注目企業のトップに聞くin北海道【合同会社FlyingLaboratory(フライングラボラトリー)】
2020年11月16日 公開
世界ランキング上位に名を連ね、2020‐21ワールドカップ日本代表として活躍中のスキージャンプ選手、中村直幹さん。大学卒業後、強豪実業団からの誘いを辞退して自ら起業する道を選びました。合同会社FlyingLaboratory代表として〝SDGs〟に取り組む中村さんにこれまでの歩みと今後の目標について伺いました。
飛ぶことを誰かの幸せにつなげ、仲間たちと一緒にSDGsの実現を目指したい。

合同会社FlyingLaboratory代表/CEO 中村直幹さん
1996年札幌市生まれ。小学5年生でスキージャンプを始め、東海大学在学中にユニバーシアード世界一、アジア大会優勝、世界選手権日本代表の成績を記す。2019年11月合同会社FlyingLaboratoryを立ち上げ。2020年11月よりワールドカップ日本代表として活躍中。
1996年札幌市生まれ。小学5年生でスキージャンプを始め、東海大学在学中にユニバーシアード世界一、アジア大会優勝、世界選手権日本代表の成績を記す。2019年11月合同会社FlyingLaboratoryを立ち上げ。2020年11月よりワールドカップ日本代表として活躍中。
初の海外遠征で知った世界の〝現実〟に衝撃
生まれも育ちも札幌の中村さん。小学校時代は野球に夢中だったものの、大倉山ジャンプ競技場のすぐそばの小学校に通っていた影響もあり、小学校5年生の時にジャンプを始めました。最初の頃は「飛ぶというよりは、ただ滑って落ちていた感じ」で、楽しくはあっても本腰を入れるには至らず、当時のコーチも「直幹が一番最初にやめると思っていたよ」と今でも笑いながら話すとか。
肘を痛めて野球を断念し、本格的にジャンプに向き合い始めたのは中学生になってから。中学3年でジュニアの日本代表に選ばれ、高校生で世界ジュニアの代表争いに参加するようになると「より強くなりたい」という思いが込み上げ、練習にも主体的に取り組むようになっていったそうです。
そんな中村さんにとって、最初の転機は高校2年生の時。初めての海外遠征で東欧を訪れ、町の独特のにおいやデコボコの道路事情に衝撃を受けたそう。物乞いをする孤児やランニング中に襲ってくる野犬など、これまで目にしたこともなかった〝貧困〟の実情が強く心に突き刺さりました。その後もイスタンブールの空港のテレビでシリア内戦の生々しい映像を見たり、カザフスタンの街なかで戦車を見たりといった体験を重ねるうちに、選手団の一員として笑顔で行動する自分に何とも言えない違和感を感じたそうです。
肘を痛めて野球を断念し、本格的にジャンプに向き合い始めたのは中学生になってから。中学3年でジュニアの日本代表に選ばれ、高校生で世界ジュニアの代表争いに参加するようになると「より強くなりたい」という思いが込み上げ、練習にも主体的に取り組むようになっていったそうです。
そんな中村さんにとって、最初の転機は高校2年生の時。初めての海外遠征で東欧を訪れ、町の独特のにおいやデコボコの道路事情に衝撃を受けたそう。物乞いをする孤児やランニング中に襲ってくる野犬など、これまで目にしたこともなかった〝貧困〟の実情が強く心に突き刺さりました。その後もイスタンブールの空港のテレビでシリア内戦の生々しい映像を見たり、カザフスタンの街なかで戦車を見たりといった体験を重ねるうちに、選手団の一員として笑顔で行動する自分に何とも言えない違和感を感じたそうです。
スポーツ選手として誰かのためにできること
大学ではデザインと建築を学び、ジャンプに打ち込む傍らで、経済の勉強にも熱中。社会や企業の仕組みを学ぶうちに、改めてスポーツ選手としての自分の将来について考えるようになっていきます。
「実業団に所属して企業に組み込まれることに違和感があったのに加え、『自分はなぜ飛ぶんだろう。飛ぶことが大好きという理由だけでいいのだろうか』と考えるようになって…。ただ飛ぶだけではなく、これまで世界各地で目の当たりにした経済格差や経済矛盾、環境問題などを解決するために、自分にできることは何だろうかと考えるようになったんです」
スキージャンプでより遠くへ飛ぶことを誰かの幸せにつなげられたら…。そう考えた中村さんは、大学卒業後も実業団に所属することはせずに一人でスポンサー探しをスタート。JA帯広かわにしの有塚利宣会長や日本環境設計の岩元美智彦会長をはじめ、さまざまな人物との出会いを通じ、ゴミの資源化、フードロス削減などについての知識も深めます。昨年9月には合同会社FlyingLaboratoryを立ち上げ、SDGs(2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」)の推進にも取り組んでいます。
「スポーツ選手は特に移動時に大きなエネルギーを消費します。例えば羽田からミュンヘンまで移動すると一人当たり1・2tもの二酸化炭素を排出するんです。それを補うための植樹をしたり、ジャンプで1m飛ぶごとに10円をSDGs推進団体に寄付する活動を行っています」
「実業団に所属して企業に組み込まれることに違和感があったのに加え、『自分はなぜ飛ぶんだろう。飛ぶことが大好きという理由だけでいいのだろうか』と考えるようになって…。ただ飛ぶだけではなく、これまで世界各地で目の当たりにした経済格差や経済矛盾、環境問題などを解決するために、自分にできることは何だろうかと考えるようになったんです」
スキージャンプでより遠くへ飛ぶことを誰かの幸せにつなげられたら…。そう考えた中村さんは、大学卒業後も実業団に所属することはせずに一人でスポンサー探しをスタート。JA帯広かわにしの有塚利宣会長や日本環境設計の岩元美智彦会長をはじめ、さまざまな人物との出会いを通じ、ゴミの資源化、フードロス削減などについての知識も深めます。昨年9月には合同会社FlyingLaboratoryを立ち上げ、SDGs(2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」)の推進にも取り組んでいます。
「スポーツ選手は特に移動時に大きなエネルギーを消費します。例えば羽田からミュンヘンまで移動すると一人当たり1・2tもの二酸化炭素を排出するんです。それを補うための植樹をしたり、ジャンプで1m飛ぶごとに10円をSDGs推進団体に寄付する活動を行っています」
コミュニティの力で世界を変えたい!
またFlyingLaboratoryが運営を行うのと同時に、Flying Laboratoryを支えるのが〝コミュニティ〟。コミュニティのメンバー(Fellow)になることで、主にオンラインで中村さんのジャンプ選手としての体験や海外体験を共有して一緒に金メダルを目指す感覚が味わえる一方、何か困ったことがあればみんなで知恵や技能を持ち寄ってサポートし合い、問題を解決していきます。
「僕はまずは金メダルを目指していますが、そこには金メダルを取って注目されることで〝発信力を高める〟という目的もあります。世界一になってみんなで実践するSDGsを知ってもらい、世界中に広めることが僕の夢。今はまだ小さなコミュニティですが、さまざまな得意分野を持った、頼りになるメンバーが集まっています。この輪を世界に広げていきたいんです。地球の裏側で誰かが困っていたら駆けつけて助け起こせるような、そんなコミュニティを目指しています」
飛ぶことを通じて世界を変え、仲間と一緒に未来を創りたい。スポーツ選手としても会社としても、これまでにない新しい形となる中村さんの挑戦。目が離せませんね!
「僕はまずは金メダルを目指していますが、そこには金メダルを取って注目されることで〝発信力を高める〟という目的もあります。世界一になってみんなで実践するSDGsを知ってもらい、世界中に広めることが僕の夢。今はまだ小さなコミュニティですが、さまざまな得意分野を持った、頼りになるメンバーが集まっています。この輪を世界に広げていきたいんです。地球の裏側で誰かが困っていたら駆けつけて助け起こせるような、そんなコミュニティを目指しています」
飛ぶことを通じて世界を変え、仲間と一緒に未来を創りたい。スポーツ選手としても会社としても、これまでにない新しい形となる中村さんの挑戦。目が離せませんね!

