―佐々木さんは創業家のお生まれですか?
はい、母方の祖父が初代で、祖母が二代目にあたります。とはいえ、私はもともと家業を継ぐつもりはなく、小学校教諭になるのが夢でした。ただ、大学卒業後は家族の勧めに押し切られ、ユニフォームの主要メーカーに就職したんです。まずは3年間石川県の事務・サービス業向けの制服メーカーで働き、その後は埼玉県・東京都の白衣メーカーに移りました。このころには小学校教諭の夢はキッパリとあきらめ、家業のためにしっかり学ぼうという気持ちに切り替わっていたと思います。
―カワモト白衣に入社してから取り組んだことは?
私が入社したのは2003年です。当初はまだ昭和の営業スタイルが色濃く残り、お客様先に顔を出せば出す程、靴底をすり減らせばすり減らす程、良いセールスパーソンとされていました。ただ、人材が豊富で時間にも余裕があった昔とは異なり、現代は少数精鋭がマルチタスクを担わなければならない時代です。顧客もアポなしの訪問は迷惑でしょうから、電話で約束を取り付けた上でお邪魔する営業手法を浸透させていきました。訪問件数を稼ぐよりも、しっかりと膝を突き合わせた質の高い商談を評価したいと考えてのことです。
―他にも着手したことはありますか?
顧客管理の徹底です。当社は老舗だからこそベテランも多く、どのように契約を獲得したのかという手の内を明かしたがらない雰囲気でした。けれど、若手にとっては情報を共有したほうがプラスに働くことが多いはずです。そのため、顧客の社員数やユニフォームの支給枚数、ニーズのヒアリング内容、セールスのポイントなどを「見える化」するためのアプリを取り入れました。同時に「聞いてこないから教えない」ではなく、若手を気に掛けて、分からないことがないか聞いてあげる教育方法を徹底したことも取り組みの一つです。今は商品知識から売り方、ロールプレイングなど、新人さんを育てるための研修も手厚く整えています。