北海道発!商品誕生エピソード ドイツの伝統を守り受賞歴多数のベーコン店が開発、ベーコン節(R)【エーデルワイスファーム】

2024年4月15日 公開

見た目はまるでカツオ節。けれど口に入れた瞬間に広がる味と香りはまさしくうまみ深くて芳醇なベーコン…。「ベーコン節(R)」を開発したのは、約90年にわたり古典製法でハム・ベーコンを製造する「株式会社エーデルワイスファーム」の野崎創社長。開発までの道のりや今後についてお話を伺いました。
北海道の食の専門家が優れた道産加工食品を選考する認証制度「北のハイグレード食品2024」に選出された他、ドイツ農業協会コンテスト金賞など海外でも高い評価を受ける「ベーコン節(R)」。「温かい料理にトッピングするとおいしさがよりアップ。個人的には卵かけごはんもお勧めです!」

家族のために作る「本物のおいしさ」がルーツ

同社のルーツは1920年代。「ノザキのコンビーフ」で知られる横浜の貿易商「野崎産業」創業者の息子・健之助氏は、北海道大学でバターやハムなど酪畜産加工の技術を学んでいました。小樽のニシン長者の娘と結婚した健之助氏は「家族でカントリーライフを楽しみながら、本当においしいものを作って食べる暮らしをしたい」と願い、広尾町へ移住。家族のためにと採算度外視で作った「安心安全な本物の味」こそが、同社の物作りのスタートとなりました。

1930年代に当時の北海道経産庁から依頼を受けてドイツ伝統製法によるハム・ベーコン作りを研究し、健之助氏の息子・健美さんが「長期氷温熟成法」を確立したことにより、野崎家のハム・ベーコンは更に進化。ホテルシェフなどの間で評判となり、一般販売を始めたのは1986年のことでした。
「一般的なハム・ベーコンは肉にうまみ成分を注入して桜チップなどでいぶすため、製造期間も短く10㎏の原料肉から15〜18㎏もの製品が出来上がります。それに対し私たちの製法は最低4週間、マイナス2度前後の調味液に肉を漬け込んで熟成していきます。くん製にもナラのまきやイタヤカエデの炭を使い、気温や湿度、肉の状態に合わせた調整を行います。原料肉10㎏から出来上がる製品は多くて6㎏程度です」

着色料や保存料などの添加物も使わず。手間と時間をかけて作り上げるのが同社のハムやベーコン。国内外の有名シェフや美食家から高い評価を受け、数々の受賞歴を誇ります。

お客様の言葉をヒントに研究を重ねた新商品

同社のベーコンに寄せられる感想には「うまみが深く、だしも良く出る西洋のカツオ節ね」というものがあったそうです。三代目となる野崎さんが新商品の開発に取り組むなか、ヒントとなったのがこの言葉。軽い興味でカツオ節について調べると、ベーコン作りと似た工程があることに驚きを覚えたとか。この出来事が、野崎さんが「ベーコン節(R)」を開発するきっかけとなったのです。

2018年に開発に着手し、最初の困難は通常のベーコンならばうまみとなるはずの脂がえぐみの原因となってしまったこと。赤身だけを使えば、高価なものとなるため商品化を悩んだこともあったとか。「優れたものでなければ商品化しない」との信念のもとに試行錯誤を繰り返し、何人もの有名シェフに試食をしてもらいながら確証を得たのは2022年夏だったそうです。

製造期間は4カ月以上、出来上がりは原料肉のわずか4分の1程度にしかならないというベーコン節(R)。その特徴は「口に含んだ途端にうまみがいっぱいに広がり、それがすぐには消えず長く余韻を楽しめること」だと野崎さんは話します。2023年7月の発売後は、店頭や全国の北海道展などでの一般用販売はもちろん、飲食店向けの業務用も受注や問い合わせが止まらない状況だそう。
「業務用は塊の状態で販売し、リゾットやパスタにトッピングするなど『トリュフのように使っている』というお声をお客様からよくいただきます。他の素材の風味を損なわないため和食にも好評で、お客さまの目の前で削って釜焚きご飯にかけるといった使い方も。温かい料理と合わせることでより風味が引き立ちます」

ブランド化で目指す北海道全体の発展

予想以上の好評とはいえ、ここで満足する野崎さんではありません。カツオ節の本場・鹿児島県で製造現場を視察し、現地職人とも交流するなど、「ベーコン節(R)」の更なる進化を目指しています。
「カツオ節のなかでも最高級とされる『本枯れ節』の製法は更に多くの貴重な気付きを与えてくれました。よりうまみ深く、かつコストダウンによってより気軽に多くの方に楽しんでいただけるよう工夫を続けています」

販売に先立って「ベーコン節(R)」という名称は日本国内のほか、欧州・米国も商標登録を取得。その背景にはこんなビジョンがあるそうです。
「和と西洋の掛け合わせで生まれたこの「ベーコン節(R)」は、無限の可能性を持った新食材。我が社だけの商品とするのではなく、いずれは北広島、北海道のブランドに育て上げたいのです。我が社の商標取得の目的もそこにあります。商品が更に成長した後、いずれ道内企業に限って製造、商標の使用を許諾するなど、北海道全体の発展につなげたいと願っています」

ここがこだわり!開発のポイント

和と西洋の技法を掛け合わせた新食材
「カツオ節」と「ベーコン」の製法、特徴、用途を掛け合わせたこれまでにない新食材。風味豊かでありながら他の素材の風味を妨げないため、和洋中幅広いジャンルで大活躍。
国際的にも評価の高い製造技術がベース
ベースにあるのは、90年以上にわたって国内外で高い評価を受け数々の受賞歴を持つベーコン製造の技術。この技術を生かして研究を重ねて誕生したのが本商品です。
食のプロが認めるうまみの塊
開発中は数多くの有名シェフ、美食家に助言を仰ぎ、妥協しないおいしさを目指しました。時間をかけて凝縮したうまみの塊とも言うべきもので、調味料に近い使い方ができます。

株式会社エーデルワイスファーム

北広島市を拠点に、約90年前からハム・ベーコンを古典的ドイツ製法と独自熟成法で手作り。2022年にはハム・ベーコン直売のほか、レストラン、ベーカリー、BBQ&グランピング施設を併設する「PiccolaForesta」をオープンした。
北海道北広島市輪厚531-7
TEL.011-377-6656
https://www.someplace-else.com

北海道発!商品誕生エピソード

最新記事5件

若手農家たちと老舗メーカーが生んだ新スイーツ「ナッツペーストシェイク」【池田食品株式会社】 2025年4月28日 公開

商品の誕生の経緯について、同社代表取締役の池田浩輔さんにお話を伺いました。

愛犬と一緒に食べられる、ヴィーガン&グルテンフリーケーキ【CHaT VEGAN AND GLUTEN FREE for dog & human】 2025年3月31日 公開

商品開発の経緯や、お菓子作りへの思いを代表の柴田愛里沙さんに伺いました。

初心者でも簡単、あっという間に自宅で本格カレーが作れるスパイスカレーキット【sug spice】 2025年1月13日 公開

スパイスマニアでありながら、中学生のお子さんを育てるお母さんでもある小杉さんに、商品への熱い思いを伺いました。

医大生が開発した「世界一やさしいチョコレート」andew(アンジュ)【株式会社SpinLife】 2024年10月7日 公開

固形物を食べることもままならない患者のために開発したチョコレートが「andew(アンジュ)」について、開発者の中村さんにお話を伺いました。

ページトップへ戻る