北海道ビジネスニュース 81歳が新設した、出会いと憩いの卓球場「ピンポンコロシアム」

2025年3月24日 公開

2022年、札幌市東区に卓球コミュニティパーク「ピンポンコロシアム」がオープンしました。子どもから大人まで、誰もが楽しめる卓球場でありながら、男女が出会うイベントや高齢者向けの企画など、ユニークな取り組みを次々と行っています。2年前、81歳で事業を立ち上げた代表の上田浩さんに、立ち上げに懸けた思いや、今後の展望を伺いました。
天井高8m、道内最大の卓球場。一台平日500円(税込)、土日祝日600円(税込)。卓球マシーンもレンタル可能で、お一人様でも楽しめます。

60年間温め続けた、卓球場開設の構想を実現

ピンポンコロシアム代表/上田浩さん

15台の卓球台がズラリと並ぶ場内。東京オリンピックに使用されたものと同じ台が使用され、1人用の練習マシンもあるなど、プロが見ても驚くほど本格的な設備がそろっています。
「毎日小さな子どもや初心者・ご高齢の方までさまざまな方がラリーを楽しんでいます。中には90歳を超える方も。皆さん年齢を重ねてもお元気で、僕なんかまだまだ若いほうですよ(笑)」

そう言って笑うのは、同施設のオーナー上田浩さん。なんと開設当時の年齢は81歳だったと言います。

ご出身は東京都。若いころは都内の釣具メーカーに勤務し、営業で全国を飛び回るうちに北海道の自然に魅せられ、30歳で移住。40歳を過ぎてからは経営者として、札幌に釣具店を複数店舗展開していたそうです。そんな上田さんが、一体なぜ同施設を開いたのでしょうか。
「60歳で大病を経験し、元気になったら世の中のため、人のためになることをしようと考えていました。そんな時に思い浮かんだのが”卓球場をつくりたい “という若いころからの夢でした」

実は上田さんは大学時代、卓球強豪校に在籍。全国大会で優勝するほどのエースで、施設内にも当時の賞状や表彰盾などが飾られています。
「卓球は年齢を問わず始めることができます。健康にも良い。体を動かすことだけではなく、そこで生まれるコミュニケーションを通じて、みんなが元気になれる卓球場をつくりたいという思いでピンポンコロシアムを開設しました」

ピンポンでカップル誕生!?コミュニティとしての卓球場。

この施設を単なる運動場ではなく「コミュニティ」としての役割をもつ卓球場を目指していると強調する上田さん。そんな思いのもと、同施設ではユニークな取り組みがなされています。そのうちの一つが、卓球をしながら20〜30代の未婚の若者同士が交流できるパーティー「ピンポンパ」です。
「男女でミックスダブルスを組み、順次組み合わせを変えながら卓球をしたあと、軽食を取りながら一人ずつ全員とトークタイム。気になる人の名前を書いて、イベントは終了です。カップルが成立した場合は連絡が取り合えるよう、スタッフから双方に連絡をすることになっています」

なんと過去2回の開催で計11組のカップルが成立。多くの参加者から好評で、第3回20〜39歳「ピンポンパ」を今年5月に、35〜59歳のミドル世代向けを今年6月に開催予定です。
「カップルと言っても、まずはお友だちからですけどね。それでもイベント後、二人そろってまた卓球をしに来てくれるのを見るとうれしいです。たとえカップルが成立しなくても『楽しかった』『参加してよかった』という声が多くいただけると、機会をつくれて良かったと実感しています」

また、シニア向けには「百寿クラブ」も発足。対象者は60歳以上で、現在の加入メンバーは150名ほどだと言います。
「みんなで卓球を楽しみながら、元気に百歳を迎えることを目標とするクラブです。卓球は多少の持病があっても、自分のペースで取り組めます。体を動かしているうちに自然に人とのかかわりができるので、シニア世代もみんな生き生きとラケットを振っていますよ」

商品開発や卓球大会も、新たなアイデアが続々。

「ピンポンパ」は特設サイトから申し込み可能です。

上田さんのアイデアはとどまることを知らず、現在も次々と新たなアイデアを発案・実行しています。最近では紙製の手作りのクラフトラケット「Crara」を開発。一般的なラバー(ゴム)ではなく色とりどりの紙が貼られているのが特徴のラケットです。
「ラバーと比べてボールが当たる感覚が分かりやすく、基本的な打ち方を身に着けることができます。また、重さもラバーラケットの半分なので、小さなお子さんや高齢者の方にも持ちやすく、初めての卓球にもぴったりです。今年7月にクラフトラケットで行う楽しい卓球大会 『クラポン・ジャパンカップ』も開催の予定です」

こうした卓球を始めるきっかけの場をつくりながら、今後は地域の子どもたちに教えるための機会も設けたいと話す上田さん。
「70歳を過ぎたら少しでも社会にお返しをしたいと考えてきました。卓球を通じて世代を問わず人々のためになるような、楽しい交流の機会をつくっていきたいと思います」
「実はもう頭の中には新たなアイデアがたくさんあるんです」と笑う上田さん。卓球場は今後も多くの人々、そして上田さんご自身の元気の源であり続けるのかもしれません。

卓球コミュニティパークピンポンコロシアム

2022年札幌市東区にオープン。誰でも手ぶらで卓球を楽しむことができ、卓球で健康維持を目指す「百寿クラブ」活動や、不定期で開催される卓球交流イベント「ピンポンパ」が話題に。併設の釣り堀場では川釣り体験もできる。
北海道札幌市東区東苗穂2条3丁目5-46
TEL.011-782-2851
https://pingpong-colosseum.jp/

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