可能性は無限大!北海道の宇宙ビジネス【宇宙業界探求フェア2024|開催レポート】
2024年12月9日 公開
地球から宇宙までの距離は札幌〜旭川よりも短い!?
始めに「宇宙って実は意外と近いんです。札幌から旭川くらいの距離、高度わずか100キロ上空なんですよ」と切り出す大出さん。今回のイベントを機に、宇宙産業をもっと身近に感じて欲しいと語ります。
「現在、世界の宇宙産業は民間が主体となって急速に拡大していて、年間およそ200機以上ものロケットが打ち上げられ、その数は年々増え続けています。一方でロケットを発射する場は不足していて、人工衛星を打ち上げたくても2年待ちという状況です」
そこで注目されているのが北海道、特に大樹町をはじめとする十勝エリアです。大出さんはその三つの強みを挙げます。
「一つ目は、太平洋に向けて土地が開けていて、さまざまな方向にロケットが打ち上げられること。二つ目は、日高山脈の影響で天気が通年安定していること。そして三つ目が、充実した観光施設や住みやすい環境です。実は他国のロケット発射場は砂漠の真ん中のような場所に多くて、僕の知人の中にも視察を断念したという人がいます(笑)。でも北海道なら観光も楽しめて、食事もおいしいですから、世界中の企業が喜んで拠点を置いてくれるでしょう」
更にスペースポートが発展すれば、ロケットや人工衛星製造のための工場ができ、そこでの雇用が増えていけば住宅や学校、医療施設が必要となり、そこで働く人や視察、観光に訪れる人のために飲食店やホテルが増え…とさまざまな産業の需要が増すと大出さん。やがて一つの「まち」が誕生し、地域が活性化する可能性を秘めているそうです。
理系・文系は過去の話。仕事のフィールドも無限大。
「私は『宇宙好き』と、タレント活動の経験を生かして、難しい宇宙のことを分かりやすく解説しようと活動しています。同じようにみなさんそれぞれが持つ力と、宇宙をかけ合わせていけば、さまざまな仕事を作っていける可能性があるはずです。実際に今、宇宙空間での生活を想定した『宇宙美容』というユニークなプロジェクトもありますし、私が特別顧問をしている高校では宇宙に関するPR動画の制作もしています」
大出さんも「最近では高級ブランドと宇宙服を共同開発している企業や、北海道の食材を使った宇宙食の開発に取り組む企業もあり、すべてをひっくるめて『宇宙産業』と言えます」と解説。「幅広いぶんだけ理系・文系全く関係なくさまざまな種類の方々が必要で、一般的な会社のように経営や経理事務、マネジメントに詳しい人も求められています。今回のイベントを機に、ぜひもっと宇宙を身近に、働くフィールドとしての可能性も感じていただきたいです」と呼び掛けました。
トークイベント終了後には、道内に拠点を置く6つの宇宙関連企業がそれぞれのブースに分かれて説明会を開催。宇宙ビジネスへ興味を抱く社会人や、これから宇宙産業にかかわりたいという学生たちが、熱心に説明を聞く様子が見られました。
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大出大輔さん
大手ゼネコンで一級建築士として耐震分野の研究や新規事業創出を経験。内閣府主催の宇宙ビジネスアイデアコンテストで受賞後、宇宙事業へ参入。2021年よりSPACE COTAN株式会社の取締役COOとして、北海道スペースポート(HOSPO)の企画・運営に携わる。24年にASTRO GATE株式会社を創業。 -
黒田有彩さん
中学時代、作文コンクールで入賞しNASAを訪問したことをきっかけに宇宙の虜に。大学卒業後、教育番組への出演を機に「宇宙タレント」として活動開始。2016年、個人事務所兼宇宙の魅力を幅広く伝える株式会社アンタレスを設立。現在、内閣府の「ムーンショットアドバイザー」を務めるなど、多方面で活動中。
参加者の声
企業の声
池川裕美さん(左)
伊藤里菜さん(右)
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