北海道でSDGsの目標達成に貢献する企業・団体 北海道でSDGsの目標達成に貢献する【株式会社ニセコまち】(ニセコ町)

2022年7月7日 公開

国内外から注目されるニセコエリアの中心、ニセコ町。そのポイントは、日本有数の観光リゾートエリアという点だけではありません。SDGsへの取り組みの先進性に注目が集まっているのです。ニセコ町は2018年6月、内閣府の「SDGs未来都市」に選定されました。つまりSDGsの達成に向けた取り組みを積極的に進める自治体として認められたのです。さらにその中核である「NISEKO生活・モデル地区構築事業」は「自治体SDGs未来事業」に選定されました。それはニセコ町で住み続ける人のための、持続可能な町を開発していこうというもので、まさにSDGsの目標11「住み続けられるまちづくり」への取り組みそのものです。2020年7月、その開発事業の実施主体として「株式会社ニセコまち」が設立されました。ニセコ町と町内の事業者、加えて専門知識のある事業者が参加しています。2021年8月からは事業がスタートしています。「株式会社ニセコまち」取締役の田中健人さんに、その経緯と今後について伺いました。

ニセコ町の未来に繋がるまちづくり『ニセコミライ』。

「SDGs未来都市」に選定されたニセコ町の、官民連携のまちづくり。

田中さんによれば、「ニセコ町は元々環境感度の高い町で、環境モデル都市に選定されていたほどです。加えてニセコ町にゆかりのある文豪・有島武郎の相互扶助という考え方や、住民自治という考え方が根付いていて、持続可能なまちづくりを皆で考えるという土壌がありました」ということで、SDGsへ取り組んでいく下地があったということです。

前提となる地域課題もはっきりと認識されていました。それは住宅不足です。ニセコ町は移住者が多いこともあって、北海道では珍しく人口が増加傾向にあります。さらに「調査データで、町内に働きに通う近隣町村の人たちで、ニセコ町に住みたいという希望者が500〜600人いるということがわかっていました」

住宅に関して、ニセコ町は町民にもアンケートを実施します。するとそこでも「将来的に住み替えを検討したい」という回答が過半数も見られ、その背景にあるニーズとして「冬でも暖かくて快適」「除雪や庭の手入れが楽」「光熱費の安価」な暮らしが浮かび上がってきたのです。

こういったリサーチを踏まえてニセコ町は、新しい宅地開発を計画することになります。それは当然SDGs的な、つまり持続可能な町として環境・経済・社会の課題にバランスよく対応する開発です。それがNISEKO生活・モデル地区開発事業であり、その地区は「SDGs街区」という通称で企画がスタートしました。

「SDGs街区」の開発にあたっては、よくある行政主導や大手企業に委託する形を取らないことにしました。そして立ち上がったのが、官民連携でまちづくりを行う「株式会社ニセコまち」なのです。さらに開発がスタートするにあたっては、「SDGs街区」の正式名称が公募され、117件もの案の中から選ばれた名称が『ニセコミライ』です。各所に住民自治の理念が徹底されていることがわかります。

『ニセコミライ』から始まる、住み続けられるまちづくり。

では、『ニセコミライ』とは具体的にはどんな「まち」なのでしょうか?それはニセコ町の市街地に隣接する9ヘクタールのエリアにできる、450人程度が暮らす「まち」です。集合住宅(賃貸・分譲)やシェアハウス、緑あふれる中央広場やランドリーカフェ、アトリエ工房などの集いの場などで構成されます。そして、環境・経済・社会の3つの課題対応を軸に、住む人にとって安心・安全・快適が実現される「まち」です。

環境モデル都市でもあるニセコ町ですから、『ニセコミライ』は環境負荷が少ないこと大前提です。ということで建設される住宅は、高気密・高断熱の高性能集合住宅。厳しい寒さのニセコ町でも、最小限のエネルギー消費で、暖かな暮らしの実現を目指しています。それは住民の大きなニーズでもある、光熱費も最小限である暮らしということでもあります。

環境負荷という側面でさらにポイントなのが、地域エネルギーの利活用です。「エネルギーセンター」という、「まち」の中で電気や熱を作り出してそれを各住宅などに供給する仕組みを計画しています。それも再生可能エネルギー比率の高いものを目指していているそうです。地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出量ゼロを目指すニセコ町ならではの視点とも言えます。そして、地域エネルギーの利活用は、地域内経済循環に貢献するものでもあります。

「計画では第一から第四までの工区があり、最初に着工する第一工区は、2022年夏頃から造成工事、2023年春に建築を開始し、2024年に入居開始予定です。街区としての最終形が完成するのは、およそ10年後になります。基本プランやコンセプトは作っていますが、柔軟に計画を改善していくことも考えています。あくまで住む人と一緒に作り上げていく『まち』です。だから『進化する都市計画』と言ってるんです」と田中さん。

そんな考え方も反映されたかのような地域メディア「明日をつくる教室」の運営も「株式会社ニセコまち」の大切な業務です。『ニセコミライ』やニセコ町の住民自治の活性化を目指して、インタビューやイベント活動を通して地域で人と人が繋がったり、移住希望者とニセコ町で暮らしている人との交流の場を作っていこうとしているそうです。

そして、「株式会社ニセコまち」は『ニセコミライ』の開発事業のみならず、高気密・高断熱の高性能集合住宅づくりのノウハウをベースに、ニセコ町市街地の空き家の断熱改修や再活用にも取り組んでいくのだとか。つまり『ニセコミライ』をきっかけに、ニセコ町全体が持続可能であることにコミットメントしていくという流れなのです。

暮らしの課題に対応しつつ、住み続けられるニセコ町へ。この取り組みは道内各市町村のモデルになっていくでしょう。その意味でも「株式会社ニセコまち」の事業展開は注目に値するものだと感じました。

株式会社ニセコまち

北海道虻田郡ニセコ町字富士見168番地2
https://nisekomachi.co.jp/

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