注目企業のトップに聞くin北海道 注目企業のトップに聞くin北海道【社会福祉法人 北叡会】

2021年11月1日 公開

社会福祉法人北叡会は江別市に介護老人福祉施設やデイサービス、障がい者支援施設などを運営しています。常務理事であり、江別地域複合型ライフケアセンター「夢あかり」の施設長でもある天野佐也香さんに、人材課題への取り組みを中心にお話を伺いました。

ITや福祉用具を活用しながらも、やはり人の温かみが介護には欠かせません。

常務理事・施設長/天野佐也香
札幌と東京で事業を行った後、2018年に社会福祉法人北叡会に入社。異業種を経験した知見を活用しながら働き方や給与規定の改革などにも着手。

夜勤の勤務形態と給与規定の見直し。

―最初に取り組んだことは?
他の業界と比べても職員の負担が大きいように見受けられたため、働き方の改善が急務だと考えました。一つは夜勤の勤務形態のテコ入れです。人材不足ということもあり夜勤明けの翌日にまた夜勤に入るというシフトも多かったため、体調を整えるのも一苦労でした。その負担を軽減するために、夜勤明けの翌日は必ず公休とセットにし、十分に体を休ませられる環境を整えたんです。私が管理する「夢あかり」では、夜勤明けにできるだけ2連休を取れるよう配慮しています。

―休みが取りやすいのは職員が充足しているからですか?
お世辞にも人員が十分に整っているとは言えません。ただし、当法人では昔からパートスタッフが多いことが強みになっています。昼間にパートスタッフの力を数多く借りることで、正職員や準職員が休みやすいように工夫しているのが現状です。

―そのモチベーションを維持するための仕組みは?
当法人は介護業界では給与が高いほうで、各種手当ても豊富だと思います。ただし、給与規定が高卒、専門卒、大卒と学歴で分かれている旧態依然とした仕組みでした。当然ながら現場の仕事が異なるわけではありませんし、評価の判断基準が「どの学校を卒業した」ではモチベーションも上がりにくいはずです。私は夜勤の勤務形態の変更や休みやすい環境づくりとともに、職員の意欲や前向きな姿勢なども評価する給与規定の見直しにも取り組みました。そのためには一人ひとりとしっかりと対話しなければならないので、パートさんを含めた夢あかり全職員との面談も行っています。

理想の介護を実現させる総合支援課。

―ここ最近のトピックスは?
職員の働き方を変え、利用者様の「希望」を実現していきたい。そのためには、マルチに動ける部署が必要だと感じ、1年ほど前に法人本部に「総合支援課」という部署を設けました。例えば、急な体調不良で欠員が出たときのフォローをする他、有給休暇を気兼ねなく取得してもらうための「マルチなヘルプ役」です。利用者様の笑顔のために、レク活動や心地の良い介護への取り組みなど、法人には欠かせない優しさあふれる部署です。

―なるほど。重要な存在ですね。
その通りです。当法人には多彩な委員会があり、それぞれが職員に受けてほしい研修を総合支援課が実行する役割も担っています。介護施設では全員が集まって研修を受けることは難しいため、総合支援課のメンバーで少人数ずつ複数回に分けて内容を伝えるように取り組んでいるところです。先日も、ハイムリック法という応急処置の研修を実施してもらいました。今後、介護業界を目指す人材が急激に増えるということは期待できないため、少ない人数でもケアの質を高めていける仕組みづくりも大切だと思います。

―新人教育も担っているとか。
はい、総合支援課は新人教育の一端も担っており、未経験からのスタートもしっかりサポートしてくれます。当法人では無資格から入社し、働きながら介護職員初任者研修などを修了できる資格取得制度も用意しているのでゼロからでも成長できるんです。介護業界では経験者がのどから手が出るほど確保したいところではありますが、未経験者や異業種からの転職者を育てられる環境づくりを進めておくことも、これからの時代は大切です。

介護の世界に飛び込みやすくする間口の広さを。

―介護業界の人手不足に有効な手段は?
やはりIT化や福祉用具の活用ではないでしょうか。「夢あかり」でも介護記録を電子化したり、入浴介助用の機械を導入したり、最近では見守りカメラの設置にも乗り出しました。まだまだ先進的とはいえませんが、こうしたツールを使うことで一人ひとりの業務負担を軽減しながら、事故や転倒の再発防止に役立てるなどより良いケアにつなげていけると思います。未経験者が介護の世界に飛び込みやすくなるよう間口を広げるためにも、進化や変化を恐れてはいけません。

―今後の目標は?
ITや機械を使うからといって、気持ちの入っていない介護になるわけではありません。利用者様の笑顔、ふとした瞬間に聞かせてくれる昔話、手を取り合った時に伝わってくる体温、愛情がひしひしと感じられる温かさ…。どんなにツールが進化しても、介護の魅力は変わりませんので、その本質をいかに将来の担い手に伝えていくのかが私に課せられた使命だと思っています。

社会福祉法人 北叡会(法人本部)

江別市で老人ホームやデイサービス、グループホーム、就労支援などの福祉サービスを提供。利用者様やご家族が周囲につい自慢したくなるホテルのような施設運営と、真心のケアを大切にしている福祉法人。
北海道江別市ゆめみ野東町1番地5
TEL.011-391-2100
https://hokueikai.or.jp/

注目企業のトップに聞くin北海道

最新記事5件

法や規則だけでは守れない人々のためにサービスを提供していきたい。【株式会社タカノヘルスケア】 2022年11月7日 公開

東京と札幌で介護事業を展開する株式会社タカノヘルスケア。北海道エリアマネージャーの田畑さんにお話を伺いました。

オリンピックでの経験を糧に地域の人々が健康に暮らす「選手村」をつくりたい。【株式会社two.seven】 2022年10月24日 公開

元スピードスケート選手の清水宏保さんに、起業のきっかけや事業についてお話を伺いました。

変化の波を乗りこなす、強い技術者集団に。【Bee2B株式会社】 2022年8月8日 公開

東京に本社を置くBee2B株式会社が札幌支社を新設。代表の間山さんに自身の歩みやビジネスへの思いを伺いました。

お客様に、従業員に、そして自分にも嘘をつかず面白くビジネスをカタチに。【株式会社GAKU】 2022年5月23日 公開

今や東京や福岡にも進出している同社のビジネスについて、代表の橋本学さんにお話を伺いました。

介護・福祉にまつわる情報のプラットホームを確立し、質の高い相談支援につなげる【介護福祉サーベイジャパン株式会社】 2022年4月25日 公開

老人ホーム・介護施設の情報を掲載している雑誌「すむところ」の発刊元である介護福祉サーベイジャパン株式会社の代表取締役、齋藤厚さんにお話を伺いました。