起業のきっかけを教えてください。
引退する数年前からセカンドキャリアについて考えており、引退翌年の2010年に会社を設立しました。当初はサプリメントや天然水などの販売事業をスタートしましたが、その滑り出しは低調そのものでした。プライベートでは離婚も経験するなど、選手時代の成功とは一転して失敗ばかりが続きました。
アスリートの引退後と言えば、解説者や指導者になるイメージですが?
もちろん競技とかかわりを持ち続けたいという思いはありました。しかし、誰も挑戦したことがないセカンドキャリアを実践し、今度はビジネスのフィールドで功績を築きたいと思ったのです。従来の解説者や指導者以外の道筋も、自らが開拓していきたい。そんな思いが勝っていました。
転機となったのは?
幼少期に気管支ぜんそくになり、亡き父の勧めでスケートを始めました。現役中も治療しながら、同じ病気に悩む人やその家族に向けて啓蒙活動を行ってきたのです。そしてビジネスを見つける転機となったのも同じぜんそくでした。ある日登壇した講演会で、医療関係の方から「医療ビジネスを学んでみては」と助言をいただいたんです。医療とスポーツを組み合わせた分野であれば、ぜんそくとアスリートというそれまで生涯向き合ってきた経験を活用できるかもしれない。そんな考えで、2011年、日本大学の大学院グローバル・ビジネス研究科(ビジネススクール)へ入学しました。
どんな経験を経て、リハビリや介護の道へ進んだのでしょう?
入学後にさまざまな医療現場を視察しました。その中でリハビリテーション施設を見学すると、現役時代に見慣れた光景が広がっていたんです。アスリートにけがや故障は付き物です。私も現役中は何度も危機に見舞われ、その度にリハビリを通じて立ち上がってきました。この分野であれば自分の経験や知識を発揮できる、そう確信を得たんです。