経営コンサルティングと人材育成の両輪で支える北海道の未来。【右腕カンパニー株式会社】
2025年5月19日 公開
観光業界が抱える経営課題を解決するコンサルティング企業として、2016年札幌市に設立された右腕カンパニー。旅館やホテルの経営改善に貢献してきた多くの経験と、経営学の知識を基に、2018年以降は人材育成事業にも注力。学生をはじめ広く若者に学びの機会とビジネスチャンスを提供している。代表を務める大湊さんに、起業の経緯や今後の展望などを伺った。
教師の道をあきらめ、観光企業の右腕に。
札幌市出身。哲学の手ほどき書として知られる「ソフィーの世界」を愛読し、子どものころから物事の道理について考えることが好きだったという大湊さん。高校時代の恩師との出会いをきっかけに、哲学や文学への興味は強くなっていったという。
「高校2年生の時の国語の教科担任が一風変わった方で、進学校だったのにもかかわらず、受験には関係のない哲学書を薦めてきたりするような先生でした。でも思考を深めることが好きだった僕にとってはとても魅力的な先生で、いつしか僕も国語教師を志すようになっていました」
高校卒業後は北海道大学文学部に進学。教育実習生として教壇に立ったが、そこでは大学受験に向けての指導に重きを置かなければならず、「教科指導の枠にとらわれず、広く教えることに携わりたい」という大湊さんの思いはかなわなかった。
「気持ちを切り替えて、卒業後はリクルート北海道じゃらん(現・株式会社リクルート)に入社しました。営業として観光情報誌『じゃらん』の広告提案業務に従事し、多くの旅館やホテルに足を運ぶうちに観光業界における数々の課題を目の当たりにした僕は、次第にそれらを解決するための方法を模索したいと考えるようになっていきました」
2013年以降、観光政策やビザ発給要件の緩和、円安の影響などを受け、国内ではインバウンド需要が急増。観光業界は成長産業ともいわれる状況だった。一方で、旅館やホテルで働く従業員の年収は決して高いとはいえず、慢性的な人手不足が続くなど課題も山積していた。大湊さんはこうした労働環境における課題に直接切り込んでいくことを決意し、11年間勤めた会社を後に2016年、右腕カンパニーを設立した。社名の由来は文字通り、「企業の右腕となる人材を集め育てたい」「自らも企業の右腕として力になりたい」という思いだったという。
「高校2年生の時の国語の教科担任が一風変わった方で、進学校だったのにもかかわらず、受験には関係のない哲学書を薦めてきたりするような先生でした。でも思考を深めることが好きだった僕にとってはとても魅力的な先生で、いつしか僕も国語教師を志すようになっていました」
高校卒業後は北海道大学文学部に進学。教育実習生として教壇に立ったが、そこでは大学受験に向けての指導に重きを置かなければならず、「教科指導の枠にとらわれず、広く教えることに携わりたい」という大湊さんの思いはかなわなかった。
「気持ちを切り替えて、卒業後はリクルート北海道じゃらん(現・株式会社リクルート)に入社しました。営業として観光情報誌『じゃらん』の広告提案業務に従事し、多くの旅館やホテルに足を運ぶうちに観光業界における数々の課題を目の当たりにした僕は、次第にそれらを解決するための方法を模索したいと考えるようになっていきました」
2013年以降、観光政策やビザ発給要件の緩和、円安の影響などを受け、国内ではインバウンド需要が急増。観光業界は成長産業ともいわれる状況だった。一方で、旅館やホテルで働く従業員の年収は決して高いとはいえず、慢性的な人手不足が続くなど課題も山積していた。大湊さんはこうした労働環境における課題に直接切り込んでいくことを決意し、11年間勤めた会社を後に2016年、右腕カンパニーを設立した。社名の由来は文字通り、「企業の右腕となる人材を集め育てたい」「自らも企業の右腕として力になりたい」という思いだったという。
新機軸は人材育成事業。学生にビジネス開発の機会を。
設立当時は直接企業を訪問して課題を分析し、デジタル技術を活用しながらより効率的な業務施策を提案するという、コンサルティング業務を主軸に事業を展開していたという大湊さん。その結果、顧客の新卒社員の給料を上げるなどの待遇改善につながったそうだ。2018年、更なる事業展開を目指して経営学を学ぶため小樽商科大学大学院のビジネススクールに入学したことで、新たな事業軸が生まれたという。
「北海道で唯一の通えるMBA(経営学修士)授与大学院として設置されたビジネススクールでは、多様な年齢・出身学部・職種の方々との交流の中で経営学に関するさまざまなことを学べました。それを機に同大学の観光人材育成事業に携わることになったんです」
人材育成事業をより充実させるため、2019年、沖縄で開催された学生対象の人材育成プログラム「Ryukyufrogs」への視察に向かった大湊さん。半年間かけて、国内・海外の起業家・投資家・クリエイターなど、あらゆる分野のプロフェッショナルと交流しながら学び、社会的な課題を解決するためのビジネス開発に取り組んできた学生の姿は、想像以上に熱意あふれるものだったという。
「僕は最終成果発表会を観覧しに行ったのですが、『自分は彼らと真正面から対峙できるほどに、本気で世の中を変えようとしているだろうか』と自問させられるほど素晴らしかったんです。同様のプログラムを北海道でも実現させたいと考え、2021年に一般社団法人『Ezofrogs』の立ち上げに至りました」
