三木さんは愛知県生まれの三重県育ち。父はサッカー日本代表のトレーナーを長らく務め、自身も高校生まで選手として汗を流したことから、スポーツへの愛着が人一倍強まる環境だったと振り返ります。
「東大に入学してからはインターンシップでスタートアップの起業や大手企業のブランドコンサルに携わりました。大学2年生の春にはスポーツチームの経営を視野に入れながら、将来の道を模索し始めるようになったんです」
大学3年生のころ、三木さんは大胆な方角へとかじを切ります。一般の就職活動では納得のいくスポーツビジネスを手掛けることができないと考え、大学を休学した上で起業する道を選びました。まずは100万円を借金し、事業の出資者を募るために経営者向けのイベントなどを開催したというから驚きです。その際に掲げたのは「スポーツトレーナーの価値を高める事業を始めたい」。理由はごく個人的な背景だと笑います。
「父はサッカー日本代表のトレーナーを引退した後、お世辞にも厚遇には恵まれませんでしたが、僕ら家族を不自由なく支えてくれました。スポーツトレーナーは、技術が高くても生計を立てるのが難しいというケースも少なくありません。こうした環境を改善するために、スポーツトレーナーを育成し、健康意識の高い企業に派遣するビジネスを父と共に立ち上げようと考えました」
起業の準備から約3カ月。この思いに共感した出資者がついに現れ、三木さんは学生ながらスポーツトレーナーの育成・派遣を行う株式会社ミキスポーツを創業しました。