同社の母体となっているのは、八重樫さんが2013年に設立した行政書士法人エニシア。一体なぜ行政書士事務所から、家史調査というサービスが生まれたのでしょうか。
「行政書士は法人のお客様向けには行政手続きのサポートを担い、個人のお客様には遺言書作成や相続といった業務を行う仕事です。扱う書類の中には戸籍も含まれていて、設立当初からその調査や戸籍を基にした家系図作成に関するご相談もいただいていました」
更に八重樫さんには、歴史愛好家という、もう一つの顔もありました。
「昔から全国各地の城や史跡を巡るのが趣味でして…。戦国武将の知識を通じて、家系図は昔からなじみ深い存在だったんです」
ただ、家系図や家史調査は決して容易ではありません。というのも、調査に欠かせない戸籍は国ではなく市町村で管理されていて、先祖が住んでいた地域が分からなければ手掛かりすらつかめないもの。その調査ノウハウも簡単に学べるものではなく、当時はあきらめざるを得なかったのだとか。
しかし2017年、八重樫さんに新しい家族が誕生したことを機に改めて、子どもたちに家の物語を遺したいという思いが強まったのだそう。その願いが通じたのか、偶然にも苗字の専門家と出会います。
「先生は苗字を聞いただけで由来や出身地が分かるという知識の持ち主で、調査方法についても熟知していました。彼との出会いで糸口をつかんだ私は行政書士の仕事の傍ら、試験的に自分やスタッフの家史・家系図をリサーチし、調査のノウハウを身に付けていったんです」