「日本をあったかく」。「ほのか」が目指すまちづくり。【株式会社丸新岩寺】
2024年9月2日 公開
海外生活やエンジニアを経て学生時代を過ごした北海道へ
「漠然と海外生活にあこがれがあり、費用を貯めるために1年間休学してアルバイトをし、カナダへ渡りました。またこのころから接客業が好きで、短期間語学を学んだ後は現地のレストランで働いていたんです」
カナダでは同じ日本人の主体性の高さに刺激を受けて、将来も海外で働きたいという気持ちが高まったと振り返る高橋さん。大学卒業後は神奈川県へと帰郷。世界で活躍できる人物を目指し、ネットワークエンジニアとして就職する。それが一転、再び北海道に戻り丸新岩寺に入社したのは、先代である義父からの誘いが理由だそうだ。
「実は妻とは大学時代に知り合って交際するも一度は別れていたんです。でも、帰国してエンジニアをしていた時代に復縁し、結婚を機に妻の地元である北海道へ移住しました。その後、当時丸新岩寺の代表であった義父から『ウチで働かないか』と誘われたことが、入社のきっかけになりました」
誰もが朝から晩まで楽しめる施設に。
「今だから言える話ですが、昔はお風呂ってあまり好きではなかったんです(笑)。でも、そんな僕だからこそお風呂が好きな人もそうではない人も、誰もが楽しめる温浴施設の構想を練られたんだと思います」
「ほのか」には、入浴後の食事はもちろん、漫画やゲーム、ネイルケアやボディケアが楽しめる場もある。複数で訪れた人が、時間差で風呂から上がってくる家族や友人を待つ間も退屈せずに過ごすための工夫だ。
「お客さまに喜んでもらいたい一心でさまざまなことを取り入れるうちに、『ほのか』は一日中楽しく過ごせる温浴施設になりました。晴れの日は屋外、雨が降ったら朝から『ほのか』に遊びに行こうと思ってくださっている方もいるようでうれしいです」
現在ではすっかり湯船派だという高橋さん。というのも、スタッフ一同入浴しながら構想を練るうちに、いわゆる〝裸の付き合い〟の素晴らしさに気が付いたからなのだという。
「心身がリラックスした湯船の中でしか思い付かないアイデアや、打ち明けられない話題があると思うんです。そんな中で相手との関係がより親密になり、本当の信頼関係を築いていく。幾度もそんな体験を繰り返すうちに、僕も湯に浸かるのが大好きになり、その価値を再評価することができました」
温浴施設をコミュニティに「ほのか」の新たな可能性を探る。
「レストランでお弁当を作って駐車場で販売したり、モール温泉を使った化粧品を開発して販売したり、キャンプ施設を造ったりと四苦八苦しました。経営はかなり厳しい状況だったのですが、現場スタッフが主体的になって、出来る限りのアイデアを実行し、共に乗り越えていきました」
困難を乗り切るための原動力になったのが創業者からの「休まず営業すること」という教えだ。同社が創業した1956年(昭和31年)当時は、お風呂が備え付けられていない家庭が多く、公衆浴場は地域住民の生活にとってなくてはならない場所だった。人々の生活を支えているという自負を持って経営してきた先代の思いを、高橋さんは受け継いでいた。
「お風呂のない家庭は今ではもうほとんどありませんが、地域の人と人とが支え合っていく場所として、今後も『ほのか』は毎日営業していきたいですね。例えば、一人暮らしで孤独を抱える高齢者の交流の場であったり、学校帰りの子どもたちの居場所であったり、子育てや介護で忙しい人たちの雇用の場であったりと、湯船に浸かるだけではない新たな価値を創出していきたい。『ほのか』の可能性は、これからも無限大なんです」
「日本をあったかくする」をビジョンとして掲げた丸新岩寺の新たな温浴施設構想は、もはやまちづくりの一端をも担っている。
株式会社丸新岩寺
本インタビューはUHB(北海道文化放送)のトーク番組「BOSS TALK」とのコラボ企画により収録されました。
北海道を愛し、北海道の活性化を目指す“BOSS”が北海道の未来と経営について楽しく、真剣に語り合う“TALK”番組。独立するまでの道のり、経営者としての思い、転機となった出会いや目指す未来などを語ります。
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