北海道ビジネスニュース【スープカリー奥芝商店】
2019年11月18日 公開
クスッと笑える遊び心と驚く仕掛けで、
楽しい大人像も伝える飲食企業へ

屋号の由来は、偶然見つけた祖父の前掛け。

スープカリー奥芝商店
代表取締役/奥芝洋介さん
「幼いころ、忙しい両親の代わりに僕の面倒を見てくれたのが祖父母でした。実は開業に向けて店名を考えていた時、偶然通りがかった骨董品屋さんで『奥芝商店』と描かれた前掛けを見かけたんです。それは祖父が生前営んでいたお店の備品で、何か運命を感じ、自分が屋号とこの前掛けを受け継ごうと思ったんです」
開業当初は自らアルバイトを掛け持ちし、スタッフの給料を払っていたと苦笑する奥芝さん。周囲に「頑張って行列ができる店を作ろう」と鼓舞し、がむしゃらに努力を続けた結果、その言葉が現実のものになりました。
「ただ、いくら行列ができても、1店舗ではスタッフの将来を担保するのが難しいと感じるようになりました。恥ずかしい話ですが、当時は従業員に対する責任感から、数字だけに追われていたように思います」
旭川に2店舗目を展開したころ、奥芝さんが経営や仕事についてよく相談する師匠の1人からこんなアドバイスを受けたそうです。
「企業は数字だけが伸びても、会社も働く人も上手くいかなくなる。何のために仕事をするのか考えなさい…と。以来、奥芝商店が提供できる価値や方針をしっかりと固めるようになりました」
アイデアを実現させた時、「何人笑っているか」が大切。
「こうした空間作りと商品開発、そしてスタッフの教育は部門を分けて取り組んでいます。ただし、担当者しか携われないというわけではなく、アルバイトスタッフでも新しいスープカレー作りに挑戦したい場合はウエルカム。つい最近も女性向けの『古き良き淑女カリー』をメニュー化しました…もちろん、商品として提供できる品質に高められるまでに、何度も試作してもらいましたが」
奥芝さんは決してワンマンではなく、スタッフとともに成長することが企業を活性化させるという考えの持ち主。「アイデアを実現させた時に何人が笑っているか」を本気でイメージできる人には、チャレンジを後押ししています。
「調理専門学校でカレーの講義をしたい、北海道胆振東部地震の炊き出しボランティアをしたいなど、スタッフのアイデアが実現されたケースはたくさんあります」
「おくしばぁちゃん」は、地方創生のカギにも!?
「例えば、『おくしばぁちゃん』は祖母が認知症を患い始めたことから、シニア層に何ができるのか考えた末の店舗です。若者に仕事への向き合い方を学ばせたり、お店を走り回る子どもを上手にしかったり(笑)、教える喜びによって生きがいを感じていただいています。大げさかもしれませんが、このスタイルは地方創生の鍵にもなり得ると思うんです」
今後は、カレーパンをキッチンカーで販売する子会社を立ち上げたり、近い将来には海外展開も見据えたり、「他にも、『おくしばぁちゃん』の店舗と働く人を増やし、『オバア48』というユニットを作って講演会を開くのも面白いですよね」と奥芝さんはいたずらっぽく笑います。札幌市内にもインバウンドを意識した驚くような仕掛けを施す店舗を増やす予定なのだそうです。
「僕らは北海道のスープカレーという食文化を広げるとともに、『子ども達が大人になることを楽しみと思える世の中を創り、世界を一つに』というグランドデザインを掲げています。本気で仕事に取り組んで、クスッと笑えるような遊び心も取り入れる…これからもそんな楽しい大人像を伝えていきたいですね」
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亡き祖父が営んでいたお店の前掛け。
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「スープカリー奥芝商店 実家」は実家で過ごすような温かみを感じてほしいと設計。
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北海道ブランド牛の宗谷黒牛を100%使用したおくしバーグが絶品。道産の新鮮野菜もみずみずしい一皿。
スープカリー奥芝商店 実家

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