VRの技術で現場に即したリアルな教育と、グローバルな人材育成を。【株式会社キシブル】
2024年11月11日 公開
北海道の地域課題に向き合う中で興味を持ったVR。
「東京の大学で学んだ後、2年間ニュージーランドで観光系の仕事をしていました。そこでのゆったりとした田舎暮らしが気に入っていたので、帰国する際は東京ではなく故郷である北海道に戻り、記録媒体であるマイクロフィルムを扱う会社で営業の仕事をしていました」
次第に新規事業の提案を任されるようになった岸さんは、北海道のさまざまな自治体に足を運び、地元の人の声に耳を傾け、それぞれの地域課題を基に新たな事業を立ち上げていったと言います。
「Webサイトの制作、介護保険計画のコンサルタントなど、多くの事業にかかわるうちに、社外でも仕事仲間が増えていったんです。10年勤めてから転職した先のWeb制作会社でも、経験と人脈を生かして新規事業を展開していきました。同社でVRを活用した建築物の施工シミュレーションに携わったことや、VR関係のプロポーザルに参加する機会があったことも重なって、次第にVRって面白いなと思うようになっていったんです」
大学と医療現場とのギャップに悩む看護師を救いたい。
「この出来事をきっかけに事業化と独立を決意しました。その後複数の大学でもこの技術を水平展開し、試行錯誤する中で誕生したのが、VR動画と3DCGシミュレーター、を組み合わせたVR教育コミュニケーションツール『iVRES(アイブレス)』です」
iVRESは市販されているVRカメラで撮影した動画をそのまま利用して、仮想空間内で体験することができるツール。ゴーグルを着けるだけで複数人が一度に現場空間を共有することができます。更に、一度導入してしまえば運用コストが掛からずアップデートも簡単で、動画の編集作業も必要ないため、誰でも利用することが可能です。
「医学部だけでなく、獣医学部でも大きな需要がありました。iVRESを使って仮想空間での実習が可能になると、解剖に使用する動物の生体数も激減し、不必要な殺生をなくせるという倫理上のメリットもあったからです」
人材育成ツールとして、世界中で活用されるツールに。
「どの業界においても業務内容を適切に言語化するというのは簡単なことではないですし、時間や労力も掛かります。iVRESなら360度の映像に補足説明をする程度で、分かりやすく正確に伝えることが可能です。更に仮想空間だからこそ、コミュニケーションを気軽にとることができるというメリットもあります。実は僕自身が物事を端的に伝えることが不得意で、コミュニケーションにも苦手意識があるんです。だからこそ生まれたツールなのかもしれません」
iVRES事業は総務省が地方企業のデジタル技術の海外展開をサポートするために実施する支援事業にも採択され、国外にも受け入れられ始めています。
「現在はベトナムの国立病院などで、医療技術や医療機器の管理技術の向上に向けて取り組んでいるところです。今後は東南アジア・アフリカ各国の医療機関でiVRESの導入事例を増やし、更には建設業界にも普及を広げて行けたらと考えています」
iVRESがグローバルツールへと成長していくことを願う一方で、これまで北海道の多くの自治体と向き合ってきた岸さんは、地域活性化にも役立てたいと考えているそうです。
「日本における人口減少、それに伴う人材不足はそれぞれの自治体にとっても大きな課題です。その解決策となる外国人労働者の採用時にも、言語に頼らず教育できるiVRESが役に立つことでしょう。就労後の教育時はもちろん、就労前に自国から働く先の情報を確認したり、実際の業務を疑似体験したりできれば、採用のミスマッチも起こりにくくなります。人材の雇用・育成面から、地域活性化の促進に貢献していきたいと考えています」
株式会社キシブル
北海道ビジネスニュース
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