ピックアップ情報 可能性は無限大!北海道の宇宙ビジネス【宇宙業界探求フェア2024|開催レポート】

2024年12月9日 公開

近年、衛星通信やロケット開発、スペースポートの整備など盛り上がりを見せている北海道の宇宙産業。その担い手を増やすことを目的とした「宇宙業界探求フェア2024」が2024年11月10日、ジョブキタビルで開催されました。イベントの模様をレポートします。

地球から宇宙までの距離は札幌〜旭川よりも短い!?

冒頭に行われたトークイベントには、大樹町の北海道スペースポート(HOSPO)の企画・運営に取り組んでいる大出大輔さん、宇宙タレントの黒田有彩さんが登壇。「宇宙業界で働く魅力に迫る!」と題して、北海道の宇宙ビジネスの可能性について語り合いました。

始めに「宇宙って実は意外と近いんです。札幌から旭川くらいの距離、高度わずか100キロ上空なんですよ」と切り出す大出さん。今回のイベントを機に、宇宙産業をもっと身近に感じて欲しいと語ります。
「現在、世界の宇宙産業は民間が主体となって急速に拡大していて、年間およそ200機以上ものロケットが打ち上げられ、その数は年々増え続けています。一方でロケットを発射する場は不足していて、人工衛星を打ち上げたくても2年待ちという状況です」

そこで注目されているのが北海道、特に大樹町をはじめとする十勝エリアです。大出さんはその三つの強みを挙げます。
「一つ目は、太平洋に向けて土地が開けていて、さまざまな方向にロケットが打ち上げられること。二つ目は、日高山脈の影響で天気が通年安定していること。そして三つ目が、充実した観光施設や住みやすい環境です。実は他国のロケット発射場は砂漠の真ん中のような場所に多くて、僕の知人の中にも視察を断念したという人がいます(笑)。でも北海道なら観光も楽しめて、食事もおいしいですから、世界中の企業が喜んで拠点を置いてくれるでしょう」

更にスペースポートが発展すれば、ロケットや人工衛星製造のための工場ができ、そこでの雇用が増えていけば住宅や学校、医療施設が必要となり、そこで働く人や視察、観光に訪れる人のために飲食店やホテルが増え…とさまざまな産業の需要が増すと大出さん。やがて一つの「まち」が誕生し、地域が活性化する可能性を秘めているそうです。

理系・文系は過去の話。仕事のフィールドも無限大。

もう一人の登壇者、宇宙タレントの黒田有彩さんは幼少時から科学が大好きで、大学卒業後に教育番組への出演を機に「宇宙タレント」として活動することを決意したそう。「理系出身者しか働けない」というのは過去の話だと、自身の経験を基に切り出します。
「私は『宇宙好き』と、タレント活動の経験を生かして、難しい宇宙のことを分かりやすく解説しようと活動しています。同じようにみなさんそれぞれが持つ力と、宇宙をかけ合わせていけば、さまざまな仕事を作っていける可能性があるはずです。実際に今、宇宙空間での生活を想定した『宇宙美容』というユニークなプロジェクトもありますし、私が特別顧問をしている高校では宇宙に関するPR動画の制作もしています」

大出さんも「最近では高級ブランドと宇宙服を共同開発している企業や、北海道の食材を使った宇宙食の開発に取り組む企業もあり、すべてをひっくるめて『宇宙産業』と言えます」と解説。「幅広いぶんだけ理系・文系全く関係なくさまざまな種類の方々が必要で、一般的な会社のように経営や経理事務、マネジメントに詳しい人も求められています。今回のイベントを機に、ぜひもっと宇宙を身近に、働くフィールドとしての可能性も感じていただきたいです」と呼び掛けました。

トークイベント終了後には、道内に拠点を置く6つの宇宙関連企業がそれぞれのブースに分かれて説明会を開催。宇宙ビジネスへ興味を抱く社会人や、これから宇宙産業にかかわりたいという学生たちが、熱心に説明を聞く様子が見られました。

参加者の声

3年制の専門学校でプログラミングや統計を学んでいます。宇宙産業は自分と縁がないと思っていましたが、今回4社のブースでお話を聞いて、データ分析などの分野で自分の学んでいることをフルに活用できそうだと感じました。来年、本格的な就職活動を控えているので、就職先として宇宙産業にも視野を広げたいと思います!
北海道ハイテクノロジー専門学校
IT・メディア学科(3年制)2年生
芦崎凜々さん

企業の声

当社は2020年に設立された北大発のベンチャー企業です。プラスチックを利用したロケットエンジンの開発を行っていて、研究者やエンジニアが主体の企業ではありますが、現在はバックオフィス、つまり事務系のスタッフを必要としています。現在アルバイトも含めた約50名もの人員が働いていますが、それでも充足していないほど、事業が拡大しています。開発を進める“推進力”として、もっと多くの方々の力が必要です!(伊藤里菜さん)
私自身も以前は宇宙と関係のない会社に勤めていましたが、昨年説明会を訪れたのを機にLetaraに入社しました。当社では研究スタッフを除けば、製造業やサービス業など、さまざまな経歴を持つ人が活躍中ですので、ぜひ多くの方に事業を知っていただき、仲間入りしてもらえたらうれしいです(池川裕美さん)
Letara株式会社
池川裕美さん(左)
伊藤里菜さん(右)
本企画は、北海道経済部産業振興局スタートアップ推進室「令和6年度宇宙関連ビジネス加速化プロジェクト推進事業(宇宙産業人材確保)」の委託業務として、株式会社北海道アルバイト情報社が運営しました。

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