アイヌ伝統の薬草と北海道素材で作るのど飴「MINAMINA」/株式会社The St Monica[札幌市]
2022年4月18日 公開
奇跡の生還から生まれた「セントモニカ」の屋号
「長男の出産、その1年半後の長女の出産のどちらも難産で、命に危険が及ぶ程の緊急手術を経験したんです。しかし奇跡的に成功し、母子共に後遺症も残りませんでした」
出産後、なぜ自分が助かったのか自問自答を続けたという七戸さん。ある時、自身の生い立ちがカトリックの家系であること、そして祖母と母から引き継いだ「モニカ」という洗礼名のことをふと、思い起こしたそうです。
「祖母から母、母から私へと受け継がれた『モニカ』は、まるで“命のリレー”を象徴する言葉のようにも思えました。奇跡的に生かされたこの命を、多くの人に愛情を届けるバトンのように役立てたいと思ったんです。以来、モニカの名や屋号を使って、女性や子どもたちに役立つ活動をしようと決めました」
アイヌ伝統の養生食にヒントを得て開発をスタート。
「マスクをつけたままだと唾液の分泌が減り、菌にあらがう力や虫歯を防ぐ力が減少してしまいます。これからマスク生活が始まるにあたり、これまでは必要のなかった口腔ケアが大切になるのではないかと思い立ちました」
口腔ケアにふさわしい効能を持つ道産素材がないか、さまざまな文献から見つけ出したのが、アイヌの薬草に関する本でした。そこに記載されていたのが「シケレベ」と呼ばれるキハダの木の実。山椒に似たスパイシーな刺激と香りがあり、口にすることで唾液の分泌を促したり、殺菌する効能がある植物です。七戸さんはこの実を使ったのど飴を作るアイデアを思いつき、調査を開始します。
「キハダは漢方薬では黄柏(おうばく)と呼ばれ幹の部分が使用されてきた広葉樹です。しかしその実については情報が多く得られませんでした。そこで、母校である北海道科学大学へ成分のデータがないか問い合わせたところ、共同研究の話が持ち上がり、次第にたくさんの人を巻き込んだプロジェクトとなったのです」
実を入手するまで半年…。幾度もの困難を乗り越え開発。
「キハダは北海道に広く分布する樹木です。しかしその実は入手困難で、実が採れるまでの生育には約20年かかります。かといって国有林から勝手に採るわけにはいきません。山の土地を持っている方に分けて頂く以外に入手方法がなかったのです」
道内各地の山へ行き、農業を営む家を訪ねて回ったという七戸さん。その間にも販路やデザインの確立に向けたくさんの人々が動いていたことから、焦る気持ちばかりが募ったと言います。
その後、半年程かけてついに入手先が確定。山林を持つ方と共に山に入り、七戸さん自らが採収。収穫後はスタッフと共に一つひとつ乾燥させたといいます。
「ようやくスタート…と思いきや実際の実を手にしてみると、想像以上にスパイシーな香りでした。子供から高齢者までがおいしく食べられ、しかものど飴としての効能が得られるレシピを開発するのも苦労した点です」
2021年春、ようやく商品が完成。4月から順次、札幌商工会議所のショップや民族共生象徴空間(ウポポイ)で販売を開始します。すると、4カ月という異例の早さで完売したそうです。
開発を振り返り、改めて自分が事業をすることの意義を知ったと語る七戸さん。
「何度も何度も開発をあきらめかけたその度に、不思議と誰かが手を差し伸べてくれました。私が出産した後に『生かされた』と感じたように、この製品も必要とされて生まれたのではないか、そう感じざるを得ないのです」
ここがこだわり!開発のポイント
製造は大正7年創業、小樽市の飴谷製菓株式会社に委託。真空窯を使った昔ながらの製法で手作りにこだわっています。
缶ぶたのアイヌ文様は津田命子(つだのぶこ)さんによるもの。民族共生象徴空間(ウポポイ)の壁面のアイヌ文様を手掛けるなどアイヌ刺しゅう文様研究の第一人者です。
キハダの実の他、甘み付けに日高産の甘草、香り付けには美深産の白樺樹液を使用し、ビタミンと唾液促進作用のあるハスカップで味付け。薬剤師の知識を生かしつつも、北海道産の素材にこだわっています。
株式会社The St Monica
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