「北海道で唯一の通えるMBA(経営学修士)授与大学院として設置されたビジネススクールでは、多様な年齢・出身学部・職種の方々との交流の中で経営学に関するさまざまなことを学べました。それを機に同大学の観光人材育成事業に携わることになったんです」
人材育成事業をより充実させるため、2019年、沖縄で開催された学生対象の人材育成プログラム「Ryukyufrogs」への視察に向かった大湊さん。半年間かけて、国内・海外の起業家・投資家・クリエイターなど、あらゆる分野のプロフェッショナルと交流しながら学び、社会的な課題を解決するためのビジネス開発に取り組んできた学生の姿は、想像以上に熱意あふれるものだったという。
「僕は最終成果発表会を観覧しに行ったのですが、『自分は彼らと真正面から対峙できるほどに、本気で世の中を変えようとしているだろうか』と自問させられるほど素晴らしかったんです。同様のプログラムを北海道でも実現させたいと考え、2021年に一般社団法人『Ezofrogs』の立ち上げに至りました」
学びと仕事の土壌作りで、 魅力あふれる北海道に。
Ezofrogsでは学生の経済状況にかかわらず支援したいという思いから、参加費用や活動資金はすべて無料としている。賛同者からの寄付金や企業からの協賛金があるからこそ成り立っている事業だ。大湊さんは持続可能な経営を実現するために、企業へ向けて人材育成に役立つプログラムを体系化。社内研修プランとして再構築し、さまざまな企業に提案する形で還元するべく行動に移しているという。
「今後も賛同していただける方々や企業との相補関係を大切にしながら、よりレベルの高い学術研究に取り組む機会や、多くのビジネスチャンスをつかむ機会を若者に提供したいです」
現在も資金や協力者を集めることに苦労が絶えないという大湊さん。しかし「Ezofrogs」を巣立って行った後も意欲的に活動している学生の話を聞くと報われる思いがするのだとか。これまでに、廃棄される海藻類を牛の飼料に利用し、胃から出るメタンガスを抑制するというアイデアを発案したチームが実際に起業したり、「もっと英語を話せる日本人を増やしたい」という思いで参加した学生が、英語を話す際の障害となる羞恥心について研究するために編入学をしたりと、多くの学生たちがおのおの新たな道を切り開いていっているそうだ。「学生時代の夢だった学校教育に近い分野にいることに気付いて、感慨深い思いがあります」と大湊さんは続ける。
「優秀な人材が道外へ出て行ってしまう傾向がまだまだ強い中、北海道にいながらも、国内外における社会的な課題を解決していくことができるような環境作り、コミュニティー作りを目指して事業展開をしていきたいと考えています」
「今後も賛同していただける方々や企業との相補関係を大切にしながら、よりレベルの高い学術研究に取り組む機会や、多くのビジネスチャンスをつかむ機会を若者に提供したいです」
現在も資金や協力者を集めることに苦労が絶えないという大湊さん。しかし「Ezofrogs」を巣立って行った後も意欲的に活動している学生の話を聞くと報われる思いがするのだとか。これまでに、廃棄される海藻類を牛の飼料に利用し、胃から出るメタンガスを抑制するというアイデアを発案したチームが実際に起業したり、「もっと英語を話せる日本人を増やしたい」という思いで参加した学生が、英語を話す際の障害となる羞恥心について研究するために編入学をしたりと、多くの学生たちがおのおの新たな道を切り開いていっているそうだ。「学生時代の夢だった学校教育に近い分野にいることに気付いて、感慨深い思いがあります」と大湊さんは続ける。
「優秀な人材が道外へ出て行ってしまう傾向がまだまだ強い中、北海道にいながらも、国内外における社会的な課題を解決していくことができるような環境作り、コミュニティー作りを目指して事業展開をしていきたいと考えています」
右腕カンパニー株式会社
旅館やホテルをはじめとした観光業の販売力・人材力・組織力の強化を目指し、生産性の向上や働き方改革を実務伴走型で支援するコンサルティング会社として、2016年札幌市に設立。代表の大湊さんは学生向け人材育成プログラムを提供するEzofrogs代表理事を兼務。小樽商科大学の研究員であり、同大学の観光人材育成事業にも携わっている。
北海道札幌市中央区北8条西19丁目35-78
https://www.migiude-c.com/
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BOSS TALK
本インタビューはUHB(北海道文化放送)のトーク番組「BOSS TALK」とのコラボ企画により収録されました。
北海道を愛し、北海道の活性化を目指す“BOSS”が北海道の未来と経営について楽しく、真剣に語り合う“TALK”番組。独立するまでの道のり、経営者としての思い、転機となった出会いや目指す未来などを語ります。
本インタビューはUHB(北海道文化放送)のトーク番組「BOSS TALK」とのコラボ企画により収録されました。
北海道を愛し、北海道の活性化を目指す“BOSS”が北海道の未来と経営について楽しく、真剣に語り合う“TALK”番組。独立するまでの道のり、経営者としての思い、転機となった出会いや目指す未来などを語ります。
UHBにて毎週火曜日深夜0時15分〜放送中!
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