「上司選択制度」をはじめユニークな働き方を確立。社員が幸せになるための選択肢とは。【さくら構造株式会社】
2023年10月16日 公開
異色の経歴から手探りの創業へ。
「当社は私一人で実家の一室を借りて立ち上げた会社です。事業拡大と共に従業員数は拡大していきますが、創業からしばらくはルールなどは設けず、ただがむしゃらにみんなと朝まで働いていました」
働き方を見直す契機となったのは創業から5年ほどが経ったころ。従業員数も30名を越え、東京や大阪にも拠点を設けるまでに事業が拡大してきたタイミングだと言います。
「自分一人でマネジメントができない人数になってきて、気付けば顧客とのトラブルも絶えず、社内の人間関係も手がつけられない状況になっていたんです。すべての原因は、私の『言わなくても分かってるだろう』という思い込みにありました」
田中社長は自らの考えを改め、社内制度を次々と設けたり、マニュアルを作るなど「言語化」を通して社員をまとめることにします。手始めに取り掛かったのが、お客様と取引の際に手渡す「さくらの約束」という、説明事項や契約事項を記載した書類でした。
「構造設計は、事前にさまざまな取り決めを説明しておかなければ、顧客とのトラブルが発生しやすい分野です。しかしエンジニアが中心の会社という性質上、社員全員が意思疎通が得意なわけではありません。『さくらの約束』を通じて、どんなにコミュニケーションが苦手なエンジニアでもお客様と、トラブルなく取引できるようにしたんです」
炎上を防ぐための制度「ドラゴンマネジメント」
「僕はサラリーマン時代の職場で経験した『残業=偉い』という考えや、年功序列といった古い制度を嫌っていたので、当社では実力主義として個々の売上を評価していたんです。ところが、数字ばかり基準にしているとスタンドプレーが目立つようになる。ただでさえ構造設計は個人プレーが多く、一人が責任を背負ったり、孤立したりしやすい分野。こうしたすべてが積み重なり、隣で仲間が〝炎上〟していても『自分には関係がない』と助け合わない社員ばかりになっていたんです」
社内に向けて田中代表が考案したのが「ドラゴンマネジメント」という独自の人材育成制度。
「その役割は、部下が〝炎上〟した際にリーダーが個人プレーからチームプレーへと転換し、チームに業務を振り分けてトラブルを解決することです。更に、おせっかいなほど部下たちの世話を焼き、部下たちの幸せな働き方を実現させる。炎上や困難をトラブルとしてとらえるのではなく、仲間たちと一緒に敵に立ち向かうRPGゲームになぞらえ、解決する最強のリーダーを『ドラゴン』と名付けたんです。この制度の影響でチーム意識が向上し、会社としての結束力も、お客様からの信頼も更に得ることができました」
時代に合った選択肢で幸せになれる会社を
「ある時、退職を願い出た社員に原因を深堀りしてみると、担当上司一人との人間関係に起因していたんです。社員が会社を辞めずに済み、柔軟にチームを変更できるよう単純な発想で考案したのがこの制度でした」
発表当初、上司にあたる社員たちは戸惑いを覚えていたものの、若手たちは好意的な反応を示したそう。制度化した後は人間関係のトラブルが減り、更に向上心のある若手の中には「この上司に師事したい」という前向きな異動を願い出た社員もいたのだとか。
「もちろんリーダーによって人気、不人気の差は出てしまい、部下が離れ続けた場合はチームが解散となります。しかし私は職場を、誰もが置かれた場所で輝けるのが理想だと思っていますので、リーダー職を離れた社員はプレイヤーとして力を発揮してもらえばいいと思っています」
また「苦手な上司と我慢して働くほうが成長につながる」といった声も聞こえてきたそう。しかし田中代表は「今はそんな時代じゃない」と一蹴します。
「確かに、成長につながるという考えは間違いではありません。20年、30年と同じ会社で働いたら未来が保証されていた昭和と異なり、一人ひとりに応じた多様な働き方が大切になる時代です。社員に対して『選択肢』を用意することが、幸福につながると考えているんです」
現在も部下たちとさまざまな試みをしながら「社員の幸せ」について模索し続けているという田中代表。「幸福とは哲学的なテーマで、明確な答えはありません。でも、だからこそみんなで追求を続ける会社でありたいんです」と笑顔を見せてくれました。
さくら構造株式会社
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