注目企業のトップに聞くin北海道 お客様に、従業員に、そして自分にも嘘をつかず面白くビジネスをカタチに。【株式会社GAKU】

2022年5月23日 公開

昨年夏、その斬新さや美しいビジュアルからSNSを中心に大きな話題となった自販機で買える「ショートケーキ缶」。この製品を開発したのが札幌発のリゾット専門店「Rizotteria(R) GAKU」(以下GAKU)や夜パフェ専門店「パフェテリア パル」を運営する株式会社GAKUです。今や東京や福岡にも進出している同社のビジネスについて、代表の橋本学さんにお話を伺いました。
代表取締役/CEO 橋本学さん
1982年北海道旭川市生まれ。札幌スイーツ&カフェ専門学校非常勤講師、札幌観光大使なども務める。2児の父。趣味はスキーやテニス。

バイト先にヒントを得て「リゾットの食堂」を目指す。

お店を開業するまでの経緯を教えてください
旭川市で生まれ、高校卒業後は手に職を付けようと札幌の調理師学校へ進学しました。1年間で基礎を学んだ後、海外でイタリア料理の修行をしようと決意し、ビザが取得しやすくイタリア移民のレストランも多いオーストラリア・シドニーへ渡航しました。しかし料理をほんの1年かじった程度の若造に包丁なんて握らせてもらえませんし、英語は最低限話せる程度です。結局9カ月間皿洗いだけをして挫折し、その後は札幌へ戻って、さまざまなお店でバイトをしながら腕を磨きました。創業のきっかけとなったのが、札幌発祥のスパゲッティ専門店「チロリン村」でのバイトです。

「GAKU」と同じく、メニューの豊富さで知られるお店ですよね。
イタリア料理の中でも、僕が特に気に入っていたのがリゾットでした。しかし当時は高級レストランでしか提供されておらず、コースの中に一品、お皿にちょこんと盛られて出てくるだけで、味の選択肢もないのがほとんどでした。「チロリン村」のように、誰でも入りやすく、たくさんの種類があって何度来ても飽きない、リゾットの「食堂」のような店を作りたい。そんな夢を社長に語ったところ、快く受け入れてくれました。それどころか、時計台ビル地下にあった店舗を居抜きで使って良いと言ってくれたんです。これが「GAKU」の始まり、2006年のことでした。

当時はリゾット専門店といってもピンとこない人が多かったのでは…。
開業と同時にたくさんのメディアが取り上げてくれて、お店のヒットと共にリゾットの知名度もグングン上がりました。一方でたくさんのメニューを開発し、常に食材をストックするリスクを抱えながら料理を提供し続けるのは決して楽ではありません。しかし手間をかけてでもお客様が喜ぶものを提供したいですし、とがった部分がないと商売にならないという思いが根底にあったんです。

どんな状況でも「面白く」新たな挑戦を続けていく。

大ヒットした「ショートケーキ缶」。美しく見せるための工夫も詰まっている。

その後オープンした夜パフェ専門店も、「シメパフェ」ブームの先駆けとなったお店ですよね
実は僕自身、甘い物に目がないんです。フレンチやイタリアンのコース料理は、最後に必ずスイーツが添えられますが、お酒をたっぷり楽しんだ後でも別腹とばかりに食べられますよね。でも、スイーツを目的にイタリアンやフレンチの店に足を運ぶことはないでしょうし、カフェやパティスリーは夜営業していません。バーのような感覚でふらっとパフェだけ食べられるお店が欲しい…そんな僕個人の願望をお店にしたんです。

コロナ禍でも東京や大阪、福岡に次々と進出しているのも驚きました
正確にはコロナ前から本州進出を計画していました。東京・渋谷に「GAKU」、池袋に夜パフェ専門店を開店したころにちょうどコロナ禍になってしまったんです。でも、誰も先が読めていない状況でしたし、それならば僕も挑戦を続けるしかない。正直なところ、時勢に振り回されて夢が頓挫するのは面白くないという反骨精神もあり、計画通り大阪や福岡にも店を開きました。
一方で初期は融資や補助金等の資金調達が遅れていたことで、毎月一千万円もの赤字をたたき出しており、あまりのストレスで歯が欠けました(笑)。しかし、従業員を幸せにするのも僕の役割です。「一人も欠けることなく苦難を乗り越える」と約束し、空いた時間でずっと挑戦してみたかったスイーツの研究に力を注ぎました。その結果生まれたのがパティスリー「OKASHI GAKU」と「ショートケーキ缶」です。

自分に、お客様に正直に、やりたい事をカタチにする。

発祥の地である「Risotteria.GAKU 時計台」。ビジネス街の地下というロケーションを生かし、隠れ家のような店構えが特徴。自身が開業時にサポートしてもらったという経緯から、「のれん分け」にも積極的。現在、平岸と旭川の2店舗はFC店として元従業員が経営している。

ショートケーキ缶が生まれたきっかけは何ですか?
僕には妻と2人の子どもがいます。お酒を飲んだ帰りにはよく、罪滅ぼしにコンビニでスイーツを買って帰るんです。でも酔っ払っているからでしょうか、家に着くころには形が崩れている事も多くて。持ち帰りやすくて、もっと本格的なスイーツがあったらいいのにな…という、これまた僕自身の願望が発端です。

自販機で売るという発想も面白いですよね
お土産用として夜に提供したい一方、コストの面から店舗はなるべく構えず、食品ロスも出したくなかったんです。そこで当初は箱形の容器で自販機に入れてみたら、ボタンを押して「ガコン」と落ちた直後にグチャグチャに(笑)。ケーキの形を保ったまま売る事はできないかなと思っていたころ、パッケージの見本市でちょうど透明の缶を発見したんです。これなら運びやすくて、見た目も奇麗だからもらった人が喜んでもらえるだろう。そんな確信を得て2カ月ほどかけて商品化させました。

今後の展開を教えてください
実はショートケーキ缶がSNSで〝バズった〟おかげで、世界各国から問い合わせが鳴り止まない状況です。商談の機会も得られたので、今後は海外展開を予定しています。まさにコロナ禍というピンチがチャンスになりました。
あとはこれまで北海道の食材を生かしたメニューを開発してきましたが、例えばフルーツ天国である沖縄でスイーツの店を開くなど、更なる味の探求という面でも新たな可能性を広げていきたいですね。

ビジネスで大切にしている事は?
嘘をつかない事。お客様にも、従業員にも、自分にも、とにかく正直である事。ただそれだけですね。店舗数や売り上げ、道外や世界に進出することがスゴイとは全く思いません。いかに自分とスタッフが楽しく、お客様に喜びを提供できるか、そんなシンプルな考えこそ、僕の原動力となっています。

株式会社GAKU

2006年、札幌で「Rizotteria(R)GAKU」を開業(現・時計台店)。2010年に法人化。2015年からは「夜パフェ専門店」も展開し、2020年には東京、大阪、福岡にも進出。現在16店舗を運営する。飲食店のコンサルタントやコラボも多数。
北海道札幌市中央区南4条西2丁目10-1 南4西2ビル7階
https://risotteria-gaku.net/

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