「スポーツ選手であることとSDGsの事業者であることを両立させたい」と話す中村さん。トレーニングウエアはすべて再生資源で作られたもの。現在2020-21年ワールドカップ日本代表として活躍中です。活動の内容やその思いはホームページのほか、note、twitterでも紹介されています。
Information
コミュニティメンバー募集中!
オンラインサロンを通じて、中村さんのヨーロッパでの体験や練習の様子など、スキージャンプ選手としての経験を擬似体験しながらともに金メダルを目指す。一人ひとりが取り組めるSDGsについて考える「SDGs開発室」でも活発な議論が行われている。オンライン以外での練習見学会、交流会なども実施する。月額会費1000円。
https://community.camp-fire.jp/projects/view/309980
オンラインサロンを通じて、中村さんのヨーロッパでの体験や練習の様子など、スキージャンプ選手としての経験を擬似体験しながらともに金メダルを目指す。一人ひとりが取り組めるSDGsについて考える「SDGs開発室」でも活発な議論が行われている。オンライン以外での練習見学会、交流会なども実施する。月額会費1000円。
https://community.camp-fire.jp/projects/view/309980
合同会社FlyingLaboratory

スポーツ選手のマネジメント及びコミュニティ運営のほかプロモーション、小売、情報通信業に取り組む。SDGsを達成し、格差や貧困、紛争のない社会の実現を目指す。
注目企業のトップに聞くin北海道
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