2020/11/02[mon] update

北海道ビジネスニュース【ライフプレステージ白ゆり美原】

利用者様の〝眠り〟をモニタリングして、介護の質の向上と職員負担の軽減を両立!

ハードワークのイメージが根強い介護業界で、IT活用による業務効率化に先駆的に取り組んでいる白ゆりグループ。函館市にある高齢者複合型介護施設「ライフプレステージ白ゆり 美原」を訪ねました。

作業の「棚卸し」で役割分担を明確化

お話を伺った佐藤邦広さん。白ゆりグループでICTの活用推進を担当。
「少子化などを背景に当グループでも介護の担い手不足には大きな危機感を持っていました」
そう話してくれたのは、札幌と函館で介護施設を運営する白ゆりグループ本部企画管理室の佐藤邦広さん。
「特に函館は人口減少のスピードが速く、人材獲得は非常に困難です。とはいえ人手不足を理由にサービスの質を下げるわけにはいかず、限られたスタッフでやりくりするには業務を効率化するしかありません」
同施設でまず取り組んだのが「業務の棚卸し」。介護施設の仕事には資格を持った職員でなければできない身体介助と無資格者でもできる生活支援業務(食事の配膳やシーツ交換など)があり、それらが混在しているのが常。とりわけ採用や育成が難しい介護福祉士などの有資格者が、資格不要の生活支援業務に追われるケースも多く、貴重なリソースの有効活用が課題だったそう。
「日々の業務を改めて見直して、生活支援業務は無資格のパートスタッフに集約し、有資格者には彼らにしかできない仕事に専念してもらう体制を作りました。また、業務の中でも特にナースコールへの対応と記録作成に時間を取られている事がわかり、介護支援ソフトの見直しを決めたのが2年前のことです」
事前に丁寧なアセスメントを行い、それに基づいてさまざまな介護支援ソフトや業務システムを調査。導入まで1年という時間を費やし、最終的に「ケアカルテ」「眠りスキャン」という2つの仕組みを取り入れることを決めました。
「ケアカルテはいわゆる介護支援ソフトで、日々の記録から介護報酬の請求まで一元的な管理が可能です。見た目のわかりやすさと操作のしやすさが採用のポイントでした。眠りスキャンは利用者様のベッドの下に設置するセンサーで、眠っているか目覚めているかだけでなく、浅い眠りか、深い眠りかまでわかる優れ物です。この2つの組み合わせで日々の業務が大きく効率化されました。」

夜勤帯のスタッフを減らし、さらに休憩時間を確保

新しい仕組みがどのように活用され、どのような成果が出たのか。具体的なお話は介護職員の中江麻里さん、三浦あみさんのお二人に伺うことにしました。まずは中江さんのお話。
「眠りスキャンはナースコールと連動していて、利用者様が急に起き上がったり、心拍に異常があったりすれば、すぐにアラームが鳴って職員が駆けつけることができます。ケアカルテとも連動していて、いつコールが押されたかを自動的に記録するので、書類に手書きする手間がなくなり非常に助かりました」
眠りスキャンでは、眠りの状態を常にモニターしているため、眠りの浅いタイミングを狙ってトイレ誘導を行うことも可能。反対に眠りが深くなってから居室巡回を行うことで、〝巡回のせいで利用者様が目を覚ます〟といった事態が回避できているそう。
「『眠れない』と訴える利用者様は多いですが、実際、どの程度眠れていないかも一目瞭然なので、ケアマネジャーへの伝達もスムーズです。以前は4名の夜勤スタッフを置いていましたが、今は3名で担当し、さらに各自2時間の休憩を確保できるようになりました。心身両面の負担が軽くなり、いずれは巡回ゼロも実現できるのではと思っています」

スキマ時間の活用で“書きもの時間”は7分の1に短縮!

もうひとつの課題であった記録作成の効率化には、ケアカルテが大きく貢献。詳しい話を三浦さんに伺いました。
「以前は〝書きもの〟をしようと思うと、いくつものファイルを机いっぱいに広げなければならず、準備するだけでもひと苦労でした。結果、夜勤の時にまとめて記録するしかなくて…。今はタブレットで簡単に入力でき、ちょっとしたスキマ時間で記録が可能になりました。夜勤時に休憩できるようになったのもこの仕組みができてからですね」
導入当初はタブレットの活用に苦手意識を持っていた年配職員もいて、〝紙に記録したものを、もう一度タブレットに入力する〟という手間を掛けたこともありましたが、非効率過ぎると短期間で中止。中江さん、三浦さんら若手職員が便利に活用してみせることで徐々に浸透していったと振り返ります。
「記録作成の時間は以前の7分の1にまで短縮され、もう昔には戻れません(笑)。ここでの仕事に無くてはならないツールとなっています」

ITの活用が介護本来のやりがいも増やしていく

最後に同施設で採用を担当している松田智也さんに伺うと、IT活用で生まれた時間を介護サービスの質の向上につなげていかなければと強調します。
「以前は常に職員がバタバタと走り回っているような状態でしたが、このごろは施設内が静かになり、落ち着いた雰囲気になりつつあります。離職も減りましたし、他社に転職した職員が戻ってきたりもしています」
忙しさのあまりできなかった利用者様とのきめ細やかなコミュニケーションも増え、介護本来のやりがいを感じられるようになっているという松田さん。介護の職場を選ぶ視点が大きく変わっていきそうです。
「ベッドからに急に起き上がったりすると転倒リスクが高まりますが、眠りスキャンでモニターしているとすぐに気付いて駆けつけることができます」(中江さん)
「スキマ時間でも簡単に記録が付けられるので、“書きもの”に追われることが無くなりました」(三浦さん)
各部屋の利用者様の睡眠状態がひと目で分かる眠りスキャン。ナースコールとも連動し異常があればすぐに職員が駆けつける。

ライフプレステージ白ゆり美原(白ゆりグループ)

2011年3月にオープンした複合型介護施設。大浴場やカラオケ、映画鑑賞ルームなど充実の設備を誇り、有料老人ホーム、デイサービスセンター、ショートステイなどの複数の事業を運営する。
函館市美原2丁目50番2号
TEL.0138-34-3231
http://www.shirayuri.gr.jp/
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