北海道ビジネスニュース 北海道ビジネスニュース【株式会社ブエングスト】

2021年5月24日 公開

コロナ禍で苦境の生産者を救う、ゼロ円通販「北海道旬得便」。

コロナ禍で行き場を失った北海道の農産物を支援するために開始したネットショップ「北海道旬得便」。道産野菜を送料のみで購入できる斬新な取り組みが話題を呼んでいます。サービスに懸ける思いを、ショップを運営する株式会社ブエングストの代表取締役、川口剛さんに伺いました。

生産者の現状を聞き、ECサイトのノウハウを活用。

大学での講師や企業顧問としても活躍している川口さん。「『北海道旬得便』が、弊社がメインで取り扱ってきた物販、物流といったビジネスからの転換にもつながるのではと期待しています」

川口さんは、北海学園大学卒業後、コンサルティング系会計事務所を経て2007年、26歳という若さでブエングストを創業。当時、多くの人に浸透し始めていたインターネットオークションに商機を見いだし、出品代行サービスを開始しました。現在は事業を拡大し、EC(通販)サイトの運営、ウェブサイトの制作のほか、アマゾン・楽天などへの販売代行、商品保管・物流サービス、家電製品の販売、コンサルティングなど幅広い業務を行なっています。しかし、一見すると農業とのかかわりは少なそうですが、なぜこのようなサービスを開始したのでしょうか。
「元々、仕事でのつながりから道内の観光協会や飲食店経営者達と交流がありました。そうした方々から、余った食材を利用した商品開発や、食材そのもののネット販売ができないかと相談を受けたのがきっかけです」
新型コロナウイルスの影響で大きな打撃を受けた観光業や飲食業。それに連なるように農業、漁業などの一次産業も卸売先が減少したことで苦境に陥っているというのが相談の理由でした。更に、大量の食材が倉庫や冷蔵庫に眠っていたり、最悪の場合は捨てられていたりするというのです。
インターネットオークションでの販売代行やリサイクルショップの運営を行なっていたこともあり「もったいない」という意識は強かったという川口さん。加えて、IT化が遅れている産業へのサポートも行いたいと考えていたそう。そこで、ECサイトのノウハウを生かして、まずは農業を支援する方法を模索します。
「多くの業態がテイクアウトやインターネット販売といった非接触での販売方法にシフトする中、農家の大半は卸売や対面販売など従来型が主流で、ECサイトの運営ノウハウといったITリテラシーを持つ生産者は多くありません。また、受発注や発送まで手を回す時間も人員もないというのが現実でした」

リスクを負ってでも、北海道の産業を救いたい。

「自分ができることで支援を」と考えた川口さんは、ECサイトの運営、受発注から発送に至るまで、まるごと引き受けることに。市場関係者の知恵も借りながら、ローコストで野菜の運搬を行なうネットワークを構築しました。
そして、無料で野菜を引き取っても支援にはつながりにくいことから、生産者から直接、野菜を買い上げる事を決断します。しかし、それでは採算が取れないのでは…。
「他の事業で補っているのが現状ですが、リスクを負ってでも一刻も早く支援をしようと決意を固めました。北海道は農業と観光業への依存度が非常に高く、とりわけ農業の出荷額は全国1位で、2位の鹿児島県との差は2倍以上と圧倒的な産業規模を誇ります。農業がダメージを受けることは北海道全体の衰退につながってしまうのです」
更に、野菜は規格外品や訳あり品ではなく、飲食店や観光施設に卸していた高品質な食材。購入したその日に発送しているため、収穫したての新鮮な味わいが楽しめるのだとか。
「全国の皆さんにおいしい野菜を味わっていただき、北海道のファンを広げること、注目度を上げることが、将来の支援にもつながると思うのです」

新たなビジネスを見据えて、ネットワークを広げる。

今年3月にサービスを開始すると、たちまちメディアの取材が殺到。大手のネットニュースに取り上げられた時は、なんと1日に90件もの注文が入ったそうです。
「特に大阪や東京といった大都市にお住まいの方、若い女性や小さなお子様のいる世帯からのご注文が多いですね。このサービスがコロナで収入が減ってしまった方、ひとり親世帯の方の支援にもつながるのではと期待しています」
今後は、農家とのネットワークを更に増加。漁業や食品製造業へと支援を拡大し、取り扱う商品も北海道のギフトやスイーツなど幅を広げたいそうです。そして同じく苦境に立たされている全国の飲食店に届けることで、食にまつわる産業全体のサポートへとつなげていきたいと話します。そうして本業では得られないつながりを得ることで、食品の流通・販売といった新たな事業の展開も考えているのだとか。
「今は利益を追求せずにショップの運営を続け、社会貢献のための循環型プラットフォームへと成長させたいです。将来的にはSDGs(持続可能な開発目標)で掲げられている食品ロス削減の啓発や、災害時のネットワーク構築、情報格差の解消につながるでしょう。また、弊社もそうした課題解決に向けたコンサルティングなどを行なうことが可能となります。それが会社にとっても、世の中にとっても、メリットとなると期待を抱いています」

株式会社ブエングスト

2007年創業。ECサイトの運営、ウェブサイトの制作のほか、Amazon・楽天への出店代行、商品保管・物流サービス、家電製品の販売、コンサルティング等幅広いサービスを展開。
北海道札幌市豊平区美園3条1丁目2-1
TEL.011-788-5056
https://buen-gusto.co.jp/
北海道旬得便
https://h-shuntokubin.com
現在出品されているのはタマネギやジャガイモがメイン。お米など一部は有料ですが、大幅に値引きした金額での購入が可能です(2021年5月現在)
Instagram
https://www.instagram.com/shuntokubin/
SNSを通じたプレゼントキャンペーンを行ったところ、インスタグラムで野菜を使用した料理写真が次々とアップ。認知度向上につながりました。

北海道ビジネスニュース

最新記事5件

北海道の観光をより面白く!星野リゾート「OMO」。道内3番目のホテルが始動。 2022年4月25日 公開

星野リゾートの都市観光ホテルブランド「OMO(おも)」。3番目となるホテルが札幌にオープンしました。

機材やテクノロジーに積極投資することで、映像ビジネスの未来を。【niceグループ】 2022年3月21日 公開

最新鋭の機材やテクノロジーを使った質の高い映像を届けることで知られているniceグループ。代表の巣内佳幸さんにグループの強みやビジネススタイルを伺いました。

今秋誕生の銭函の新スポット「ゼニバコテラス」に注目! 2022年2月21日 公開

2022年秋誕生予定の「ゼニバコテラス」について、株式会社トベックスの代表にお話を伺いました。

北海道ビジネスニュース【平岸ハイヤー株式会社】 2022年2月14日 公開

地域の移動だけでなく、ライフスタイル全般に役立つ新しいタクシー会社へ。

北海道ビジネスニュース【燻製と檸檬Bitters(ビターズ)】 2021年11月15日 公開

キッチンカーでファンの心をつかみ、実店舗で人の輪を広げる!