注目企業のトップに聞くin北海道【社会福祉法人 渓仁会】
2021年7月5日 公開
あなたに働きたいと考えていただくために…介護業界は改革と進化を繰り返しています。

措置制度の時代から介護業界一筋。感情労働と言われる介護の仕事を、今日も働く環境や制度の改善に積極的に取り組む。趣味は囲碁と読書、園芸。昭和23年6月生まれ。
お世話型から自立の支援へ。改革を繰り返してきた介護業界。
はい。昭和62年、私が39歳の時です。当時、渓仁会の事業主体はほぼ医療で、経営に関しても医師陣が中心でした。効率的な事業運営のための『医経分離(医療と経営を分離しそれぞれの専門家が担当すること)』が進められることになり、経営本部の担当役の一人として入社したというのが経緯です。当時は行政が高齢者の介護サービスを決定する措置制度の時代でした。
―そこから介護業界の変化を目の当たりにして来られた…
そうですね。特に2000年の介護保険制度の導入から今日まで制度の内容から施設環境、介護職の仕事、その技術まですべてが日進月歩です。今は介護予防の発想も浸透し、保険の世話にならない自立した生活を一日でも長く…という考え方が主流となっていますが、施行当初は高齢者なら介護度が軽くても保険制度をどんどん利用しましょう、という気運が高まっていました。今とは正反対ですね。
―介護の仕事内容も相当変わったのでは?
最も大きな違いは「お世話型介護」から「科学的介護」への移行ですね。かつての介護はお年寄りのお世話をしてあげたいという、働く側の奉仕にも似た精神に支えられていました。それ自体はとても尊いことですが、介護者に過度に依存する介護は健全ではないですし、なにより長続きしません。スタッフに負担をかけない介護、無理や無駄を省いた介護を実践するためには、科学の視点が不可欠です。ビッグデータやその分析結果を活用し、一人ひとりに適したプログラムやメニューを実践する「科学的介護」(LIFE)の重要性が、今後ますます高まっていくと思います。
シニアや外国人、未経験を見据えた働く環境の整備を。
高齢化や少子化を始め要因はさまざまですが、介護の仕事への理解が進んでいないことも一因です。自分を犠牲にする職業とか、負担の大きな仕事というイメージが根強く残っているんでしょうね。しかし働く環境はここ数年で大幅に改善されましたし、体験会などで実作業を経験してもらうと、ほとんどの方が「自分にもできる」「喜んでもらえてうれしい」ということを実感します。先日も中高年を対象とした介護職セミナーを開催したのですが、受講を終えた方の多くが介護現場で働くことを希望しました。
―定年を迎えたシニア世代も大切な戦力になるわけですね。
はい。介護のプロにならなくてもいい。介護福祉士の仕事の一部をサポートしてくれるだけでも現場の負担はかなり少なくなると思います。こういったことを具現化していくためには先ほどの科学的介護に加え、作業の切り分けという視点も大切になります。 できるだけシンプルで効率よく働ける環境をつくるということですね。
―なるほど、外国人材もさらに働きやすくなりますね。
そう思いますね。私共の法人でもベトナムやミャンマーなど、海外5カ国から外国人留学生や技能実習生を迎え入れています。その際、留意しているのは自分たちの都合を優先しないということ。外国人材にとっても日本の介護技術を学ぶ絶好の機会とし、自国の介護現場にフィードバックして頂くというウインウインの関係を作ることが大切です。日本の介護事業を存続させるためには、外国人採用は必要不可欠です。この先も多くの外国人に一緒に働いてもらうためには、互いを認め合う環境づくりや細やかな配慮が重要になっていくと思います。
―日本の若い人材の活躍の場は?
やはり介護業界の中枢を担う存在になってほしいですね。そのためには未経験や無資格でも丁寧に招き入れ、組織の中でしっかりと学べる環境づくりが重要になっていくでしょう。介護福祉士がゴールではなく、ケアマネ・カウンセラー・精神保健福祉士など、法人や業界を広く見渡すポストを目指す人材の育成が理想ですね。
上司や先輩から部下や後輩への接遇も大切な時代。
技術や環境がどれだけ進化しても、介護の世界が人と人の関係の上に成り立っていることには変わりありません。その関係性を円滑にする上で大切になってくるのは『接遇』です。思いやりの気持ちを持って相手をもてなすことです。利用者様やご家族へはもちろんのこと、特に上司から部下へ、先輩から後輩への接遇も忘れないでほしい。「いつも頑張っているね」「成長しているね」そんなささやかな声掛けや評価が職員のモチベーションを高め、職場の雰囲気をより良いものにし、業界全体の活性化へと波及していくと思っています。

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