救える命に手を差し伸べ、動物と暮らす楽しさを伝えたい【アイリス動物医療センター】
2023年7月31日 公開
地域に根差す動物病院でありながら高度な専門治療を手掛け、飼い主へのホスピタリティーあふれるサービスでも高い評価を集めているアイリス動物医療センター。動物医療における1次診療と2次診療の間を取り持つ「1.5次診療」を確立し、「助かる命を一つでも多く」と語る院長の中村匡佑さんに、これまでの歩みや目指す姿を伺った。
逼迫する2次診療への危機感から1.5次診療の確立へ。
現在の動物医療は、地域の動物病院で行われる1次診療と、大学病院などで行われる2次診療に大別される。通常飼い主は、動物に異変を感じた時、まず、掛かり付けの動物病院を受診するが、そこでの治療が難しいと判断されると、より高度な治療を求めて大学病院を受診することになる。
「ところが、地域の動物病院は治療技術も院内の設備もまちまちで、本来、大学病院に頼らなくても済むような治療でも、移送されているケースが少なくありません。その結果、大学病院では常に人員にも設備にも全く余裕がなく、本当に高度な治療を必要とする動物たちが救われないという現実があるんです」
2020年、中村さんはそうした状況をなんとか打開したいと、自身が営んでいたアイリス犬猫病院を「アイリス動物医療センター」にリニューアル。1次診療と2次診療の間に立つ「1.5次診療」の確立を目指し、地域の動物病院でありながら内科や外科、腫瘍科、循環器科など8つの専門科目で高度な治療をおこなう体制を整えた。
「ところが、地域の動物病院は治療技術も院内の設備もまちまちで、本来、大学病院に頼らなくても済むような治療でも、移送されているケースが少なくありません。その結果、大学病院では常に人員にも設備にも全く余裕がなく、本当に高度な治療を必要とする動物たちが救われないという現実があるんです」
2020年、中村さんはそうした状況をなんとか打開したいと、自身が営んでいたアイリス犬猫病院を「アイリス動物医療センター」にリニューアル。1次診療と2次診療の間に立つ「1.5次診療」の確立を目指し、地域の動物病院でありながら内科や外科、腫瘍科、循環器科など8つの専門科目で高度な治療をおこなう体制を整えた。
自身の成長と、多くの命を救うために独立を決意。
中村さんが獣医師という職業にあこがれを持ったのは中学時代。母親が犬を飼うことを決め「学校から帰ったら、なぜか家に犬がいた」と笑う。
「動物と一緒に生活することになったのはその時が最初です。飼い犬が体調を崩すこともあり、動物病院が身近な存在になりました。何度か通ううちに動物の命を救う獣医師という職業に尊敬の念を持ち、自分もこんな仕事に就けたらと思うようになったんです」
高校を卒業すると、神奈川県にある日本大学獣医学部に進学。大学では動物の生態や体の構造、治療方法などを学び、家畜の人工授精の実習もあったと振り返る。獣医師の資格を得ると北海道に戻り、札幌市内の動物病院で勤務をスタートした。
「獣医師は医師と違い、しっかりとした教育システムが整っているわけではありません。勤務した病院で、上司である院長や先輩達の背中を見て学んでいく、ある意味職人のような世界です。大学では『小動物』と一括りにされてしまう犬と猫も、当然、体の構造は異なります。獣医師の間には『猫は小さな犬ではない』という格言があるほどです。興味のある分野を極めたいと思ったら、自ら学会に参加するなど、能動的なアクションも欠かせません」
また、主だった処置の多くは院長自ら担当することが多いため、若手はなかなか経験を積むのが難しいという。獣医師として4カ所の動物病院で勤務したが、更なる成長には独立が不可欠だと、2015年にアイリス犬猫病院を開院した。
「病院を開いたことで、以前にも増して、2次診療に頼りがちな動物医療の現状を目の当たりにしました。勤務医時代から1.5次医療の必要性を感じていたため、まずは院長として病院運営のノウハウを身に付け、いずれ総合的な治療ができる動物病院を作ろうと心に決めたんです」
「動物と一緒に生活することになったのはその時が最初です。飼い犬が体調を崩すこともあり、動物病院が身近な存在になりました。何度か通ううちに動物の命を救う獣医師という職業に尊敬の念を持ち、自分もこんな仕事に就けたらと思うようになったんです」
高校を卒業すると、神奈川県にある日本大学獣医学部に進学。大学では動物の生態や体の構造、治療方法などを学び、家畜の人工授精の実習もあったと振り返る。獣医師の資格を得ると北海道に戻り、札幌市内の動物病院で勤務をスタートした。
「獣医師は医師と違い、しっかりとした教育システムが整っているわけではありません。勤務した病院で、上司である院長や先輩達の背中を見て学んでいく、ある意味職人のような世界です。大学では『小動物』と一括りにされてしまう犬と猫も、当然、体の構造は異なります。獣医師の間には『猫は小さな犬ではない』という格言があるほどです。興味のある分野を極めたいと思ったら、自ら学会に参加するなど、能動的なアクションも欠かせません」
