北海道ビジネスニュース【札幌市図書・情報館】
2019年2月4日 公開
働く世代のシゴトをサポートする、
まったく新しいスタイルの図書館
貸し出しを行わないなど、これまでの図書館像をくつがえす斬新な運営スタイルに注目が集まっています。
事務職員の上田智美さんと司書の杉本弥生さんに、施設の特徴や目指す姿をお聞きしました。
市民の声にも応えた、マチナカの図書館

札幌市図書・情報館
事務職員/上田智美さん(左)
司書/杉本弥生さん(右)
「札幌のマチナカに図書館を…という要望は以前から寄せられていました。市民の方の声に応える意味でも、当館の設置を進められたのは有意義だと思います」と上田さんがにこやかに教えてくれました。
一般的な図書館とは異なり、ビル内の限られた面積が「札幌市図書・情報館」に与えられたスペース。オールジャンルの本を網羅できるほど広くはなく、どのような図書サービスを届けるべきか、市内の図書館で働く職員を中心としたプロジェクトメンバーで議論が交わされました。
「図書館の利用は絵本を借りに来た親子連れとリタイア層が圧倒的。一方、働く世代はガクッと利用率が落ちるため、マチナカの立地を生かして本にふれてもらおうと考えました」
ジャンルは「WORK(仕事)」「LIFE(暮らし)」「ART(芸術)」に設定。仕事を中心に、プライベートも豊かになる情報を届けることで、働く世代の心に響く施設づくりを目指しました。
貸し出しを行わない、という思い切った決断
「オープンにむけて、先進的な図書館や民間のビジネスライブラリを視察したり、ブックディレクターとのワークショップで課題を洗い出したりもしました。落ち着いて本が読める空間やNDC(日本十進分類法)と呼ばれる一般的な図書館の分類にとらわれない並べ方もみんなで形にしていったんです。働く世代が必要とする情報とは何かを考え、棚ごとのテーマを決め、親しみやすいサイン(見出し)をつけました」
確かに、館内を見渡すとビジネススキルやフードなどに細かくエリアが分けられ、しかも小分類の見出しには「できる人は机がキレイ」といったユニークなタイトルが付けられています。
「最大の特徴は本の貸し出しを行わないこと。一般的な図書館では最新刊や人気の本は予約待ちで手に取れないケースも多いため、思い切って閲覧のみのスタイルに決めました。図書館の常識を打ち破ることに不安はありましたが、いつでもお目当ての本が読めると評判は上々です」
仕事中にこそ、活用したい図書館へ
「飲み物も持ち込めるので、リラックスしながら会議も開けます。働く世代の方に仕事中にもどんどんご活用いただいて、アイデアやひらめきのお手伝いをしたいですね。『こんな本はないだろうか』というご相談には、私たち司書が資料をリサーチしてご提案します」とは杉本さん。
また、起業や経営、法律トラブル等の専門機関が出張窓口を定期的に開催。気軽に相談できるのも特徴です。
「当館は市場調査や商圏分析といった無料のデータベースも豊富ですし、仕事や暮らしに役立つ知識や、知的好奇心をくすぐる話題に関するセミナーも開催しています。『仕事が忙しいから本が読めない』ではなく、仕事が忙しいからこそ図書館に行きたいと思えるサービスをこれからも届けていきたいです」

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2Fフロアには「WORK」「LIFE」「ART」の3つのカテゴリで専門的な図書、新聞、雑誌が豊富に揃っています。予約可能なミーティングルームやワーキングエリア、他にも司書に調べ物の相談ができるリサーチカウンターなど多彩なエリアで構成されています。
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図書・情報館の司書イチオシ本を毎月紹介する棚も。訪れる度に新しい発見が得られるような工夫が随所に。
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予約可能なグループエリア。2〜4名での仕事や打ち合わせにも利用できます。
札幌市図書・情報館
TEL.011-208-1113
北海道ビジネスニュース
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