北海道発！商品誕生エピソード【北海道のかぼちゃの種から搾ったオイル／北海道バイオインダストリー（札幌市）】

2019年2月18日公開

日本初の本格的なかぼちゃの種のオイル
ナッツの香ばしさとほのかな甘み、マイルドな口当たり…オリーブオイルでもなく「えごま」や「亜麻仁油」とも一線を画す食卓オイルのサードウェーブとして注目されているのが「北海道のかぼちゃの種から搾ったオイル」。製造メーカーの株式会社北海道バイオインダストリーを訪ねました。

北海道の農産物を活用し
機能も味も優れた食品を。

営業部部長／藤岡弘明さん

お話をしてくれたのは同社営業部長の藤岡弘明さん。
「弊社の設立は1997年。当初は北海道の特徴的な農産物を活用し、安心・安全で生活習慣病などを予防する機能性食品開発等に尽力していました」
渡された名刺には経産省・農水省「農商工等連携事業計画」認定企業という記載が。同社が学術機関の他、行政や食品研究所などと連携を図りながら、独自の食品開発を行ってきたことが伺い知れます。
「しかし近年は同業社も多く、低価格サプリなども頻繁にリリースされています。そこで弊社が取り組んだのが機能性食品製造技術をベースにしつつ、おいしさや味わいをより深く探求した『コンディショニング食品』の開発でした」
2012年、その第一号として発表されたのが「北海道タマネギドレッシング」。発売と同時に独特の香味やコクが話題となり、日本野菜ソムリエ協会調味料選手権の最優秀賞を受賞。現在も年間13万本を売り上げる、大ヒット商品になりました。
「この商品開発で得たノウハウや企業・生産者とのネットワークを次の舞台に生かすべく、その後も多彩な商品を開発しました。今回の『北海道のかぼちゃの種から搾ったオイル』もその一環で生まれた商品です」

生産者や加工業者の
支援にもつながる商品を。

オイル誕生の背景にあったのは、道内で毎年大量に捨てられるかぼちゃの種。
「発芽を防ぐ粉砕という手間と経費をかけながら毎年3万トンの種が廃棄されていました。生産者や加工業者のためにも、この種を何かに利用できないかと考えたわけです」
ヒントになったのは北欧では定番のパンプキンシードオイル。しかしそれらと同じようにローストすると、次第に酸化が進み、風味が損なわれるという結果に。さらに自然のままだと種や回りの「わた」が腐敗するという難題にもぶつかりました。
「そこでローストせずに不純物を取り除くことや、種を徹底的に洗浄すること、化学的な処理を行わず味を整えることが我々の研究テーマとなりました」
そこから1年。同社スタッフや関係者が創意工夫と試行錯誤を積み重ね、昨年5月、我が国初の本格的なかぼちゃオイルが発売を迎えたのです。

道産かぼちゃの種オイルの
盛り上がりを加速したい。

オイルをスプーンでいただいてみました。香ばしいナッツの匂いと甘くまろやかな味わいが相まって、うん美味しい！
「ピザやパスタとの相性も抜群。レモンや塩コショウを合わせてドレッシングにしたりバケットディップにするなど活用法も多彩です」
その一方女性ホルモンに働きかけるリグナンを始め、オレイン酸やリノール酸、植物ステロールを含むなど、機能性のメリットも見逃せません。
「発売後、間もなく多数の問い合わせが舞い込み販路は道内から東京、大阪へと広がりました。現在はANA国際線の機内食の調味料にも抜擢されています」
さらに百貨店のバイヤーから指名されたり、著名シェフのお墨付きを頂いたり。日本初の快挙の話題は全国へと広がっています。
「その一方、弊社だけでの活動には限界を感じています。今後は生産者や加工業者との連携を強め、さらに多くの企業や研究者も巻き込みながら、日本初・北海道発のカボチャの種オイルをアピールしていきたいと考えています」