また、主だった処置の多くは院長自ら担当することが多いため、若手はなかなか経験を積むのが難しいという。獣医師として4カ所の動物病院で勤務したが、更なる成長には独立が不可欠だと、2015年にアイリス犬猫病院を開院した。
「病院を開いたことで、以前にも増して、2次診療に頼りがちな動物医療の現状を目の当たりにしました。勤務医時代から1.5次医療の必要性を感じていたため、まずは院長として病院運営のノウハウを身に付け、いずれ総合的な治療ができる動物病院を作ろうと心に決めたんです」
大切な家族を安心して任せてもらうための信頼関係を。
2020年に開院したアイリス動物医療センターは高度な治療ができることに加え、飼い主へのホスピタリティーあふれるサービスでも高い評価を得ている。同院には現在、常勤と非常勤合わせて12名の獣医師を含む30名ほどのスタッフが勤務し、その数は全道でもトップクラスだ。中村さんは「動物病院はサービス業」と言い、飼い主に寄り添ったケアのために必要なスタッフをそろえていると説明する。
「私達の病院では獣医師、愛玩動物看護師以外に総合管理部という部署を設け、受付、庶務といったスタッフを数名ずつ配置しています。一般の動物病院では動物看護師が受付を兼務するなど、きめ細やかなサービスにまで手が回らないことが多いのですが、当院では看護師は治療に、受付は飼い主様の対応に集中できる体制を整えています」
また同院では、診察室と待合室を行き来するオペレーターというスタッフが調整役として細やかに動き、柔軟で質の高いサービスを提供している。外部のマナー講師を招いて接客レベルの向上を図ったり、全国の有名な動物病院を見学する機会を設けるなど、スタッフ教育に力を入れているのも特徴だ。
「私が勤務医だったころは、病院の方針や院長の考えに簡単に口を挟んではいけないような雰囲気を感じていました。しかし、飼い主にとって本当に良いサービスを提供しようと思えば、獣医の仕事しか知らない自分よりも、サービス業などで経験を積んだ人の意見を聞くほうが理にかなっています」
だからこそスタッフの声にもきちんと耳を傾け、良いアイデアがあればどうすれば実現できるかを前向きに考えるようにしているという。
「こうした取り組みが、飼い主様から信頼を得て家族同然の動物を安心して任せてもらえることにもつながるはず。札幌を動物にとって優しい町にしたいと思っているんです」
「私達の病院では獣医師、愛玩動物看護師以外に総合管理部という部署を設け、受付、庶務といったスタッフを数名ずつ配置しています。一般の動物病院では動物看護師が受付を兼務するなど、きめ細やかなサービスにまで手が回らないことが多いのですが、当院では看護師は治療に、受付は飼い主様の対応に集中できる体制を整えています」
また同院では、診察室と待合室を行き来するオペレーターというスタッフが調整役として細やかに動き、柔軟で質の高いサービスを提供している。外部のマナー講師を招いて接客レベルの向上を図ったり、全国の有名な動物病院を見学する機会を設けるなど、スタッフ教育に力を入れているのも特徴だ。
「私が勤務医だったころは、病院の方針や院長の考えに簡単に口を挟んではいけないような雰囲気を感じていました。しかし、飼い主にとって本当に良いサービスを提供しようと思えば、獣医の仕事しか知らない自分よりも、サービス業などで経験を積んだ人の意見を聞くほうが理にかなっています」
だからこそスタッフの声にもきちんと耳を傾け、良いアイデアがあればどうすれば実現できるかを前向きに考えるようにしているという。
「こうした取り組みが、飼い主様から信頼を得て家族同然の動物を安心して任せてもらえることにもつながるはず。札幌を動物にとって優しい町にしたいと思っているんです」
アイリス動物医療センター
犬、猫の一般診療や予防の他、専門医による高度医療、高齢ペットの手術等にも対応。トリミングサロンやペットホテルも併設する。

本インタビューはUHB(北海道文化放送)のトーク番組「BOSS TALK」とのコラボ企画により収録されました。
BOSS TALK
北海道を愛し、北海道の活性化を目指す“BOSS”が北海道の未来と経営について楽しく、真剣に語り合う“TALK”番組。独立するまでの道のり、経営者としての思い、転機となった出会いや目指す未来などを語ります。
北海道を愛し、北海道の活性化を目指す“BOSS”が北海道の未来と経営について楽しく、真剣に語り合う“TALK”番組。独立するまでの道のり、経営者としての思い、転機となった出会いや目指す未来などを語ります。
UHBにて毎週火曜日深夜0時25分〜放送中!
※番組は2023年9月26日で終了しています。
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