北海道ビジネスニュース 育児コミュニティーから地域へ! 本を通じた多世代交流を目指す シェア型書店「ぷらっとBOOK」

2026年4月20日 公開

創成川イーストエリアに2025年2月に誕生した「ぷらっとBOOK」。誰もが書店主になれる「シェア型書店」であることに加え、多世代交流拠点としてさまざまなイベントを企画しています。代表の星野恵さんはこれまで「一般社団法人相互支援団体かえりん」として、サイズアウトした子ども服を提供する「おさがり交換会」などを開催してきた人物。新たに書店をつくったきっかけについて、お話を伺いました。

原点は、子育て世代の
孤立を防ぐため。

星野さんは福岡県育ちで2010年に長女をご出産。その翌年にご主人の転勤で北海道へと渡ることになり、慣れない北国での育児に孤軍奮闘。その経験から「ママたちの孤立を防ぎたい」という目的で「かえりん」を設立し、子どもが成長し着られなくなった服を交換する「おさがり交換会」を実施してきました。そんな星野さんがなぜ、シェア型書店の開業に至ったのでしょうか?
「『かえりん』を約10年間運営するなかで、もっともっと支援の輪を広げたいと考えた時に直面したのが『収入』と『活動拠点』という2つの課題でした。参加費数百円の交換会を継続していくには、やはり運営資金が必要となりますが、公的な補助金はあまり多くありません。そして、活動を子育て世代だけでなく社会全体に広めるためには、まちとつながる拠点が必要となってきますが…これまた資金面で壁があります。そんな悩みを抱えている時に出合ったのが、シェア型書店でした」
シェア型書店とは「棚主」と呼ばれる個人が定額で店にある棚を借りて本を販売する形式で、この数年で全国へ広がっています。
「この形なら収入と活動拠点の2つを同時に解決することができます。また東京にある書店に話を伺ったところ、シェア型でさまざまな属性の人が集まることで、まちのコミュニティーにもなっていると聞いて『かえりん』の主旨にも近いと実感しました。本は赤ちゃんからお年寄りまで誰でも親しむ存在ですので、シェア型書店を開くことで多世代交流の場をつくり、子育てを社会全体に広めたいと考えました」

6棚からスタートし
現在はキャンセル待ち。

4人のお子さんの子育てや「かえりん」の活動と並行していたため、開業までは2年かかったという「ぷらっとBOOK」。特に物件探しに難航したそうですが、これまで活動してきた人と人との縁がつながり、近年地域活動が盛んな創成川イーストエリアに2025年2月に無事オープンを迎えることができました。
「オープン前に契約していた棚オーナーはわずか6人と低調なスタートでしたが、その後クラウドファンディングやメディアの取材を受けて一挙に人数が増え、あっという間に136棚すべてが埋まりました。お陰さまで現在はキャンセル待ちの状態となっています」
人気の秘訣は、誰もが始めやすいことだと言います。
「営利目的ではないので、他のシェア型書店よりも圧倒的に安いのが特徴です。入会金は0円で、3カ月に1回の店番ありのプランは税込3300円と相場の半額ほどです。手数料も1冊100円しか頂いていません。ちなみに店番なしのプランもありますが、多世代交流を楽しんでほしいという理由から、できるだけ店番をお願いしています」
また未就学児を持つパパ・ママは棚代を半額にしているのも特徴の一つ。
「私自身も悩んだ経験があるんですが…子どもが小さいと忙しさのあまり、なかなか本を読むまとまった時間が無くなってしまいますよね。でも、本なしで新しい知識を得るのは難しいものです。せめてここで店番をしたり、読書会に参加したりと、本好きの人たちと交流することで、新たな価値観と出合ってほしいという願いを込めています」

地域に飛び出した
さまざまなイベントを。

現在の棚オーナーは40代から60代の女性を中心に、小学3年生から80代まで幅広い属性の人が利用しています。最近では棚オーナーたちが自主的にイベントを開くなど、狙い通り交流拠点としても機能している様子がうかがえます。
「読書会はもちろん俳句や短歌の会、着物の会、古本市も開催されていますし、先日は棚オーナーたちの交流会も開催しました。それぞれの自主性を阻害しないよう、やりたいことがあれば可能な限りサポートをして、個々の活動にはあまり水を差さないようにするのが私のスタンスです。どんどん新しいことを試す場として活用してほしいと感じています」
取材が終わりを迎えるころ「私のやることって、遠回りで分かりにくいですよね」と笑う星野さん。
「ママの孤立を防ぐために作ったのが、おさがり交換会ですし、子育て世代と社会をつなげるための場がこの書店です。一見すると『何で?』って感じですけど、あくまで軸は『子育てに優しい社会』に変わりはありません。この店が存在し続けることが、そんな社会づくりにつながるのではないかと信じているんです」

ぷらっとBOOK

2025年2月1日にオープンしたシェア型書店。店名の由来は「ぷらっと寄りたくなるような、本と人をつなぐプラットフォーム」。棚の数は136個、絵本、小説、詩集に郷土資料などそれぞれの棚オーナーが思い思いの本を販売している。営業時間、定休日は変則的なため、情報はSNSまで。
札幌市中央区南4条東3丁目19
https://www.instagram.com/prattobook/

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