トヨタに学ぶ生産方式と経営実践。金属加工業でより良い未来を。【旭イノベックス株式会社】
2023年9月25日 公開
まるでエジソン?技術職へのあこがれを抱いた幼少期。
「小学生のころは身近な物を手当たり次第に分解して遊んでいました。壊れたラジオを分解して、また組み立て直してみると部品がいくつか余ったものの、電池を入れるとラジオが動いたんです。その様子を見ていた祖父から『優秀な技術者が作ったものよりも、少ない部品数で動くようにラジオを組み立てられるなんて、お前は優秀だ』と褒められて。この出来事をきっかけに、将来は技術者になりたいと思うようになったんです」
祖父の代表退任後は父親である恭亮さんが社長に就任したことから、親族や知り合いからは早々に「3代目」と呼ばれながら子ども時代を過ごした。しかし機械いじりが好きだった星野さんは、経営よりも技術職に就きたいという思いを貫き、大学も理系学部への進学を希望していた。
「でもどうしても数学が苦手で、理系の道は挫折。そこで、トヨタの生産方式を教えている東洋大学の経済学部への進学を決め、工場の運営や技術的な面を座学で学ぶことにしました。物作りにかかわることを学びたかった私にとっては願ってもない、素晴らしい学習環境でした」
家業の経営を支えた、トヨタでの経験。
「『知恵と改善』は、ムダ・ムラ・ムリの3つを徹底的に排除して、良いものを作るための仕組みを作ること、現状に満足せずに改善を続けることが重要という考えです。『人間性尊重』は誰もが自分自身や会社、社会をより良くするための、無限の能力を持っているという信念。この考えを仲間たちと共有し、尊重し合える人間関係を得たことも大きな財産となりました」
当時、家業後継について上司に相談をしたところ「経営者になるのなら、生産管理だけではなく他部署での仕事も経験するべきだ」と助言を受け、販売部門に異動することとなった。いずれ退職することが分かっているにもかかわらず、仕事のあり方を教えてくれたトヨタの寛大さにとても感謝していると星野さんは話す。その後、2007年にトヨタを退職し帰郷、旭イノベックスに入社した。
「当時の北海道は経済的にとても厳しい状況にあり、社内でも赤字の部門が存在していたので黒字化することが喫緊の課題。私は総務、企画、人事、経営、さまざまなことを担う部署に配属になり、経営改善の指揮に当たりました」
ここでもトヨタ時代の上司からの助言が頭をよぎった。「家業で気になることがあっても、すぐに手を下すとあつれきを生む。課題や自分自身の考えはすべてメモに残して、年単位でじっくり経営改善に取り組むように」という言葉だ。
「2年間という時間を要しましたが、2カ所に分かれていた生産拠点を1カ所に集約することで黒字化に成功しました。初めは反対していた社員からも、この成功体験によってさまざまな改善案が出てくるように。私自身だけでなく、会社全体の自信につながる経験でしたね」
人々の暮らしの土台を作る。北海道発の金属加工技術を世界へ。
「どの事業部においても単なる物作りで終わらせないことを意識しています。製品はあくまで道具であって、その道具を利用してより良い未来を提供していく。金属加工業は単なる製造業ではなく、人の暮らしを土台から作り上げる仕事だと考えているんです」
今後の長期的な目標は、環境やそこに住む人に合わせて、北海道発の技術を世界に広めていくこと。その目標達成のためには働きやすい職場環境の整備が重要だと考えている。働き方改革が遅れている傾向にある製造業界をけん引すべく、65歳定年制を取り入れたり、週休二日制を導入したり、残業時間の徹底管理を行ったりと労働環境の改善にも余念がない。
「『ボスになるな、リーダーになれ』というのもまた、トヨタ時代の教えの一つです。もちろん、問題が起きた時には真っ先に責任を取りますが、社長というのは決して偉いわけではなく、皆と共に働く同じ会社の一員です。仲間を一人でも多く増やし、敵は一人でも少なくして、社員が笑顔で働けるような環境を作っていきたいと考えています」
旭イノベックス株式会社
北海道を愛し、北海道の活性化を目指す“BOSS”が北海道の未来と経営について楽しく、真剣に語り合う“TALK”番組。独立するまでの道のり、経営者としての思い、転機となった出会いや目指す未来などを語ります。
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