室蘭だからこそ、大きな「夢」を動かせると地域に伝え続けたい。【株式会社 電材重機】
2025年4月21日 公開
急成長の鍵は風力発電とM&A。
「陸上風力発電の建設に用いる全長190メートル、1200トン級の超大型クレーンを購入したことが大きな転機になりました。15億円以上という非常に高額な設備投資ではあったものの、当時は世界最大クラスで日本国内でまだ導入されていなかった機材のため、需要を見越して意を決して投資しました。これが呼び水となり、当社に多くの仕事を運んできてくれたんです」
更に同社を「世界企業」まで押し上げるほどの契機となったのが積極的なM&Aだ。クレーン業界は中小規模の会社が全国に点在しているという特性があるため、M&Aは買い手にとって拠点と設備を同時にそろえられる合理的な選択肢となる。また売り手側は高齢化や人材不足、後継不足といった課題を抱えているケースが多いため、双方にメリットが生じるのだという。同社は国内にとどまらず、海外においても積極的なM&Aを拡げ、グループ化していった。
「2017年にODA(政府開発援助)への参画としてバングラデシュへと赴き、翌年同国に拠点を設立したことを皮切りに、台湾、シンガポール、韓国、グアム…と拡大していきました。脱炭素化の推進により世界各地で風力発電設備が建てられており、この先々も大きな需要を見据えています」
地域貢献も欠かさず「満天花火」を主導。
「2年ほど前に社外取締役を務める室蘭民報社で、同紙の80周年イベントを企画したのがきっかけです。せっかくやるなら道内最大級、いや日本でも最大級の花火大会にしようと話を膨らませ、経済団体で交流のあった地元企業の経営者たちへ次々と声を掛けていきました」
今年1月には実行委員会を「一般社団法人MANTEN PROJECT」として法人化し、上村さん自らが代表に就任。2021年から道内各地で開催しているフェス「FEELD GOOD FES北海道」をはじめとする数々のイベントに携わってきた圓子勅将(まるこ・ときまさ)さんも巻き込み、チケット販売や協賛金の募集に自らも奔走している。
「地元企業の社長たちに声を掛けると『待ってました』とばかりに良い反応をいただき、想定していた以上に多くの協賛金をいただいています。『室蘭に貢献したいけど、何をして良いのか分からなかった』という方が多いようです。日本企業の内部留保は国家予算を超える数百兆円以上と言われていますが、蓄えた資金の使い道に悩んでいる企業も多いはず。私たちの行動を通じて、せっかく使うなら地元に、というムーブメントが全国で起きることを期待しています」
「室蘭だからこそ」をドーンと示したい。
「2024年に登別市の小学生が横断歩道で事故に遭い、大けがを負ったという出来事があり、大きな衝撃を受けました。北海道は車社会である一方、ヘルメットを被る文化が普及していない地域です。子どもたちの命を守るためにヘルメット着用を常識化し、地域全体に交通安全の意識を持ってもらいたいと企画を実施することにしました」
上村さんはプロジェクトの目的について「あくまで花火は始まりに過ぎません」と強調する。伝えたいのは、愛する地域への誇りと夢だ。
「当グループはこの地域だからこそ成長してきた企業ですから、地域貢献は会社としての責務に他なりません。全国の地方と同じく、室蘭も深刻な過疎化や高齢化が進んでいます。『ここには何もない』と諦め、都会へ行く若者も少なくありません。しかし、私たちDENZAIグループがこれほど大きな会社に成長できたのと同じように、すべては自らの行動次第で変革を起こすことが可能なはずです。『むしろ室蘭だからこそできることがある』と、地元を誇りに思ってほしいんです。その希望を、まずは満天の夜空にドーンと打ち上げたいと考えています」
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インパクト抜群の「室蘭満天花火」の宣伝ビジュアル。第一弾の出演アーティストとして、「木村カエラ」「MONKEY MAJIK」の出演が決定している(25年4月14日現在)。開催情報など、詳しくはHP(https://manten-hanabi.com)にて。
株式会社電材重機
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