北海道ビジネスニュース 北海道ビジネスニュース【伊勢ファーム】

2019年5月27日 公開

世界一のチーズで「江丹別」を世界一の村に!全国から注目を集める〝夢かなう場所〟

旭川市街から車で50分ほどの静かで小さな集落、江丹別。この村に全国のバイヤーや一流シェフからも注目されるとびっきりスペシャルなチーズがあるのをご存知でしょうか。この地で生まれ育ったチーズ職人が故郷の町を大きく変えようとしています。

子どもの頃は大嫌いだった〝田舎〟の町、江丹別。

伊勢ファーム
代表/伊勢昇平さん

旭川市江丹別町。冬には全国最低気温を記録したこともある静かな集落です。その一角にある伊勢ファームでは、約20頭の乳牛を家族のみで飼育。冬季以外は完全放牧で穀物飼料はほとんど与えず、牛たちは皆元気いっぱいです。
牧場内の工房で、チーズ作りに取り組むのが伊勢昇平さん。
「子どもの頃は、江丹別という田舎町も酪農の仕事も大嫌いでした。きつい、汚い、お金ない。何でこんな仕事の家に生まれたんだろうと」
その考えが変わったのは高校時代、英語の先生に「お前の親父は牛乳を搾ってんだろう。その牛乳で世界一のチーズを目指してみたらどうだ?」と言われたのがきっかけ。よしやってみようと大学で畜産を学び、道内のチーズ工房で修行を積んだ伊勢さんは、実家に戻ってチーズ作りに取り組みます。
「チーズの質は牛乳で決まります。父が目指してきた酪農は、自然の流れを尊重し牛の体調を最大限高めること。チーズの勉強をすればするほど、父が目指す酪農の素晴らしさが分かってきました」
これまで大嫌いだった〝家業〟への認識がどんどん変わっていったそうです。

成功とどん底を乗り越えたチーズ作りの道のり。

伊勢さんが作るチーズは青カビを使って牛乳を熟成させるブルーチーズという種類です。牛乳の質の良さに助けられ、当初の滑り出しは順調そのもの。JAL国際線のファーストクラス機内食に採用されたり、テレビ番組でも紹介される人気の商品となりました。ところが3年ほどたった頃に、突然どうしてもチーズ内部に上手くカビが入らないというスランプに…。
「最初上手くいっていたのは牛乳の質に助けられたビギナーズラックだったんです。どうして上手く作れたのかが分からないから、上手く行かなかった時の対処法も分からない。廃棄に次ぐ廃棄で、どん底の毎日でした」
意を決した伊勢さんは、本場フランスのチーズ工房に武者修行に出掛けます。一度見学に行ったことがあるだけの工房に「給料はいらないから働かせてほしい」と何度断られても食い下がり、車や趣味の自転車も売り払っての渡仏だったそう。お金がなく、時には野宿をしながらも工房を巡りチーズ作りの理論を身に付けた伊勢さんは、帰国後再びブルーチーズ作りに取り組み始めました。そのチーズの評価の高さは…。ぜひ「江丹別の青いチーズ」で検索してみてください!

江丹別を〝夢を持つ人〟が集まり、夢を叶える場所に。

「やっと自分でも納得のいくチーズ作りができるようになった」
そう感じた伊勢さんが次に取り組み始めたのは、何と〝江丹別を世界一の村にすること〟。
「夢みたいなことを言ってると思いますか?僕がフランスで感じたことの一つが、おいしいチーズがある町は人も土地も魅力的だということ。子どもの頃、江丹別なんかに夢も希望もあるわけないと思っていたし、周りの大人もみんなそう言っていました。でも夢や希望がなかったのは土地ではなく自分自身。いくらでも魅力的な土地にしていけるんじゃないかと考えが変わりました。僕はこの江丹別を、夢を持つ人が集まり、夢を叶えていく場所にしたいんです」
そう熱く語る伊勢さんのもとには、道内・外の多くの仲間から「自分もこんな夢を形にしたいのだけれど…」という問い合わせが寄せられます。そんななか、6月には旭川からの移住者が江丹別で採れた食材を中心に提供するレストランをオープンさせることが決まっているほか、8月にはベーカリー、数年先にはワイナリーを開く移住者の計画も進行中だそう。「ここで夢を叶えたいと思う方がいたらぜひ声を掛けてください。喜んで相談に乗りますよ!」と伊勢さん。10年後の江丹別はどんな姿になっているのでしょうか?小さくてもどこよりも熱いこの町から目が離せません。
自らを「ブルーチーズドリーマー」と称する伊勢さん。「土地探し、家探し、仕事のことなどなんでも相談に乗ります。江丹別への移住を考える方はぜひ僕にご相談を!」

伊勢ファーム

豊かな自然のなか、ほぼ草のみを食べる健康な牛たちを家族で飼育。牛乳は外部に出荷せず、ブルーチーズと敷地内の直営店「カウ&カーフ」(冬季休業)で販売するソフトクリームに加工する。
旭川市江丹別町拓北214
TEL.0166-73-2148
https://bluecheese-dreamer.com

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