ピックアップ情報 OOPARTS Vol.6「D-river」|スペシャルインタビュー【鈴井貴之さん】

2022年1月17日 公開

鈴井貴之さんが手掛けるプロジェクト「OOPARTS(オーパーツ)」。第6弾となる今回のテーマは、タイトルと密接に結びつく車の自動化をはじめ、AIとの共存や人とロボットとの関係です。構想のきっかけや見どころ、キャスティングのポイントを伺いました。

重厚なテーマをコミカルに描き、どこまで面白く成り立たせるか、という点にもご期待ください。

鈴井貴之さん/北海道赤平市出身。「CREATIVE OFFICE CUE」所属。大学時代に演劇の世界に入り、1990年に劇団「OOPARTS」を結成。解散後はタレント・構成作家として「水曜どうでしょう」(HTB)など数々の番組の企画・出演に携わる。2001年より映画監督としても活動を開始。現在までに4作のメガホンを執る。2010年より、「OOPARTS」プロジェクトを始動。作・演出・出演として舞台作品を手掛け、表現の枠にとらわれない作品を生み出している。

─テーマを着想したきっかけは?
自分自身が赤平市の自宅と札幌市を車で往復する日々を過ごしています。近年は高齢者のアクセルとブレーキの踏み間違えなどによる事故が取りざたされる機会が増えました。赤平市のような小さな町は交通網が充実しておらず、バスの運行が1時間に1本という地域も珍しくないため、仮に運転が不安な年齢になっても車というライフラインを簡単に手放すわけにはいかない状況もあります。僕自身、年間数万キロメートルもハンドルを握っているので、こうした問題を日常的に考えているうちに自然とテーマに行き着きました。

─では、自動運転化が進むことは喜ばしいですね。
実はそこが今作のポイントでもあります。運転アシストや衝突軽減ブレーキなどの技術が進歩している中で、僕が更に年齢を重ねても赤平市と札幌市の往来に不安がなくなるのではないかという期待感が高まる反面、もしも車の運転が完全に自動化してしまったら、バスやトラック、タクシーのドライバーという仕事はどうなってしまうのだろう…、ということも考えるようになりました。自動車整備工場や自動車学校の立ち位置も、今とはまるで変わってしまうのでは…。技術が発展する裏側で、便利になることを喜べない人も現れると思うようになったんです。

─確かに別の問題も大きくなりそうですね。
ここからはあくまでも僕の想像ですが、現段階でも実は運転アシストやAI、ロボットの開発は完成に近いくらい進んでいて、世の中に混乱を招く恐れもあるからまだ「実用化」と発表できないのではないか、と思ったんです。けれど、開発者は自分の功績を早くオープンにしたいと息巻いているはずで、技術の進歩という華やかな舞台の裏側は喧々諤々なのではないかと。車の運転という身近なものを、こうした別の角度からとらえることで今作のテーマになると思いました。前回はリストラされたヤクザというあまりに別世界な設定でしたから(笑)。

─それを演じるキャスティングのポイントは?
今回は舞台や映画、ドラマでご一緒したことがある勝手知ったるキャストの方々がほとんどです。お互い手の内を知っている関係性なので、特殊な演出をするのではなく、その方の魅力を引き出すだけでも十分面白くなると思いますね。探り合いや演出の線引きに時間を取られず、パッと世界観に入っていけると思っています。いい年齢のおじさんばかりなので(笑)、誰かが冗談を言ったら皆で同調するような息の合った稽古になりそうです。

─観劇後に感じてほしいことは?
僕自身は「こう感じてください」と明確な意図を持っているわけではありません。お客様一人ひとりの受け止め方があって当然です。例えば、今作に登場するロボットについて、「あくまで人間のツールとして存在するべきだ」という感想を抱いても良いですし、はたまた「人がロボットを生み出しておいてツールにとどめておくのは人間のエゴ」と考えるのもいいんです。実は作品名の「D-river」はあえて「D」と「river」を分けました。ドリーム、ダーク、ディープ…あるいはデッド、お客様にとっての「D」を探してもらえたらと思っています。

─なるほど。今作はシリアスになるんですか?
確かにテーマ自体は重厚です。けれど、それをどこまでコミカルに描き、面白いものとして成り立たせるかにも注目していただきたいですね。シリアスな内容をばかばかしく表現することで、コロナ禍から日常を取り戻すきっかけになるくらい笑ってほしいです。テレビやPCのモニターで映像を見ることに慣れてしまった昨今、生の舞台だからこそ得られる楽しさも届けたいと思っています。

─最後にジョブキタの読者にメッセージを!
今作では物事を違った面から見る…つまり視点を変えると見方が変わるということも重要なポイントになっています。同じように仕事が楽しくないと感じていても、別の側面からとらえると途端に面白くなってきたり、違う職場に目を向けてみると張り合いがありそうだったり、可能性を狭めるのも広げるのも自分次第です。ぜひ、多くの視点から仕事を見つめてみてください。

Takayuki Suzui Project OOPARTS Vol.6「D-river」

あるミッションを遂行するために集められた中年男三人。何をするのかも分からず、約束されたのは高額な報酬だけ。指示があるまま用意された自動車に乗るも、一人はペーパードライバー、一人は免停中、もう一人は免許すら持っていない。ただその車は最新の自動運転装置を備え、目を瞑っても運転できるという。その目的も、目的地も分からないまま、三人の懐疑心を乗せ車は発進する。さらに「ドライバーが最新の人工知能を搭載したロボットであったなら?」という、もう一つのミッションが存在。三人のうち一人はその命題を実証するためのロボットだったのだ。人間と遜色ないその姿に、ロボットと認められない、ロボットであることすら信用できない男たち。ますます膨らむ懐疑心と共に、男たちはどこへ向かうのか─。
作・演出/鈴井貴之
出演/渡辺いっけい、温水洋一、田中要次、竹井亮介、大内厚雄、舟木健(NORD)、藤村忠寿(北海道テレビ)、鈴井貴之
札幌公演
2022年2月25日(金)19:00
2022年2月26日(土)13:00/17:00
2022年2月27日(日)13:00
道新ホール(札幌市中央区大通西3丁目 道新ビル大通館8階)
チケット好評発売中!
料金7,500円(税込)
札幌公演 ローソンチケット(Lコード:11958)
OOPARTS公式サイト⇒https://ooparts-hokkaido.net

札幌公演チケットプレゼント

「D-river」の2022年2月25日(金)19:00開演のチケットを抽選で5組10名様にプレゼント!ふるってご応募ください!(2022年1月23日締切)
※チケットプレゼントの応募は締め切りました

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