北海道ビジネスニュース 買い物も遊び場もひとつに。現役ママが立ち上げた理想の育児の場「Acoco」

2025年2月10日 公開

札幌市北区に店舗を構えるAcoco(アココ)は、2024年7月にオープンした室内型遊戯スペース併設の子供用品専門レンタル&リサイクルショップ。代表の古川遥さんに、お店を立ち上げた経緯や、開店後のさまざまな変化、今後の展望を伺いました。
子ども服や玩具が所狭しと並ぶ店内。2階のキッズパークで子どもを遊ばせている間に買い物をすることもできます。

初の育児を機に店づくりを発案

扉を開けると所狭しと並ぶ子ども服やおもちゃなどのリサイクル商品。階段を上った先の遊戯スペースには柔らかいじゅうたんが敷かれ、まるで子育てサロンのような雰囲気です。この店をたった一人で立ち上げた古川さんは元々、事務の仕事をしていたそうですが、2021年に出産してからは育児での苦労を機に店の構想を練るようになったと言います。
「育休中はちょうどコロナ禍だったため、自宅にこもりきりでした。誰とも会話をすることなく子育てに向き合い続けるのは想像以上に大変で…。そんな中、ママ同士が交流できて、買い物もできて、子どもも楽しめる…そんなぜいたくなお店があったらいいなと考えるようになりました。根底にあったのは、少しでも同じ苦しい思いをしているママたちを救いたいという思いです。13年間勤めていた会社は居心地も良く愛着もあり、辞めるのは本当に苦しかったのですが、それでも挑戦したいと退職を決意しました」

とはいえお店を開くために必要な知識や、資金も充分にはなかったという古川さん。育児の傍ら、インターネットで起業のための情報を収集し、資金もクラウドファンディングを利用して集めたそうです。
「以前の仕事を退職してから開店するまでの期間は4カ月しかありませんでした。事務手続きや資金調達、商品収集、リサイクルショップ運営のための古物営業許可の手続きなど、とにかくやることが多くて…テナントを探して内装工事が終わるころにはもう開店まで1カ月を切っているという状況でした」

救世主となったのは、顔も知らない近所のママたち

開業日目前にして準備が追いつかず、一時は途方に暮れていたという古川さん。しかし、思わぬ救世主が現れます。
「開業までの様子を公開していたSNSに、2人の方から突然『手伝いたい』というメッセージが届いたんです。顔も見た事がない方だったので不安に思っていると、2人とも近隣に住むママで、私の思いに共感してくれたとのことでした。会ってすぐに意気投合し、店内の壁を塗ったり、装飾をしたりと、更には開店前の1週間は深夜まで手伝ってくれて…おかげで無事にオープンを迎えることができました」
「Acoco」は1階が子ども用品のレンタル・リサイクルショップ、2階が室内型遊戯スペースになっています。商品は仕入れも検品もご自身でされているのだそう。
「あまりにボロボロなものは処分し、汚れているものは奇麗に洗って、洋服に付いたシワや毛玉などは丁寧に取り、手ごろな価格設定で販売しています。店舗での買い取りも、できるだけ高く買い取るよう心がけています」

2階の室内型遊戯スペースには、絵本やおもちゃが盛りだくさん。乳幼児専用コーナーやおむつ替え・授乳スペースもあり、赤ちゃんから小学生まで幅広い年齢層の子どもが利用しているそうです。
「キッズランドが視界に入る位置に、飲食スペースも設けています。キッチンはありませんが食器や電子レンジもあるので、離乳食やお弁当を温めて食べることもできます。出前も、貸し切り利用も可能ですので、子連れのママたちが手ぶらで来て歓談していることもあります」

育児の場から、頑張るママたちのオンラインコミュニティへ

利用するママたちや、SNSからの問い合わせの声を取り入れて、最近ではイベントスペースとして貸し出しも行っている同店。運営を続ける中で、お店の方向性は少しずつ変化してきています。
「広いスペースを利用して、ピラティスやベビーヨガ教室、アロマバスボム作り体験会、防災教室など、さまざまなイベントが開催されるようになりました。主催は子育て中のママや、起業家さんが中心です。当初リサイクル・レンタルショップとして開店したAcocoですが、今ではコミュニティスペースとしての機能も大きくなってきています」

最近では店で親しくなった女性起業家たちを集め、オンラインコミュニティ「Aco’s Base」を立ち上げた古川さん。SNSで募った1期生は50名にものぼり、2025年1月から活動をスタートしました。
「コンセプトは”北の大地で頑張る女性が集まるオンラインコミュニティ”です。私自身が右も左も分からないまま脱サラして起業し、まだまだ勉強するべきことも多いので、学びや悩みなどを共有して共に切磋琢磨していけたらと構想しています」

更に新店舗のオープンを目指して準備中だという古川さん。変化を続けながらも、立ち上げ当初から変わらない強い思いで店を運営しています。
「出産前は自分がこんなにも行動力のある人間だとは思ってもみませんでした。私がここまでの行動を起こせたのは、たくさんの地域のママや仲間たちに救われたからです。これからも、育児や仕事を頑張る女性を応援したいという気持ちを大切にしながら、新たに増えた仲間たちと一緒にまい進していきたいと思っています」

子供用品専門レンタル&
リサイクルショップ
Acoco

2024年7月、札幌市北区にオープン。1階では中古の子ども服や子ども用品を販売。2階に有料の室内型遊戯スペースや交流スペースを併設している。レンタル商品は現在オンラインのみの取り扱い。
北海道札幌市北区太平10条7丁目2-7
TEL.050-1192-1077
https://www.instagram.com/acoco_sapporo/

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