の経営革新)というボトムアップ型の取り組みによって、創意工夫を楽しめる社員に育てたいと考えています。若手からベテランまで、私に直接報告してもらう発表会を行い、直接指導する場を作っています。その際、小さな成果でも必ず認め、意欲を評価することで、社員満足度も向上すると考えています。身近なことから全力で取り組むことで、成長を実感することができるのです。創意工夫、すべての仕事は改善の対象と思い、社員を育てたいと考えています。

大越さんが描く「未来」とは?温暖化防止に貢献し、手入れの行き届いた美林を残したいと思っています。

未来は変わるものです。当社において変わらないのは、「美林を残す」という思いです。これまでバイオマスエネルギーセンターを作り、工場の熱と電力をほぼ全量自給しています。行政、地元の林業者と協調しながら造林や育林に取り組むことで、地産地消型のグリーンサイクルに力を入れてきました。木は成長過程でCO2を大量に吸収するため、計画的に伐採と植林を繰り返すことが大切です。よく手入れされた美林を残すことは地球温暖化防止に役立っています。

丸玉木材株式会社

北海道道産針葉樹を使った合板の他に、内装建材や化粧板を手がけるメーカー。原木の調達から高付加価値合板の開発、人材育成まで行い、地域社会との調和を大切にしています。津別町唯一の病院経営や社有林の育成なども行っています。
北海道網走郡津別町字美達162番地
TEL.0152-76-2111
http://www.marutama-ind.com/mo

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