北海道ビジネスニュース【伊勢ファーム】
2019年5月27日 公開
世界一のチーズで「江丹別」を世界一の村に!全国から注目を集める〝夢かなう場所〟
子どもの頃は大嫌いだった〝田舎〟の町、江丹別。

伊勢ファーム
代表/伊勢昇平さん
牧場内の工房で、チーズ作りに取り組むのが伊勢昇平さん。
「子どもの頃は、江丹別という田舎町も酪農の仕事も大嫌いでした。きつい、汚い、お金ない。何でこんな仕事の家に生まれたんだろうと」
その考えが変わったのは高校時代、英語の先生に「お前の親父は牛乳を搾ってんだろう。その牛乳で世界一のチーズを目指してみたらどうだ?」と言われたのがきっかけ。よしやってみようと大学で畜産を学び、道内のチーズ工房で修行を積んだ伊勢さんは、実家に戻ってチーズ作りに取り組みます。
「チーズの質は牛乳で決まります。父が目指してきた酪農は、自然の流れを尊重し牛の体調を最大限高めること。チーズの勉強をすればするほど、父が目指す酪農の素晴らしさが分かってきました」
これまで大嫌いだった〝家業〟への認識がどんどん変わっていったそうです。
成功とどん底を乗り越えたチーズ作りの道のり。
「最初上手くいっていたのは牛乳の質に助けられたビギナーズラックだったんです。どうして上手く作れたのかが分からないから、上手く行かなかった時の対処法も分からない。廃棄に次ぐ廃棄で、どん底の毎日でした」
意を決した伊勢さんは、本場フランスのチーズ工房に武者修行に出掛けます。一度見学に行ったことがあるだけの工房に「給料はいらないから働かせてほしい」と何度断られても食い下がり、車や趣味の自転車も売り払っての渡仏だったそう。お金がなく、時には野宿をしながらも工房を巡りチーズ作りの理論を身に付けた伊勢さんは、帰国後再びブルーチーズ作りに取り組み始めました。そのチーズの評価の高さは…。ぜひ「江丹別の青いチーズ」で検索してみてください!
江丹別を〝夢を持つ人〟が集まり、夢を叶える場所に。
そう感じた伊勢さんが次に取り組み始めたのは、何と〝江丹別を世界一の村にすること〟。
「夢みたいなことを言ってると思いますか?僕がフランスで感じたことの一つが、おいしいチーズがある町は人も土地も魅力的だということ。子どもの頃、江丹別なんかに夢も希望もあるわけないと思っていたし、周りの大人もみんなそう言っていました。でも夢や希望がなかったのは土地ではなく自分自身。いくらでも魅力的な土地にしていけるんじゃないかと考えが変わりました。僕はこの江丹別を、夢を持つ人が集まり、夢を叶えていく場所にしたいんです」
そう熱く語る伊勢さんのもとには、道内・外の多くの仲間から「自分もこんな夢を形にしたいのだけれど…」という問い合わせが寄せられます。そんななか、6月には旭川からの移住者が江丹別で採れた食材を中心に提供するレストランをオープンさせることが決まっているほか、8月にはベーカリー、数年先にはワイナリーを開く移住者の計画も進行中だそう。「ここで夢を叶えたいと思う方がいたらぜひ声を掛けてください。喜んで相談に乗りますよ!」と伊勢さん。10年後の江丹別はどんな姿になっているのでしょうか?小さくてもどこよりも熱いこの町から目が離せません。

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チーズはファーム内の直営店やオンラインショップ、旭川空港、新千歳空港、どさんこプラザ札幌店などで購入できます。
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木材加工に適した木にも恵まれる江丹別。地元の木を自分たちの手で伐り出し、家具制作をする計画も進行中だそう。
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伊勢さんをはじめとする有志によって、今年2月に伊勢ファームで開催された「雪景色のランタンフェスティバル in 江丹別2019」の様子。
伊勢ファーム
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