北海道ビジネスニュース 札幌に演劇文化を育て根付かせる新たな舞台が幕開け。5月11日開業「北八劇場」

2024年3月25日 公開

札幌駅北側に複合商業施設「さつきた8・1」が完成しました。そこに新たに誕生するのが「北八劇場」です。設立の目的は札幌に演劇の文化を根付かせ、広め、若者たちにとって希望あふれる場をつくること。芸術監督を務める納谷真大さんに劇場への思いを伺いました。
客席は2フロアにまたがり全226席。見やすく座りやすい、固定座席を採用しています。

再開発エリアに誕生。札幌の演劇シーンの新拠点。

札幌駅北側の大規模再開発で誕生した48階建ての複合商業施設「さつきた8・1」。マンション、オフィス、商業店舗などが入居し、順次オープンを迎えています。
その2階と3階に誕生し、5月11日から6月9日にかけて全30ステージのこけら落とし公演をスタートするのが「北八劇場」です。劇場の初代芸術監督に就任したのは、札幌で活動する演劇ユニット「ELEVEN NINES(イレブンナイン)」の代表で、俳優・演出家・劇作家の納谷真大さん。北海道演劇財団理事を務め、長年にわたり北海道の演劇活動をけん引してきた実力や情熱、人望などを見込まれて芸術監督就任を依願されました。
「これまで私は『面白い芝居をつくること』だけを考え走ってきました。けれど50歳を過ぎて、ただ面白いものをつくるのではなく、若い人につないでいくことの大切さを考えるようになりました。それが今回、この劇場の芸術監督を引き受けた大きな理由です」
ビジネスとしての演劇が非常に大変な世界であるのはみなさんのご想像の通り、と快活な笑顔で話す納谷さん。更に、多くの劇場が公共ホールとして行政の支援を受けて運営しているのに対し、民間劇場である北八劇場にはより多くの大変さが待ち受けているはずだと覚悟を語ります。

「劇場のある街」を根付かせる北八劇場5カ年計画。

劇場オープンにあたって納谷さんが掲げるのは「北八劇場5カ年計画」。開業から5年間さまざまなジャンルのとにかく面白い作品を数多く上演し「あの劇場へ行けばいつも面白いことをやっている」との認識を定着させようという計画です。同時に、5年の間に優秀な俳優や演出家をどんどん育てて札幌に演劇文化を根付かせ劇場そのものと演劇界に生きる人たちとが自立し「食べていける」基盤を作りたいと納谷さんは話します。
「一般の方たちにとって、演劇がハードルの高い存在であることは承知しています。目指すのは、常に誰もが気軽に楽しめる面白い作品を上演し『近くに来たからちょっと寄っていこう』と思ってもらえる劇場。札幌のみなさんに、演劇をより身近で楽しいものだと感じてほしいのです」
一方で当劇場の門は、セミプロやアマチュア、学生たちに対しても広く開かれたものにしたい、というのももう一つの方針です。
「若い世代にこの劇場をどんどん使ってもらい、プロへのステップにしてほしいのです。あの劇場ならいろいろなことをさせてくれる、面白い表現ができるぞと、ワクワクできる希望あふれる場でありたいと思っています。若者や学生のワークショップや地域交流の場としてもぜひ活用してほしいですね」

ダブルキャストで臨むこけら落とし公演。

劇場オープンの5月11日から公演する『あっちこっち佐藤さん』は2007年に札幌舞台芸術賞演劇大賞を受賞し、数々の道内ツアーでも大好評を博した自信作。子どもから高齢者までが楽しめる内容で、ほぼすべての役がダブルキャストでの上演となります。
「舞台には毎回違う楽しみがありますが、今回は特にそう。家族で見に来て『楽しかったね。今度は違う人がやるからまた見に行こう』と思ってもらえたらうれしいですね。何かに行き詰って落ち込んでいる人が見に来て『悩んでいるのがバカバカしくなった』と言ってくれたらそれもうれしい。大切な人と来てくれたらもっと絆が深まると思いますよ」
納谷さん率いる北八劇場の誕生は、札幌の演劇のあり方を大きく変える予感がします。

北八劇場

2フロアにわたる226席の客席を備え、舞台は横幅10.9m、奥行 6.0〜9.6m、高さ6m。演劇をはじめとする舞台芸術の上演をメインに考えて設計されており、舞台前方(前方客席部分)は張り出したり変形させることも可能な仕様となっている。
札幌市北区北8条西1丁目3「さつきた8・1」2階
TEL.011-753-1881(田中記念劇場財団事務局)
https://kita8theater.com/

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