注目企業のトップに聞くin北海道 北海道産の原材料で、世界中の人と動物を笑顔に。【株式会社AEI INTER WORLD】

2024年6月3日 公開

ピッツァ専門店の開業をきっかけとして2002年に設立された株式会社AEI INTER WORLD。時代と共に柔軟にビジネスを変化させ、近年は北海道発のペットフードやペット用サプリメントの企画・開発、販売事業に注力している。「人にも動物にも、北海道の食を通して幸せに」と話す酒田さんに、起業までの経緯や詳しい事業内容、今後の展望を伺った。
代表取締役/酒田晶子さん
道東出身。会社経営者の両親の影響で物心付いたころから起業を志す。大学や専門学校で学び、卒業後は社会経験のためホテル業界に就職。旅先でインスピレーションを得たことから、2002年、石焼きピッツァの店「Pizza Rone」開業を機にAEI INTER WORLDを設立。現在はペット事業部を展開し、犬・猫向けのフードやサプリメントなどの商品開発、販売に注力している。

旅先でのひらめきから開業したピッツァ店

ご出身は北海道。両親が自営業を営む経営者だったため、子どものころから自分自身も起業してみたいという考えがあったという酒田さん。
「幼心にも『好きなことを自由にしていて、働くって楽しそうだな』と感じていました。大学、専門学校へ進学し、ホテル業界にも就職しましたが、私の中ではどれも起業するためのステップという感覚でしたね。食べることが好きだったので、漠然と飲食にかかわる仕事がしたいとは思っていました」

ビジネスアイデアをより具体化しようと、20代後半は海外留学や旅行を繰り返していたという酒田さん。1999年、27歳のころ、旅行でイタリアを訪れた時に運命のピッツァに出会う。
「石造りの釜から出てきたそのピッツァがあまりにもおいしくて、すぐにこれをビジネスの足掛かりにしようと決めました。帰国してすぐに店を構えるための準備を始めて、2002年に30歳で起業し、札幌で石焼きピッツァ店「Pizza Rone(ピッツァローネ)」をオープンしました」

当時、札幌には石窯で焼いた本格的なナポリピッツァを提供する店がなかったため、酒田さんの店はたちまち話題になり、繁盛店へと成長。更に事業を拡大しようと、同じく札幌市内に炭火焼きハンバーグ専門店「竈(かまど)円山」を開いた。短角牛の赤身をこねて焼き上げられるフットボール型のハンバーグは、肉のうまみをダイレクトに感じられると大人気。この店も客は途切れることなく、行列のできる繁盛店となった。

ハンバーグの縁が新たな事業展開の契機に

「『竈 円山』の開業を機に農家さんとのつながりも多くなり、北海道産のおいしい食材を道外の人にも届けたいと考えるようになったんです。そこで商品の自主開発や販売を行う事業部を新設し、菓子やジュースなどの製造も手掛けることにしました。北海道の食をテーマに幅広く事業を展開していく流れができていったんです」

2012年には「竈 円山」と酪農学園大学(江別市)との産学連携によるコラボレーションメニュー企画も実現した。この時の出会いが新たな事業部誕生のきっかけになる。
「たまたま獣医学部もある大学だったので、以前から挑戦してみたかったペットフードやサプリメントの商品開発の話を持ち掛けたんです。すると快く協力してくださって、2015年からペット事業部が本格的に始動する運びになりました」

実は幼いころから犬や猫が身近にいる環境で育ち、現在も愛犬・愛猫と共に暮らしているという酒田さん。ペット事業部では「家族であるペットに健康で長生きしてほしい」というご自身の思いを込め、ゼロからの商品開発や自社店舗での販売、一般店舗への卸売業までを担っている。
「産地や生産者の明かされた安心できる素材を使い、すべてを機械に頼らず人の手で丁寧に調理するなど、味と品質共に人間が食べても問題ないフードやサプリを開発しています。病気がちだった子や高齢で食が細くなってしまった子が、当社で開発したフードを食べてくれているという話を耳にすると何よりもうれしいですね」

直感力を大切に、北海道の価値を世界中へ

道産食材は愛犬、愛猫家にとっても人気が高いことを実感しているという酒田さん。商品を卸している取引先は、実に9割が道外企業だ。将来的には北海道を代表するペットフードメーカーを目指し、海外シェアの拡大も視野に入れていると話す。
「数年前からは北海道の針葉樹赤エゾマツの成分を使ったペット用の除菌・抗菌グッズの開発にも取り組んでいます。その経験を生かして人用のせっけんやスキンケア商品の開発も計画中です。目指すのは食材だけに限らず、北海道の価値あるものすべて世界中に発信する企業です」

時代と共に柔軟に変化しながら、次々と事業を展開していく酒田さん。石焼きピッツァ店の開業を思い付いた20代のころから現在まで変わらず大切にしているのは、自らの直感を信じることだ。
「時代のニーズを見極めることも重要ですが、事業を展開する上で、自分がやりたいと思うかどうかを最も大切にしています。なぜなら、好きで始めたことは、ちゃんと成果が出るまで頑張り続けることができるからです。これからも社員一人ひとりに目線の高さを合わせて、目標までの過程を一緒に楽しみながら仕事をしていきたいと思っています。決して楽ではない道のりの先で、素晴らしい景色を共有したいですね」

株式会社AEI INTER WORLD(アエイ インターワールド)

2002年に札幌で創業。現在は新千歳空港に店舗を構える炭火焼きハンバーグ専門店「竈 円山」の経営や、北海道の食材を使ったお菓子や加工品を扱うマッチ・フーズ事業部を展開。2016年からはペット事業部を立ち上げ、酪農学園大学と協同でペットフードやペット用サプリメントを開発し、直営店「ヘルシーアニマルズ」他、全国のペットショップで販売している。
北海道札幌市中央区宮の森2条11丁目6-31
TEL.011-633-3157
https://aei.ne.jp/
BOSS TALK
本インタビューはUHB(北海道文化放送)のトーク番組「BOSS TALK」とのコラボ企画により収録されました。
北海道を愛し、北海道の活性化を目指す“BOSS”が北海道の未来と経営について楽しく、真剣に語り合う“TALK”番組。独立するまでの道のり、経営者としての思い、転機となった出会いや目指す未来などを語ります。
UHBにて毎週火曜日深夜0時25分〜放送中!

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